
「歯医者で親知らずがないっていわれたけど、何か問題があるのかな?」
「そもそも自分には親知らずがあるのかな?」
親知らずは必ず生えてくるものではありませんが、どうして人によって違うのか、気になる人は少なくありません。
この記事では、親知らずがない人の特徴や生えない理由、ないと思っていたのに生えてきた場合にどうすればいいのかなどを紹介します。
親知らずについて理解を深め、口腔内のトラブルを防ぎましょう。
そもそも親知らずとは?

親知らずとは正式名称を第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)といい、生えてくるとすれば18〜20歳頃に口腔内の一番奥に生えそろいます。
親知らずの語源には、寿命の短い昔の人は親知らずが生えてくる頃にはすでに親が亡くなっているため、という説があります。
16歳くらいで親知らず以外の28本が生え揃い、その後親知らずが生えてこなくても食べ物をきちんと噛むのに足りないということはありません。
しかしその後追加されるように親知らずが生えてくる場合、虫歯や痛みなどのトラブルの元になることがあるため、その際の治療法はほとんどが抜歯です。
そして、あるのが分かっている親知らずが生えてこないのに問題がある場合や、生えてきているのに問題がない人もいるため、歯科医院にいくべきか悩む人もいるでしょう。
一方、人によっては親知らずがない人もいますが、それは特に異常ではないため全く問題がありません。
親知らずがある人や親知らずが生えてきた人は、治療が必要になった場合は抜歯となることが多いため、注意が必要です。
親知らずがない人の特徴

親知らずが生えてくるとトラブルになることが多く、そのせいで抜歯した話を耳にすると、自分に親知らずがあるかが気になる人もいるでしょう。
「親知らずがない人」には、あるのに生えない人や、生えても見えない人、親知らずそのものがない人などがいます。
ここでは「親知らずがない」といわれる人の特徴を紹介します。
遺伝の影響で歯の卵がない
親や祖父母に親知らずがなければ、遺伝の影響で親知らずがもともとない=歯の卵がない場合があります。
人間の歯は、歯の卵である『歯胚』の状態で顎の骨の中に発生しますが、この数は遺伝によってほとんど決まっているとされています。
親知らずの有無や位置・周りの状況などを確認するには、歯科医院で行うレントゲン撮影やCTスキャンなどの検査が必要です。
しかし親知らずの歯胚は10歳前後に発生し始め、その前の時点ではレントゲンに映らないため、気になる場合は10歳を過ぎてから歯科医に相談しましょう。
レントゲンを撮っても親知らずが顎の骨の中にも歯茎の中にも映らない場合、親知らずがない人ということです。
親知らずが生えるスペースがない
親知らずが生えるスペースがない人は、歯茎の下に埋まっていて表に出てこない場合があります。このような親知らずの状態を『埋伏智歯(まいふくちし)』といいます。
現代の日本人は昔より柔らかいものを食べるようになったため顎が小さくなりがちです。また、顎の形や歯の大きさなども遺伝による影響を受けます。
28本分しか顎のスペースを確保できなくなっているところへ、後から親知らずが生えてこようとするため、表に出てこられずに埋伏智歯となります。
埋伏智歯は、斜めや横向き・逆さなど、さまざまな向きに生えることがありますが、表に出てこないまま痛みや腫れなどの症状もない場合、親知らずがあることに気付かないことがあります。
親知らずが生えてこない割合

埋伏智歯の臨床統計に関してのデータは約50年ほど前のものと古く、その後公式なデータは発表されていませんが、日本の歯科医院での診療データによると、親知らずが生まれつきない人は4人に1人、約25%といわれています。
しかし「親知らずがない人」というのは実際には2種類の意味があり、一つは上記にある「歯胚がない人」ですが、もう一つは埋伏智歯のように「表に生えてこない人」です。
一方で、日本人の中で親知らずが一本も生えない人は約10〜20%とする意見も聞かれます。
この中に今後トラブルが起こるかもしれない埋伏智歯の状態の人が含まれている可能性がないとはいえません。
そう考えた場合、親知らずのトラブルによって悩まされている人の数は、この割合から読み取れる数字よりも多いかもしれません。
日本人は特に顎が小さい
日本人は西洋人などと比べると元々骨格が華奢で顎も小さめの作りをしているため、歯並びが悪くなりやすいといわれています。
食材を細かく切ったり柔らかく調理したりという現代の食生活に順応することで、さらに顎の骨が小さくなってきているため、親知らずが生えるスペースが狭まっています。
顎の骨が小さくなることは人類の一つの進化の過程と考えられており、親知らずは退化傾向にあるともいわれています。
治療が必要な親知らずとは?

