マウスピース矯正の効果はいつから出る?失敗例と対策も合わせて解説!
マウスピース矯正は、安価で治療期間が短く、装着しても目立ちにくいということで人気がありますが、その効果に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
「いつになったら効果を実感できるのか」
「マウスピースをつけているだけで歯はちゃんと動くのか」
「歯並びは良くなるのか」
など、さまざまな不安がよぎることでしょう。当記事では、歯が動く仕組みやマウスピース矯正の効果について解説します。
また、マウスピース矯正から最大の効果を得るために気をつけるべきポイントについても触れています。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
マウスピース矯正に効果がある理由
矯正歯科で使用するマウスピースは、患者さん一人ひとりの歯型に基づいて作られます。患者さんは一定期間、数個のマウスピースを装着し、歯並びを整えていくことになります。
ここでは、マウスピース矯正に効果があると言える、歯並び改善の仕組みを説明します。
歯並びが良くなる仕組みに沿った治療
マウスピースは、歯科医師が患者さんの歯の状態や目指す歯並びを診て立てた治療計画に基づいて作られます。
歯にかかる力、角度、距離などを計算し、マウスピースを装着することで徐々に歯が動くように設計されています。
では、そもそも歯はどのように動くのでしょうか?歯の周りには、歯を支える「歯槽骨」と、歯槽骨を包む「歯根膜」があります。
矯正装置によって歯に弱い力が加わると、その力は歯根膜に伝わります。すると、動く側の歯根膜が縮み、押される側の歯根膜が伸びる動きをします。
次に、歯根膜は常に一定の厚みを保とうとするため、収縮した歯根膜は、歯根膜内の破骨細胞を活性化させて骨を溶かします。そして伸ばした歯根膜は骨芽細胞を活性化させて伸びた部分に骨を作ります。
このように、マウスピースなどの矯正装置によって継続的にかかる力によって、歯を支える骨が破壊され、再び作られることで、歯が少しずつ動いていくのです。
若いうちに矯正治療を始めないと、歯が正常に動かないのではと心配される方もいらっしゃるかもしれません。
確かに骨の再生スピードは年齢や基礎疾患によって個人差があり、一般的には年齢が高くなるほど治療開始までに時間がかかると言われています。
しかし、矯正治療の推奨年齢は、男性で16歳以上、女性で14歳以上というところもあり、つまり上限はないのです。
結果が出るまでの期間には個人差がありますが、大人の矯正治療は十分可能です。
マウスピース矯正の治療方法
ここでは、マウスピース矯正の効果を確認するために、マウスピース矯正治療で歯並びを矯正する具体的な方法について解説します。
マウスピースを装着して歯に圧力を加える
デンタルスキャンで作られたマウスピースは、実際の歯並びよりも理想に近く、ほんのわずかなズレで歯並びが整うように設計されています。
これにより、マウスピースから歯に力が加わり、それが歯根膜に伝わると、骨を溶かす細胞と骨を作る細胞が活性化され、歯が動くようになります。
マウスピースを装着したときに締め付けられるような感覚を覚えたら、それは歯が動き始めている証拠です。
長時間継続的に力を加える
歯を動かすためには、弱い力をかけ続ける必要があるため、1日20~22時間以上マウスピースを装着することになります。
短時間の装着を続けたり、装着を忘れる日が続くと、計画通りに進行できないことがあります。理想的な歯並びを実現するために、マウスピースを新しいものに交換しましょう。
一定期間マウスピースを装着すると、マウスピースの形状と歯並びが一致してくるので、さらに歯を動かすために新しいマウスピースに交換します。
マウスピースを交換するたびに歯が少しずつ動いていき、最終的には理想的な歯並びになります。
効果を実感するにはどれくらいの期間が必要?
結論から言うと、マウスピース矯正の効果をいつ、何ヶ月後に実感できるかは、一概には言えません。
一般的にマウスピース矯正の治療期間は、短くても2ヶ月、長いと半年から2年、それ以上かかると言われています。
また、1つのマウスピースで動かせる歯の量は0.25mm程度です。そのため、2週間に1回マウスピースを交換した場合、1ヶ月で約0.5mm歯が移動することになります。
そのため、矯正治療後の前歯の改善や後戻りの改善など、部分矯正の場合は早くて2ヶ月後、全顎矯正の場合は半年後に歯並びの変化を実感することができます。
凸凹や出っ歯の場合は、まず奥歯を動かしてから前歯を動かすことが多いので、歯並びの変化を実感できるまで半年以上かかることもあります。
前歯を中心に治療するのか、奥歯を含めた矯正治療と併用するのかによっても、変化を感じるタイミングは異なります。
市販のマウスピースでは矯正効果がない理由
マウスピース矯正でインターネット検索をすると、市販のマウスピースがおすすめと書かれていることがあります。
わざわざ歯科医院に行かなくても、市販のマウスピースで十分だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、市販のマウスピースは矯正治療に有効ではありません。その理由をいくつかご紹介します。
市販のマウスピースは審美目的ではない
現在市販されているマウスピースの多くは、歯ぎしりや食いしばりを防止するために設計されています。
歯ぎしりは、治療した歯の詰め物や健康な歯を傷つけてすり減らすだけでなく、頭痛や肩こり、顎の痛みなどの原因にもなります。
また、近くで寝ている人の眠りを妨げることもあります。様々なところに悪影響を及ぼす歯ぎしりの影響を軽減するためのマウスピースも多く販売されています。
ただし、歯ぎしりを防ぐためのマウスピースであっても、歯科医師が作ることが推奨されています。
その他にも、いびきを防止するためのマウスピースや、気道を広げるためのマウスピース、激しいスポーツをするときに歯をガードするためのマウスピースなど、様々な目的で使用されます。
このように、市販のマウスピースは基本的に人の健康を守るためのものであり、矯正目的には使えないと考えたほうがよいでしょう。
装着感が悪い
