歯の痛みは、様々な原因があります。歯科医院での診断が必要となる場合もありますが、一般的な原因についてご紹介します。
まずは虫歯。虫歯の進行により歯の神経の近くまで露出、冷水などの刺激により痛みを引き起こします。神経が感染した場合、一度痛みが落ちますがそれは神経が機能しなくなった合図。さらに放置すると汚染は骨の中まで進行、化膿を起こしさらなる痛みを惹き起こすことになります。最悪、顎の骨を削除する場合もあります。
また、歯周病、食いしばりなども歯の痛みの原因となります。
歯周病は、初期では歯ぐきの炎症でとどまっていますが、進行すると歯と歯肉の繋がりを剥し、さらに歯周病菌は深くまで進行、ついには骨まで溶かし始めていきます。また歯周病菌は口の中だけではなく体中に広がりさまざまな悪さをすることが近年はわかっています。歯周病由来の炎症性物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり(糖尿病)、早産・低体重児出産・肥満・血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)にも関与することがわかっています。
食いしばりは歯を削ったり顎へ負担により歯の周りの神経の興奮や口に関わる筋肉痛、首や肩の筋肉痛、顎の関節の炎症を引き起こすことがあります。食いしばりの影響は顎関節症、頭痛、肩こり、頸椎症、腰痛、ひざ痛、四十肩、手のしびれ、耳鳴り、難聴、めまい、不眠症、いびきなど多岐にわたります。
嚢胞・腫瘍など。骨や歯の状態をみるためにはレントゲン撮影が必要な場合があります。嚢胞・腫瘍などは顎骨のレントゲンをとることで早期に発見することができます。骨の外まで影響が起きている場合、中等度以上の進行をしているともいえます。
初診時や定期検診時、治療が必要な部位にレントゲン撮影をします。これはむし歯の部位の確認だけではなく骨の状態をみることで歯周病や、腫瘍の有無を診査をするためにも行います。
歯科用レントゲンは現在デジタル撮影に対応しており過去の歯科用アナログレントゲンと比べ十分の一程度に抑えられています。さらに、撮影時には鉛の入った「放射線防護用エプロン」も着用していただいております。また不必要にはとりません。
このように歯の痛みの原因は多岐にわたり、その影響は小さくはありません。
適切な治療を受けることで、原因を除去する、進行を阻止することが可能です。お早めにご相談ください。
さらに詳しい診査診断が必要な方には、大学病院などの高度医療機関を紹介をすることもできます。
歯学博士 林良宣