
親知らずが生えた人の多くは抜歯が必要とされ、その際には痛みや腫れなどの症状を伴うことが一般的です。
特に親知らずが生えかけの状態では、歯茎を突き破る過程や周囲の組織への圧迫によって、強い痛みや不快感を引き起こします。
また、親知らずは口腔内の奥に位置しているため清掃が難しく、炎症や虫歯などのトラブルも発生しやすい部位です。
この記事では、生えかけの親知らずが引き起こす痛みの原因から、自宅でできる応急処置、そして歯科医院での治療法まで解説します。
親知らずとは?

親知らずは前歯から数えて8番目に位置する『第三大臼歯』です。
通常、10代後半から20代前半に生え始めることが多いですが、すべての人に必ず4本生えるわけではなく、個人差があります。
親知らずが生えるスペースが不足している場合や、生える方向が不適切な場合には、痛みや炎症、隣接する歯への悪影響など、さまざまなトラブルを引き起こしやすいのが特徴です。
また、親知らずという名前は、親が気づかないうちに生えてくることや、生える時期には親元を離れていることが多かった時代背景に由来するとされています。
親知らずは正常に生えれば特に問題ありませんが、不適切な状態で生えると抜歯が必要になるケースもあります。
生えかけの親知らずが痛む主な原因

親知らずの痛みには、さまざまな原因があり、親知らずの生え方や周囲の環境によって症状が異なります。
特に、生えかけの状態では歯茎や隣接する歯への影響が大きくなります。そのため、炎症や圧迫による痛みが生じやすいのが特徴です。
ここでは、親知らずが痛む主な原因について詳しく解説します。
歯茎に強い圧力がかかっている
親知らずは永久歯の中で最後に生える歯で、親知らずが歯茎を押し上げて突き破る際、歯茎に強い圧力がかかり、痛みを伴うことがあります。
特に、親知らずが正常な位置でまっすぐ生えない場合や、顎の骨にスペースが不足している場合には、歯茎への負担が大きくなり、痛みが強くなる傾向があります。
また、圧迫によって歯茎が炎症を起こしやすくなり、腫れや違和感を感じることも少なくありません。
正常に生える場合でも、一時的な痛みを伴うことがありますが、親知らずの位置や状態によっては長期間続く場合もあります。
痛みが続く場合には、早めに歯科医院で診察を受けることが重要です。親知らずの生え方や状態によって適切な治療法が異なるため、専門的な判断を仰ぐことをおすすめします。
炎症が起きている
親知らずが部分的にしか生えていない場合や、斜め・横向きに生えている場合、問題が生じやすくなります。
歯と歯茎の間に深いポケットが形成され、そこに食べかすや細菌が溜まりやすくなるためです。
細菌の繁殖が原因で、歯茎が腫れたり痛みを引き起こしたりするのが『智歯周囲炎』です。
初期症状としては歯茎の腫れやズキズキとした痛みが現れますが、進行すると膿が出たり、口を開けづらくなったり、発熱や全身の倦怠感を伴うこともあります。
さらに悪化すると、炎症が顎や首にまで広がり、『頬部蜂窩織炎(きょうぶほしかえん)』など重篤な疾患を引き起こす可能性もあります。
智歯周囲炎は一度発症すると再発しやすいため、適切な治療と予防が重要です。日頃から親知らず周辺を清潔に保ち、早めに歯科医院で相談することがトラブルを防ぐ鍵となります。
歯茎を噛んでいる
親知らずが痛む原因の一つに歯茎を噛んでいることがあります。
これは、上下の親知らずが正しく噛み合っていない場合や、片方の親知らずがまだ生えていない状態で起こりやすい問題です。
例えば、上の親知らずが先に生えた場合、下の歯茎を噛むことがあります。噛み合わせの不具合により、歯茎が繰り返し傷つき、炎症や腫れを引き起こすことがあります。
自宅でできる応急処置

