睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法について徹底解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止するか、非常に浅くなる症状を指す重篤な睡眠障害です。

この状態は睡眠の質を大幅に低下させ、日常生活に支障をきたす可能性があります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の基本概要や原因、治療法について詳しく解説します。睡眠の質を向上させる情報を提供するため、ぜひ最後までご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止するか、もしくは非常に浅くなる症状を指します。

その影響は、睡眠だけでなく日中の生活にも及びます。睡眠中の呼吸異常により十分な酸素を取り込めず、体が低酸素状態になる場合もあります

日中には疲労感や集中力の低下、気分の落ち込みなどの症状が現れ、生活の質を大幅に低下させることがあるため危険な病気です。

さらに、長期的にわたり睡眠時無呼吸症候群が放置されると、重大な健康リスクが生じる可能性があります。

心臓病、高血圧、糖尿病、脳卒中などの疾患の発症リスクが増加し、生命にも関わる重大な病気といえるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群は主に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)」の二つのタイプに分類されます。

それぞれの特徴と主な原因は以下の通りです。

最も一般的なのは、OSA(obstructive sleep apnea)と呼ばれる閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。

本記事では、多くの人が当てはまる閉塞性睡眠時無呼吸症候群について解説しています。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因は複数ありますが、主な原因は以下の3つです。

・肥満や飲酒など生活習慣

・遺伝的要因と年齢

・アレルギーや鼻の問題

ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。

肥満や飲酒など生活習慣

肥満は、睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な原因の一つとされています。

体重の増加に伴い特に首周りの脂肪が増えると、気道が圧迫され睡眠中に呼吸が妨げられやすくなります。

圧迫により気道が狭くなり、空気の流れが阻害され、一時的な呼吸停止や浅い呼吸が生じることがあります。

さらに、アルコールや睡眠薬の摂取も、喉の筋肉を緩ませ、気道を閉塞しやすくする要因となります。

これらの物質が体内に取り込まれると、筋肉の緊張が低下し、気道の壁が柔らかくなり、気道閉塞のリスクが高まります。

特に、仰向けで寝ることが多い人は舌が気道に垂れ下がり、症状が悪化する可能性があります。したがって、肥満による気道圧迫やアルコール・睡眠薬の摂取には注意が必要です。

遺伝的要因と年齢

遺伝的要因も、睡眠時無呼吸症候群の発症に影響を与えることがあります。

遺伝的な傾向は気道の形状や筋肉の特性に影響を及ぼし、無呼吸症候群の発症リスクを増加させる可能性があります。

また加齢に伴い筋肉の緊張が低下し、特に喉の筋肉が弛緩しやすくなるため高齢者では無呼吸のリスクが高まります。

これらの要因を考慮することは、適切な治療法の選択に役立ちます。また、年齢による無呼吸症候群の発症リスクは、加齢に伴って増加する傾向があります。

加齢により筋肉の緊張が低下し、特に喉の筋肉が弛緩しやすくなるため無呼吸の発生率が高まることがあります。

高齢者は無呼吸症候群に対する注意が必要であり、定期的な健康チェックや適切な治療法の検討が重要です。

アレルギーや鼻の問題

アレルギーや慢性的な鼻の問題も、無呼吸症候群の原因となり得ます。具体的には以下の要因が影響を及ぼします。

まずアレルギー反応によって、鼻の粘膜が腫れて鼻腔が狭くなることがあります。

これにより鼻呼吸が難しくなり、口呼吸が増えます。口呼吸により気道の乾燥が進み、喉の粘膜が炎症を起こしやすくなると、睡眠中に呼吸が困難になる可能性を高めます。

さらに、鼻詰まりや副鼻腔炎も気道の障害となり得る重要な要因です。鼻詰まりによって鼻通気が阻害され、気道の通り道が狭くなります。

また、副鼻腔炎は鼻の粘膜に炎症を引き起こし、通気を制限する可能性があります。

これらの鼻やアレルギー関連の問題が存在する場合、治療や管理が睡眠時無呼吸症候群の症状の軽減に向けた重要な措置となります。

アレルギー治療や鼻の問題の適切な管理によって、気道の通気を改善し睡眠時無呼吸症候群のリスクを低減させることが可能です。

無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療は、症状の重さや原因に応じて異なります。治療の主な目的は、正常な呼吸を確保し、睡眠の質を改善することです。

ここでは、主要な治療法を紹介します。

ライフスタイルの変更と自己管理

自分でできる治療方法としては、ライフスタイルを変更することが挙げられます。具体的に、以下の2つを意識すると良いでしょう。

・食生活の改善と運動

・睡眠環境の最適化

それぞれ解説していきます。

食生活の改善と運動

肥満は、無呼吸症候群のリスクを高める要因の一つです。

そのため、体重管理が重要な役割を果たします。具体的なアプローチとして、次の点に注意することが勧められます。

まず、バランスの取れた食事を摂ることが重要です。過度なカロリー摂取や脂肪分の過剰摂取は肥満を助長し、気道圧迫のリスクを高めます。

食事は新鮮な野菜、果物、穀物、健康的な蛋白質を含め、適切な栄養バランスを保つことが大切です。

また、過剰な食事制限は逆効果となることがあるため、食事の質と量の調整に注意が必要です。

さらに、定期的な運動も肥満の予防と管理に効果的です。運動によって体重を減らし、筋力を増強することで、気道の圧迫を軽減する助けになります。

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)や筋力トレーニングを取り入れ、運動習慣を身につけることが重要です。

