マウスピース矯正は前歯だけでも可能?部分矯正で治療できる5つの条件とメリット
「前歯を矯正したいけど、マウスピースで対応できるのかな」と思っていませんか?「他の歯は大丈夫そうだから前歯だけ治したい」という方もおられることでしょう。
この記事では、前歯のマウスピース矯正の特徴や、前歯だけの部分矯正で治せる症状について解説しています。
部分矯正のメリットも紹介していますので、前歯が気になる方はぜひご一読ください。
前歯だけの矯正は可能?
美容意識の高まりから、歯並びを気にされる方が増えています。中には、前歯が気になるので前歯だけ矯正したいという方もおられます。
では、矯正治療は前歯だけ、あるいは部分的に行うことは可能なのでしょうか?結論から言うと、前歯だけ・一部のみの矯正は可能です。
矯正治療というと、ワイヤーを装着して大掛かりな治療をイメージしますが、最近では、気になる歯の部分だけ素早く矯正する部分矯正も以前より簡単にできるようになりました。
前歯のマウスピース矯正の特徴
前歯とは、中央の前歯から3番目の犬歯までの、上下合わせて12本の歯のことです。前歯の部分矯正で対応するのは、一般的にこの12本になります。
前歯だけを治療するとは言え、歯列全体を覆うマウスピースで行うのが一般的です。とはいえ、前歯のマウスピース矯正には、改善できる歯並びと適さない歯並びがあります。
症状によっては、マウスピースを使った部分矯正治療が可能です。一方、奥歯の噛み合わせに問題がある、矯正治療中に抜歯が必要、重度の歯周病などのケースは、マウスピースによる部分矯正治療には向きません。
まずは歯科医院を訪れ、自分の歯並びが部分矯正に適しているかどうか、医師と相談してみてください。
費用相場
マウスピースを使った部分矯正治療の費用は10万円から70万円程度と幅があります。
価格にこれだけの差が出る理由は、一人ひとりの歯列が大きく異なるため、どのマウスピースを使うかによって費用が変わってくるからです。
そのため、費用が気になる方は、前もって自分の治療にかかる費用はどれほどになりそうか歯科医院で診断してもらいましょう。
前歯だけの部分矯正で治療できる5つの条件
歯列矯正というと「前歯から奥歯まで上下すべての歯に矯正器具をかける」というイメージが強いかもしれません。
とはいえ前歯だけに限定した部分矯正という治療法もあります。歯並びや口元が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
軽度のすきっ歯
すきっ歯とは、隣接する歯と歯の間に隙間がある状態のことをいいます。
生まれつき歯が小さかったり、歯の本数が少なかったりすると、歯と歯の間に隙間ができてしまいます。
そうすると発音が空気が入ったような音になったり、歯の間にものが挟まりやすくなったりすることがあります。
また、最初は歯並びが悪くなくても、後天的にそのような状態になるケースもあります。例えば、歯ぎしりの癖がある人は叢生になりやすいと言われています。
軽度の乱杭歯
乱杭歯とは、歯並びが悪くなって生えてきたり、隣の歯と重なって曲がっていたり、歯並びがでこぼこしている歯のことです。
乱杭歯は、ガチャ歯、八重歯とも呼ばれる叢生の一種で、歯並びが悪くなっている歯です。開咬、交叉咬合、過蓋咬合など、他の症状を伴うことが多いとされています。
乱杭歯の原因は、歯が顎より大きく、歯が収まるだけのスペースがないことです。虫歯や歯周炎、さらには歯周病を引き起こす可能性があります。
軽度の開咬(オープンバイト)
開咬とは、奥歯がしっかり咬み合っているのに、前歯が咬み合っていない状態のことです。
顎の骨が下向きに発達する特徴的な形状で、前歯で食べ物を噛むことができない、食べ物をうまく発音できないなどの特徴があります。
原因は舌の突出とされていますが、顎の筋肉や舌の癖、口呼吸による顎の関節などの変形が原因であることが多いようです。
軽度の出っ歯
出っ歯は、前歯が外側に生えている状態です。口を閉じているつもりでも、前歯の一部が見えていたり、無理に閉じようとして口が歪んでいたりします。
顎の骨や歯列、歯の形や大きさは遺伝子によって決まると考えられていますが、生活習慣を見直すことで改善することができるので、医師に相談することをお勧めします。
軽度の反対咬合
反対咬合は、受け口とも呼ばれ、下の歯が上の歯より前に出て、噛み合わせが悪くなっている状態です。
歯の位置や傾き、顎のアンバランスが原因で起こるものと、噛み癖が原因で起こるものがあります。