親知らずが痛むと、日常生活に支障をきたすことがあります。
しかし、すぐに歯科医院を受診できない場合でも、自宅でできる応急処置によって一時的に痛みを和らげることが可能です。
ここでは、自宅で簡単に実践できる応急処置について詳しく解説します。
丁寧な歯磨き
親知らず周辺は奥まった位置にあるため、食べかすや歯垢が溜まりやすく、炎症や痛みの原因となる細菌が繁殖しやすい環境です。
柔らかい歯ブラシを使用して、痛みを悪化させないよう優しく磨くことが大切です。
特に親知らずと歯茎の境目や隣接する歯との間は汚れが溜まりやすいため、丁寧にブラッシングを行いましょう。
また、ヘッドが小さめの歯ブラシやタフトブラシを使うと、親知らず周辺をより効果的に清掃できます。
さらに、仕上げに洗口液で口内をすすぐことで殺菌効果を高めることもおすすめです。
ただし、強く磨きすぎると逆効果になるため注意しつつ、清潔な状態を保つことが炎症予防につながります。
冷却
親知らずが生えかけの痛みで、特に炎症や腫れが原因で痛みが出ている場合、患部を冷やすことで一時的に痛みを和らげられます。
冷却には、濡らしたタオルや冷却ジェルシートを使用し、頬の外側から患部に当てる方法が適しています。
ただし、直接氷や保冷剤を肌に当てると凍傷を引き起こす可能性があるため、必ずタオルで包んで使用してください。
また、冷やしすぎると血流が悪化して逆効果になることもあるため、5〜10分程度冷やしたら一旦休むなど、適度な間隔を空けることが重要です。
この方法は一時的な痛みの緩和には役立ちますが、根本的な解決にはならないため、症状が続く場合は早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
市販の痛み止め
生えかけの親知らずによる痛みが強い場合、市販の痛み止めを服用することで一時的に痛みを和らげることができます。
市販薬には、炎症を抑える効果があるロキソプロフェンや、比較的副作用が少ないアセトアミノフェンなどが含まれたものがあります。
これらは痛みがひどくなる前に服用することで、より効果的に痛みを抑えることが可能です。
ただし、服用の際は必ず用法・用量を守り、胃腸障害やアレルギーのリスクがある方は注意が必要です。
また、市販薬はあくまで一時的な対処法であり、痛みの根本原因を解決するものではありません。
痛みが続く場合や症状が悪化する場合は、早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
食事の工夫
生えかけの親知らずが痛む場合、硬いものや噛む力が必要な食品は避け、歯茎への負担を減らしましょう。
柔らかい食品や飲み込みやすいもの、例えばスープやお粥、ゼリーなどを選ぶと良いです。
また、辛いものや酸味の強い食品は炎症を刺激する可能性があるため控えるようにしましょう。
食事中に痛みを感じる場合は、親知らずのある側で噛むのを避け、反対側だけで咀嚼するよう心がけると痛みが和らぎます。
生えかけの親知らずの痛みを放置するリスク

生えかけの親知らずによる痛みを「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、思わぬリスクを招く可能性があります。
ここでは、親知らずの痛みを放置することで生じる具体的なリスクについて詳しく解説します。
炎症の悪化
生えかけの親知らずによる炎症を放置すると、初期段階では歯茎の腫れや痛み程度で済むことが多いですが、炎症が広がり智歯周囲炎が慢性化する可能性があります。
また、炎症が周囲の組織に波及すると、頬部蜂窩織炎などより深刻な状態へ進行する可能性もあるため注意が必要です。
こうした状態は日常生活に支障をきたし、治療が遅れるほど回復にも時間がかかるため、早期の対処が重要です。
顔の腫れ
親知らず周辺の炎症が進行すると、頬や顎の組織にまで炎症が広がり、顔全体が腫れることがあります。
この腫れは、炎症による血流の増加や組織液の溜まりが原因で、見た目にも大きな変化をもたらすだけでなく、痛みや不快感を伴うことが多いです。
特に、炎症による血流の増加や組織液の溜まりが原因となり、腫れとともに痛みや不快感を伴うことが一般的です。
開口障害
生えかけの親知らずの痛みを放置すると、炎症が進行し、顎周辺の炎症や腫れによって口を十分に開けられなくなる、開口障害を引き起こすリスクがあります。
親知らず周辺の組織が腫れることで顎の動きが制限され、食事や会話が困難になるだけでなく、歯科治療を受ける際にも支障をきたすケースがあります。
この状態が続くと、栄養不足や日常生活への影響が大きくなる可能性があるため注意しましょう。
周囲の歯への影響
親知らずが斜めや横向きに生えている場合、隣の歯を強く押し付けることがあり、この圧迫によって歯並びが乱れる可能性があります。
また、親知らずと隣の歯の間にできる隙間は、食べかすや歯垢が溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因となります。
このような状態を放置すると、最終的には親知らずだけでなく隣の歯も抜歯が必要になるケースも少なくありません。
受診の目安は?

