イエネコの食事
飼育下では市販のキャットフードがメイン。ドライフードの大半は「総合栄養食」で、水と一緒に与えれば必要な栄養素を摂取できる。
一方、ウェットフードは「一般食」に分類されるものが多く、総合栄養食にトッピングするなどが適切とされる。
丸っこいキュートな顔は「歯」のおかげ!?
生後6~7週間で26本の乳歯が生え揃い、6~7か月齢になると30本の永久歯に置き換わるネコ。
肉食動物だけに、その歯のほとんどが肉を突き刺したり切り裂いたりしやすい、とがった形をしています。
噛む力は私たち人間以上で、約100㎏もあるのだとか!
ちなみに、同じペットとして人気があるイヌの歯は42本。これより12本少ないネコは、
歯が生えるあごの骨の長さも当然短いのです。これこそが、イヌとは違う丸っこくてキュートな顔立ちの秘密なんですよ!
歯みがきをしなくても、むし歯知らず!
むし歯にならない理由は大きく3つ。
1つ目は歯の形です。
多くの歯が薄くとがっているので、人間のような臼型の歯に比べて食べかすなどが残りにくいのです。
2つ目はお口の中の酸性度。人間が弱酸性なのに対して、ネコはややアルカリ性。
むし歯菌のひとつ、ミュータンス菌は、酸性の環境を好むので増殖しにくいと考えられます。
3つ目は食性。人間の唾液には、炭水化物に含まれるでんぷん質を糖に分解する酵素が含まれていますが、
炭水化物の摂取が少ないネコの唾液には、この酵素が含まれていません。だから、むし歯菌の大好きな糖が口内で生成されないのです。
おとなネコの多くが「歯周病」!?
むし歯知らずなのに、歯周病にはかかりやすいのがネコの弱点。成獣の8割が罹患しているともいわれています。
ハードルの高いネコの歯みがきですが、歯みがきおやつや歯みがきおもちゃなども利用して、歯垢(プラーク)をケアしてあげましょう。
高齢だったりウイルスに感染していたりするネコは、歯周病になりやすく悪化もしやすいので要注意。
口臭がきつい・よだれが増える・食べにくそうで食欲が減退・歯がぐらつくなど、気になる症状があれば、動物病院で診察してもらいましょう。
ネコ特有の口腔疾患にも気をつけて!
ネコ特有の病気に、「破歯細胞性吸収病巣(はしさいぼうせいきゅうしゅうびょうそう)」、
もしくは「歯頚部吸収病巣(しけいぶきゅうしゅうびょうそう)」と呼ばれ、
永久歯が溶けてあごの骨に吸収されてしまう病気があります。
原因不明で、予防法も治療法もまだ確立されていません。
進行に伴って痛みが増し、口臭や食欲不振などの症状も見られるので、気になるときは早めに動物病院で相談しましょう。
【引用元】制作:日本歯科医師会協力 協力:ライオン
ネコの歯はむし歯には強いですが、歯周病には弱いため、
日々の口腔ケアを徹底しましょう。
https://www.jda.or.jp/hanogakko/vol73/kamkam.html
医療法人社団育友会 下高井戸パール歯科クリニック・世田谷
院長 大原庸子