市販のマウスピースには、モールドタイプとノンモールドタイプの2種類があります。ノンモルダブルタイプは隙間だらけで、歯に全くフィットしません。
モールドタイプは、加熱して歯にフィットするように成形しますが、それでも歯科医院で作るマウスピースほど歯にぴったりとフィットするわけではありません。
歯とマウスピースの間には、まだ隙間があります。マウスピース矯正では、矯正力を発揮するために、マウスピースを歯にしっかりフィットさせることが必要です。
しかし、市販のマウスピースは、装着感が悪いため、矯正力を発揮することができません。
アタッチメントが装着できない
マウスピース矯正では、歯を立てたり凹ませたりするために、アタッチメントが必要です。
これらの処置は歯科医院でしか行えないため、市販のマウスピースではアタッチメントを装着することができず、歯列不正を矯正することができないのです。
マウスピース矯正の失敗例
マウスピース矯正の大半はきちんと歯並びを整えることができますが、中には失敗するケースもあります。ここでは、どのような失敗があるのかを紹介します。
歯が削られすぎた
歯並びを整えるためのスペースが足りない場合、IPRという歯を削る処置があります。
通常は、表層のエナメル質を少量削るだけなので問題はありませんが、過度に行うと知覚過敏を引き起こす危険性があります。
水が歯にしみるといった症状が少しでも気になる場合は、すぐに医師に相談しましょう。歯がしみる場合は、経過を見るために薬を塗布することもあります。
虫歯や歯周病になった
矯正装置によって、矯正治療中のブラッシングが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
特に、患者さんが取り外すことができないワイヤー矯正の場合、ブラッシングを工夫しないと歯と矯正器具の間に食べかすが残りやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
矯正治療中に虫歯や歯周病が発生すると、矯正治療を中断せざるを得ない場合も考えられるでしょう。
そうすると中断している間に歯が後戻りし、矯正治療が当初の計画通りに進まないことがあります。
抜歯すべきでない歯が抜かれた
非抜歯矯正だけでなく、抜歯矯正も注意が必要です。抜歯すべきでない歯を抜歯してしまい、後々トラブルに発展するケースもあります。
一般的に、医師が矯正治療のために抜歯が必要と判断した場合、抜歯するのは第4小臼歯であることが多いです。
しかし、不適切な診断により、寿命が長く、一般的に残した方が良いとされている犬歯などが抜歯され、噛み合わせなどに悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、第一小臼歯以外の歯を抜くような診断がなされた場合は、なぜその歯を抜く必要があるのか、医師に尋ねてみるとよいでしょう。
歯茎が下がった
マウスピース矯正では、歯茎が下がってしまうことがあります。歯茎が下がると、歯が長く見え、口元が老けて見えるため、患者さんの見た目に悪影響を及ぼすことがあります。
これは、無理な力で歯を動かし続けたり、そもそも適切なマウスピースが使用できていないことが考えられます。
また、もともと歯を支える骨が少なかった場合、歯茎も下がってしまうことがあります。しかし、大人の矯正治療において、歯茎の後退のリスクは避けられないものです。
気になる方は、自分の歯茎が下がりやすいかどうか、事前に歯科医に確認しておくとよいでしょう。
予想以上に時間がかかった
シミュレーションと実際の歯の動きに差がある場合、マウスピースを作り直す必要が出てきます。
マウスピースの作り直しを待っている間は歯を動かすことができないため、当初の予定よりも時間がかかることが少なくありません。
また、予定と違う方向に歯が動いてしまった場合、正しい位置に戻すのに時間がかかるので、治療期間はさらに長くなります。
特に結婚式や成人式など、明確な目標や期日がある場合は、必ず歯科医師の指示通りに装置を使用するようにしましょう。
失敗したときの対処法
マウスピース矯正の治療が効果的でなかった、失敗したと明らかになった場合、あきらめる前に以下の改善策を試してみてください。
他の歯科医に相談してみる
矯正治療中、医師の説明が不十分であったり、当初の予定を大幅に超えて治療が完了せず、医師から何の説明もない場合、治療がうまくいっているのかどうか、不安になることがあります。
矯正治療中に「おかしいな」と感じたら、セカンドオピニオンを受けることをおすすめします。
もちろん、まずは担当医に説明を求めることが先決です。しかし、それでも納得のいく説明が得られない場合は、他の医療機関の医師に意見を求めてみてください。
再治療が可能かどうか担当医と相談する
セカンドオピニオンの結果、以前受けた矯正治療が不適切であったことが判明した場合、再治療が可能かどうか相談してみましょう。
一度行った矯正治療の再治療は簡単ではありませんが、放置しておくと全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
今回は、マウスピース矯正の効果や、効果を実感できるまでの期間について解説しました。
ますます普及が進むマウスピース矯正ですが、骨格の問題や歯並びの状態によって利用が難しいケースもあります。
マウスピース矯正が可能な歯並びかどうかは、経験豊富な医師による診察・診断を受けることが大切です。
少しでも気になることがあれば、医師に相談し、不安を解消してください。また、医師と気軽に相談できる環境や雰囲気も、矯正治療を成功させるためには重要です。
矯正治療を行うクリニックを選ぶ際には、コミュニケーションが取りやすいかどうかも基準のひとつになるはずです。
下高井戸パール歯科クリニックでは、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、個室を用意するなど、治療前の不安を解消できるよう心がけています。
また、お子様連れの患者様にも安心してご来院いただけるよう、お子様用の設備もご用意しております。
マウスピース矯正治療を受けるかどうか迷っている方、二の足を踏んでいる方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。