親知らずが痛む場合、受診の目安は症状の進行具合や痛みの程度によって異なります。
軽い違和感や一時的な痛みであれば、自宅での応急処置で様子を見ることも可能ですが、以下のような症状が見られる場合は早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
- 痛みが強くなる場合
- 腫れや発熱がある場合
- 口が開けづらい場合
- 痛みや腫れを繰り返す場合
- 食事や飲み込みが困難な場合
症状を放置すると、炎症が悪化し周囲の歯や全身に影響を及ぼすリスクがあります。親知らずの痛みを感じたら早めに歯科医院で診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。
歯科医院での治療法

生えかけの親知らずが痛む場合、歯科医院では症状に応じて以下の治療が行われます。
- 洗浄・消毒
- 抗生物質・痛み止めの処方
- かみ合わせの調整
- 抜歯
炎症が強い場合には、抗生物質で感染を抑えつつ、痛み止めで一時的に症状を和らげます。これにより、炎症が落ち着くまでの間に抜歯などの次の治療計画を立てられます。
親知らずが歯茎や隣接する組織を刺激して痛みが出ている場合、その部分を削って形を調整することで、痛みの軽減が可能です。
親知らずが斜めや横向きに生えている場合や、炎症や痛みが繰り返される場合には抜歯が検討されます。抜歯は麻酔下で行われるため、施術中の痛みは最小限に抑えられます。
痛みが続く場合は早めに歯科医院で相談しましょう。
生えかけの親知らずに関するよくある質問

生えかけの親知らずが痛むと、多くの人が不安や疑問を抱えるものです。「この痛みは自然に治るのか」「抜歯が必要なのか」など、親知らずに関する悩みはさまざまです。
ここでは、生えかけの親知らずが痛い場合によく寄せられる質問に対してわかりやすく回答していきます。
親知らずの痛みは自然に治りますか?
親知らずの痛みが自然に治るかどうかは、痛みの原因や親知らずの状態によります。
一時的に痛みが治まることはありますが、根本的な問題が解決されていない場合、再び痛みや炎症が起こる可能性が高いです。
特に智歯周囲炎などの炎症が原因の場合、細菌感染が進行することで症状が悪化するリスクがあります。
また、親知らずの位置や生え方によっては、隣接する歯や歯茎に悪影響を及ぼすこともあります。
親知らずの痛みがある場合、抜歯は必ず必要ですか?
必ずしも抜歯が必要だとは限りません。
親知らずがまっすぐ正常に生え、噛み合わせに問題がなく、清掃が十分に行える場合は、抜歯せずに維持できるケースもあります。
しかし、斜めや横向きに生えている場合や、隣接する歯を圧迫している場合、または虫歯や炎症を繰り返す場合には、抜歯が推奨されます。
抜歯は痛いですか?
親知らずの抜歯は、麻酔を使用するため施術中に痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔が切れた後に痛みを感じることがありますが、これは個人差があり、多くの場合1~2日程度で鎮痛剤が不要なレベルまで軽減します。
ただし、親知らずの生え方や抜歯の難易度によっては、痛みが数日から1週間続くこともあります。
抜歯後の痛みを最小限に抑えるためには、歯科医師の指示に従い、適切なケアを行うことが重要です。
まとめ
親知らずが生えかけで痛む原因は、歯茎の圧迫や炎症など多岐にわたり、放置すると悪化するリスクがあります。
自宅での応急処置や歯科医院での治療を活用し、早めの対応が重要です。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷は、親知らずの痛みに対する診断から治療まで、患者様一人ひとりに合わせた丁寧な対応を心掛けています。
痛みや不安を軽減するための配慮を徹底しており、リラックスした環境で治療を受けていただけます。
親知らずの痛みでお悩みの方は、ぜひ下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にお気軽にご相談ください。
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