
マウスピース矯正治療中は飲み物に注意?制限が理由とNG飲料を紹介

マウスピース矯正治療を開始すると、さまざまな疑問が思い浮かぶことでしょう。例えば、「食べ物や飲み物に制限はあるのか」というのも、多くの方が抱える疑問の一つです。
お酒は飲めるのか、お酒を飲むときは外す必要があるのかなど、様々な疑問があるかもしれません。本記事では、マウスピース矯正中の飲み物について解説します。
マウスピース装着中に避ける方が良い飲み物や、飲み物に気をつけることで得られるメリットについて紹介しますので、飲み物摂取にお役立てください。
マウスピース矯正中に飲み物を選択すべき理由とは

マウスピース装着時に不適切なドリンクを飲むことで、治療に様々な影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のリスクが挙げられます。
虫歯になりやすくなる
理由としてまず挙げられるのが、虫歯になりやすくなるという点です。治療ではマウスピースで歯を覆った状態になります。
マウスピースは1日20時間以上装着することになっているので、歯はほぼ1日中マウスピースで覆われているということです。
つまり、細菌を洗い流す役割がある唾液に歯が触れる機会がありません。実際、唾液が細菌を洗い流すことができないと、虫歯菌が停滞しやすくなります。
さらに、唾液の分泌量が少ないドライマウスでは、歯周病の原因菌が繁殖しやすくなるため、歯周病のリスクも高まります。
また、糖分が歯とマウスピースの間に残ったままになると、砂糖に集まる虫歯の原因菌に歯がさらされることになり、必然的に虫歯のリスクが高まります。
虫歯予防のためには、唾液腺をマッサージして唾液の分泌を促し、食事の際にはよく噛んで食べ、食後にはしっかりと歯磨きとすすぎをしましょう。
変色することがある
マウスピースを装着したまま濃い色の飲み物を飲むと、マウスピースが変色することがあります。
器具の変色は歯の動きに影響しません。ただし、マウスピースは1日20時間以上装着する必要があるため、変色することで周囲から不潔に見えることがあります。
色の濃い飲み物を飲んだときは必ずマウスピースを外し、何かを食べた後は水で口をゆすいだり、歯磨きをしてからマウスピースを装着するようにしましょう。
変形することがある
マウスピースは、熱によって変形したり破損したりすることがあります。そのため、マウスピースを装着している間は、熱い飲み物を避けることをおすすめします。
一般的に、40度程度の温水で15分程度であれば、使用に影響するような変形は起こりません。
逆に、40°以上の温度で15分以上放置すると、変形などの原因になることがあります。
マウスピース矯正治療中に適した飲み物

マウスピースを外さないで飲める飲料は、実は水だけです。ご存知のように、水には糖分は含まれていません。そのためマウスピースの変色や虫歯といった心配がないのです。
また、意外と思われるかもしれませんが、甘味のない炭酸水もマウスピースを外さないで飲むことができます。
お茶や紅茶は種類によって色が異なりますが、色の薄いお茶でも色素の関係で透明なマウスピースを変色させることがあります。
マウスピース自体の変色を防ぎ、口腔内環境の悪化を防ぐためにも、マウスピース装着中に飲む飲み物は、必ず水か炭酸水に限定してください。
マウスピース矯正治療中の不適当な飲み物について