睡眠環境の最適化

睡眠環境の改善も、無呼吸症候群の症状の自己管理に有益です。

良好な睡眠環境を整えることで、質の高い睡眠を促進できます。

まず、寝室を静かで暗い場所にすることが重要です。外部の騒音や明るさは睡眠の質を低下させる可能性があるため、カーテンや耳栓を利用して対策を施しましょう。

快適な寝具も質の高い睡眠に寄与します。適切なマットレスや枕を選び、寝具の清潔さを保つことが大切です。

また、寝室の温度設定にも注意が必要です。過度の寒さや暑さは快眠を妨げることがあります。適切な室温を保つために空調設備を活用し、快適な環境を維持しましょう。

これらのライフスタイルの変更や自己管理のアプローチは、無呼吸症候群の症状を軽減し、健康的な睡眠をサポートするのに役立ちます。

個々の状況に合わせて適切な対策を取り入れ、無呼吸症候群の管理に取り組んでいくことが重要です。

医療機器を使用した治療

医療機器を使用して、睡眠時無呼吸症候群を治療する方法もあります。

CPAP療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の治療において最も一般的な方法の一つです。

この治療法では、特別な装置を用いて一定の圧力で空気を気道に送り込みます。これにより、気道が閉塞することを防ぎ、正常な呼吸をサポートします。

CPAP装置は、患者が睡眠中に鼻または口を通じて空気を吸入する際に使用され、

効果的に症状を軽減する役割を果たします。適切なCPAP圧力の設定が重要であり、医師によって調整されます。

マウスピースなど口腔内装置の使用

軽度から中度の無呼吸症候群の場合、マウスピースや口腔内装置が有効な治療法として考えられます。

これらの装置は、患者の下顎を前方に保持し、気道を開放する役割を果たします。特に、舌が気道を閉塞することが原因となる場合に効果的です。

患者の口腔に適合するように調整されるため、医師や歯科医師による適切な評価と調整が必要です。

これらの医療機器を使用した治療法は、無呼吸症候群の症状を改善し、患者の健康と睡眠の質を向上させるのに役立ちます。

治療法の選択は個々の症状と状態に合わせて行われるため、医師との協力が不可欠です。

薬物療法や手術を受ける

医療機器を使用しても睡眠時無呼吸症候群が改善できない場合には、最終手段として薬物治療や手術を受けることが可能です。

効果的な薬物療法

一部の薬物は、睡眠の質を改善し、無呼吸の発生を減少させる可能性があります。

しかし、これらの薬物は主に症状の管理に使用され、根本的な原因の治療にはなりません。

医師の指導のもとで薬物療法が行われ、患者の特定の症状や状態に合わせて適切な薬剤が選択されます。

手術を受ける

重度の無呼吸症候群の場合、気道を拡大するための手術が最終手段として検討されることがあります。手術の種類は症状や原因に応じて異なり、例えば扁桃腺の摘出や顎の手術が含まれます。

手術は睡眠時無呼吸症候群の重篤な症例に対する治療法であり、医師の評価と診断に基づいて行われます。手術はリスクを伴う場合もあるため、患者と医師の間で慎重な議論が行われます。

これらの治療法は、無呼吸症候群の症状を管理し、患者の健康と睡眠の質を向上させるために選択されるのが一般的です。

適切な治療法の選択は、患者の状態や必要に応じて医師との協力によって行われます。

無呼吸症候群の治療方法の選び方

無呼吸症候群の治療方法を選択する際には、症状の重さや個々の健康状態を考慮することが重要です。

最適な治療法は一人ひとりの状況によって異なるため、以下で解説する選び方を参考にしてみてください。

症状の重さに基づいて選ぶ

無呼吸症候群の症状は、軽度から重度までさまざまです。

軽度の場合、ライフスタイルの変更や口腔内装置の使用が効果的な場合があります。

一方、中度から重度の症状の場合は、CPAP療法や手術が必要になることがあります。

症状の重さを正確に評価することが、適切な治療法を選択するための第一歩です。

専門医と相談して決める

無呼吸症候群の治療法を選択する際には、専門医との相談が不可欠です。専門医は、患者の症状、健康状態、生活習慣などを総合的に評価し、最も適した治療法を提案します。

また、治療の進行に伴い、症状の変化に応じて治療法を調整することも重要です。患者自身の意見や疑問も、治療計画を決定する上で重要な要素となります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群に悩んでいて、ライフスタイルの変更も試してみたけど改善できなかった人には、マウスピースでの治療がおすすめです。

下高井戸パール歯科クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群を改善するためのマウスピースを検討されている方の相談を受け付けております。

日中のパフォーマンスをいち早く改善したい方は、是非マウスピースでの治療に取り組んでみてください。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷

大原庸子