また、幼少期に上あごがうまく発達しなかったり、歯が正常に生えそろわなかったり、鼻の病気などが原因で起こることもあります。
反対咬合の場合、咬み合わせが逆になっているため、前歯で食べ物を噛むことができません。
また、奥歯でうまく噛めないため、上あごや舌で食べ物をつぶしたり、丸呑みしたりする癖がつきやすく、咀嚼障害だけでなく胃腸障害にもなりかねません。
奥歯だけで噛む人もいますが、その場合、一緒に噛んでいる奥歯だけが酷使されるため、奥歯だけがどんどん磨り減っていきます。
そうすると、残っている前歯が早く傷むだけでなく、加齢とともに顎の関節に負担がかかり始めます。
さらに、顎がしゃくれたような顔の変形や、発音がしにくいなどの機能障害が起こる可能性も高くなります。
前歯だけのマウスピース矯正のメリット
歯全体の矯正治療と比べ、前歯のマウスピース矯正にはさまざまなメリットがあります。以下、詳しく見ていきましょう。
治療期間が短縮され、費用が抑えられる
マウスピースによる前歯の矯正治療の治療期間は、個人差はありますが、3ヶ月~1年程度です。
歯全体の矯正治療に必要な1~3年に比べ、治療期間が短いため、近年では結婚式や入学式などのライフイベントに合わせて治療を開始する方が増えています。
また、通院頻度は1~3カ月に1回程度です。ワイヤー矯正は毎月の通院が必要なため、マウスピースによる部分矯正は忙しい方にも最適です。
また、治療期間が短いということは、治療費も安く済むということ。身体的・経済的な負担が軽減されるのがメリットです。
ワイヤー矯正ではできない奥歯も矯正できる
前歯のマウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べてより広い範囲の歯を矯正することができます。
また、奥歯と一緒に歯列矯正ができるということは、美しく並べることができる歯の範囲が広いということです。
前歯は人目につきやすいので、周りの歯も一緒に矯正できるということは、人に見られる歯が美しく整うということです。
矯正治療中の痛みが少なく、発音への影響も少ない
矯正治療中の痛みは、歯の移動と矯正器具の接触によって起こります。部分矯正は、全体矯正に比べ、歯の一部にしか矯正器具をつけないため、動かす歯の本数が少なく、痛みが少ないです。
また、矯正器具を装着する面積が全体矯正に比べて小さいため、発音時に矯正器具が干渉することが少なく、矯正器具を装着したままでも話しやすくなります。
治療に伴う日々の負担を軽減することができる
前歯だけのマウスピース矯正は、費用を抑えられ、治療期間も短縮できるため、患者さんの負担を軽減することができます。
しかし、矯正治療中の患者さんの負担はそれだけではありません。マウスピース矯正治療では、毎日20時間程度の装着が必要で、食後のケアも必要です。
患者さんが装着を忘れてしまうと、期待する効果が得られません。このような毎日の負担を軽減し、できるだけ早く治療から解放されるように、口の状態に応じて、前歯のみのマウスピース矯正をお勧めしています。
前歯のみのマウスピース矯正ができないケース例
前歯のマウスピース矯正は手軽に始められそうなイメージですが、残念ながら適さないケースもあります。ここで確認しておきましょう。
咬み合わせに問題がある
矯正治療では、歯の矯正だけでなく、正しい咬み合わせを作ることも重要です。
前歯だけをマウスピースで矯正した場合、前歯はきれいにできても、奥歯の噛み合わせを矯正することは困難です。
そのため、もともと噛み合わせに問題がある方は、奥歯の治療もできる矯正治療を検討する必要があります。
抜歯を必要とする矯正治療
抜歯が必要なほど歯並びを整えるスペースがない場合は、全体矯正で歯を大きく動かすことが必要です。
重度の歯周病がある
矯正治療では顎に埋まっている骨を動かすため、重度の歯周病の方は全ての矯正治療が受けられない場合があります。
これは、重度の歯周病によって顎の骨が溶けてしまい、再生しにくいからです。
まとめ
部分矯正が可能かどうか、どの装置や方法が適切か、自分なりに調べてもなかなかわからないことがあります。
それは、歯科医師と患者さんの認識に違いがあることが一般的です。そのため、部分矯正治療をお考えの方は、歯科医師に相談するのが一番確実な方法です。
下高井戸パール歯科クリニックでは、矯正治療を検討されている方のために、矯正相談を実施しています。その上で、矯正治療に踏み切るかどうか判断するようにしてください。
また、同性の医師による治療を希望される方には女性医師もおりますので、歯並びでお悩みの方はお気軽にご相談ください。