マウスピース型矯正装置を装着しているときに飲むのに適さない飲料があります。ここでは、マウスピース型矯正治療中に適さない具体的な飲み物をご紹介します。
酸性の強い飲み物
酸性の強い飲み物は、虫歯の原因になるため、装置を装着している間は飲まないようにしましょう。口の中が酸性になることで、虫歯になりやすくなるからです。
通常、口の中はpH7の中性に保たれており、飲食すると虫歯菌が出す酸で酸性になりますが、唾液によって中性に戻されます。
しかし、歯が摩耗したままだと、唾液の洗浄・中和作用が弱く、中性に戻るのに時間がかかるため、虫歯になりやすくなります。
私たちの口の中では、エナメル質はpH5.5で溶け始めると言われています。例えば、炭酸水のpHは2.2~4、スポーツドリンクは3.5~3.8、乳酸菌飲料は3.4~4.0と言われています。
いずれもエナメル質を溶かすのに十分な値なので、装着したまま摂取するのはNGです。もし、外して摂取してしまった場合は、歯磨きをしてから付け直すことが望ましいです。
着色しやすい飲み物
砂糖が入っていない紅茶やコーヒーなら大丈夫だろうと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、お茶やコーヒーには、茶渋やステインなど、歯やマウスピースを汚してしまう成分が多く含まれている点に注意しましょう。
色素の沈着は思っている以上に目立つため、不衛生な印象を与えてしまいます。また、歯とマウスピースの隙間に入り込んでしまうと、歯に着色・沈着する可能性もあります。
器具自体に機能的な問題が生じるわけではありませんが、マウスピースや歯の汚れが気になる方は、ぜひ気をつけるようにしましょう。
熱い飲み物
前述のように熱い飲み物はマウスピースを変形させてしまいます。
自動販売機のホットドリンクの温度は55°前後ですが、お茶などを自分で淹れて飲む際にはもっと温度が高くなることでしょう。
そのため、よく自動販売機で飲み物を買う習慣になっている方や、自宅・オフィスで熱いお茶やコーヒーを用意して飲むのが好きな方は注意が必要です。
マウスピースが変形した場合、作り直さなければならず、治療の進行に支障をきたすことがあります。
クリニックによっては、別途費用が発生することも考えられます。外出先でちょっと缶コーヒーというときにわざわざマウスピースを外すのは面倒かもしれません。
とはいえ、治療を予定通りに完了させるためには、飲み物の温度にも気をつけるようにしましょう。
スポーツドリンク
スポーツをする人、スポーツドリンクを常飲している人は要注意です。スポーツドリンクには、一般的に糖分も多く含まれています。
特にスポーツ時にスポーツドリンクを飲む場合は、できるだけ糖分が口の中に残らないように、必ずスポーツドリンクと一緒に水を用意し、スポーツドリンクを飲んだ後は水を飲むようにしましょう。
そして、運動後にはできるだけ早く歯を磨くようにしましょう。
アルコール
アルコールはジュースと比べると糖分がないように感じる方もいらっしゃいますが、意外と糖分が含まれている種類のものが多いので注意が必要な飲み物に当たります。
特に、以下のアルコールは糖分が含まれています。
- ビール
- 日本酒
- カクテル
- ワイン
これらのアルコールはもともと糖分を含んでいたり、発酵の際に糖分に分解される事が知られています。
また、アルコールを摂取した後は歯磨きを忘れないようにしましょう。
アルコールの中でも比較的マウスピースと相性が良いのは麦焼酎やウイスキーです。どちらも糖分を含まないため、むし歯になるリスクは低いといえます。
ただし、アルコールを摂取する際にもマウスピースを外すことが望ましいです。
どうしても外せない場合や、矯正治療中のむし歯のリスクを減らしたい場合は、麦焼酎やウイスキーの水割りを楽しむとよいでしょう。
マウスピースを装着したまま飲む場合の対処法

会議や商談の場で、マウスピースを外すタイミングがなく、出された飲み物を飲まざるを得ないこともあり得ます。
また、外出先で適切な水分が手元にない場合、糖分などマウスピースに悪影響を及ぼす可能性のある飲み物を飲んでしまうことも考えられます。
このようにマウスピースを装着したまま飲まざるを得ない状況に対処するには、飲み物の選択肢がある場合は、比較的危険性の少ないものを選ぶようにしましょう。
ストローで飲むと汚れも付きにくくなります。また、新しいマウスピースの交換日が近づいてきたタイミングであれば少々の摂取ではそれほど気にしなくても良いでしょう。
熱い飲み物が提供された場合は、すぐに飲まず、しばらく冷ましてから飲むようにするのがおすすめです。
コーヒーや紅茶にはミルクや砂糖が入っていることがありますが、これらは虫歯のもととなるので入れない方がよいでしょう。
また、やむを得ない事情で水以外のものを飲まなければならなくなった場合は、事情が許す限りすぐにマウスピースを外し、よく洗浄してください。
歯磨きや口ゆすぎも合わせて行いましょう。
会議など、どうしても外せない予定があることが事前に分かっていて、どうしたらいいか分からない場合は、歯科医師に相談してください。
まとめ
以上、マウスピース矯正治療中に気をつけたい飲み物の摂取方法について解説しました。
矯正治療の効果を低下させないためにも、またマウスピースや歯が変色しないためにも、治療中の飲料は慎重に選びましょう。
とはいえ、矯正治療中は十分な水分補給をすることが大切です。マウスピース矯正治療は、装置を長時間口の中に装着するため、特にドライマウスになりやすいと言われています。
虫歯のリスクも高まるので、こまめに水で水分補給を行い、口の中を潤すようにしましょう。
下高井戸パール歯科クリニックでは患者様の不安を解消した上で矯正治療を行うことをモットーとしています。
矯正治療中の飲み物に限らず、治療に関して気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。
治療中の周囲が気になる患者様にもリラックスして治療を受けていただけるよう、個室の治療室をご用意しています。
また、女性医師も在籍しておりますので、ご相談も可能です。歯の悩みや不安は、ぜひ当院にお任せください。