親知らずがない人はトラブルの心配がありませんが、親知らずがない・生えてこないと思っていたのに生えてきてしまったら、場合によっては治療をする必要があります。
ここでは、治療が必要な親知らずにはどのような症状があるのかを紹介します。
歯茎から見えている
親知らずが斜めに生えて出てきた場合、歯磨き不足で手前にプラークや汚れが残って歯周炎や虫歯になったり、歯に被っている歯肉を押したりして炎症を起こす原因となります。
まっすぐに生えず、歯茎の一部から親知らずが露出している場合は『半埋伏智歯』といい、歯ブラシで磨いても清潔を保てず、虫歯や歯周病・智歯周囲炎のリスクが高まります。
またそれらが悪化すると、歯性感染症(広範囲に及ぶ感染症)を引き起こし、歯の神経を通じて顎や周辺の筋肉など、顔全体に症状が広がり、発熱やリンパの腫れ、開口・嚥下障害を引き起こすため危険です。
トラブルを繰り返したり、親知らずだけでなく周囲の歯にも悪影響を及ぼしたりするため、抜歯を提案されます。
痛み・違和感がある
親知らずが表面に見えず生えていない状態でも痛みや違和感がある場合は、歯茎や顎の骨にトラブルが起こっている場合があります。
親知らずが歯茎の中で斜めや横向きに生えて手前の歯を押す場合、痛み・違和感・歯根吸収(隣の歯が根を押して溶ける症状)が起こることもあります。
親知らずだけではなく、悪影響を与えてしまった周辺の歯も抜かなければならなくなる場合があるため、放置は禁物です。
歯並び・噛み合わせが変化する
親知らずが斜めに生えていたり、綺麗に生えているけれど噛み合っていない場合は、歯並びが変化して噛み合わせに不具合が起こる可能性があるため、虫歯同様、注意が必要です。
斜めに生える親知らずは手前の歯を押してしまいますが、その圧迫で歯並びが変化することがあり、噛み合わせが悪くなって顎関節症を引き起こすことがあります。
また、歯は上か下だけが生えてしまった場合、『挺出』といって、上の歯は下に、下の歯は上に動いて伸びてくるという現象が起こります。
そうなると噛み合わせが変化するだけでなく、歯茎を傷つける原因となってしまうため、抜歯が必要です。
嚢胞(うみの袋)
歯茎の中に完全に埋まっている親知らずの周りに『含歯性嚢胞』と呼ばれる袋状の病変ができる場合があります。
舌や唇にもできる場合があり、放置すると徐々に大きくなって、骨を圧迫して溶かしたり、内部で細菌が繁殖して感染症のリスクが高まったりします。
逆さに生えるタイプの親知らずは『逆性埋没智歯』と呼ばれ口腔内には出てきませんが、埋まっているためやはり嚢胞を作ってしまう可能性があります。
トラブルにならないケースはそのまま様子を見る場合もありますが、痛みを生じたり腫れたりすれば抜歯を検討することになるでしょう。
4本全部または嚙み合わせる2本がまっすぐ生えて使える
親知らずがまっすぐ生えて普通の歯と同様問題なく使えていても、念のためプロのクリーニングと定期的な健診が必要です。
4本とも、または噛み合わせの2本がまっすぐ生えていて痛みもなく、問題なく使えていればトラブルが起こる可能性は低く抜歯は必要ありませんが、一番奥の歯のため歯磨きが難しい場合があります。
他の歯よりも虫歯や歯周病になりやすい歯であるため、定期的に通院してクリーニングを行いましょう。
口内炎の原因になる場合がある
親知らずがあることで歯並びや噛み合わせが悪くなり、口内炎の原因になる場合があります。
親知らずのせいで噛み合わせが悪くなると、頬を噛んで口内炎を発生させるケースがあります。
まっすぐであれば気にする必要はありませんが、親知らずはさまざまな方向へ生え、頬の粘膜を刺激してしまうためです。
斜めに生えるのはもちろんのこと、親知らずは頬に向かって生えたり、舌の方へ向かって生えたりすることもあります。
そしてそのような歯が虫歯になった場合は余計に周囲を傷つけやすくなるため、早めの処置が必要です。
親知らずの抜歯の費用

親知らずの抜歯にかかる費用は、保険適用で約2,000〜10,000円程度です。
歯科医にすすめられた場合は抜歯を検討しなければいけませんが、親知らずの抜歯は歯科口腔外科で行われる外科手術のため、費用が気になります。
親知らずを抜歯した方がいい場合は以下の通りです。
- 痛みや腫れが生じる場合
- 斜めに生えている場合
- 完全に埋伏していても嚢胞がある場合
- まっすぐ生えていても噛み合っていない場合
費用相場の範囲が幅広いのは、どのように生えていたかによって抜歯の難易度が違うためです。
一番安価な抜歯は、歯茎からしっかりと見えていてまっすぐ生えている親知らずで、費用が比較的高価になるのは水平埋伏歯や顎の骨にほとんど埋まっている骨性埋伏歯などです。
また、自由診療で行われる親知らずの抜歯費用は5,000〜15,000円程度です。
基本的に虫歯や歯周病などの症状の治療で行われる抜歯は保険適用ですが、歯並びを整えたり歯科矯正のために行われる抜歯は自由診療です。
費用については抜歯を検討する際に前もって歯科医院に確認しておきましょう。
親知らずの治療の判断は歯科医に任せる

親知らずは必ずしも抜歯しなければならないわけではありませんが、無症状でも状況によっては治療が必要になる場合があり、それは歯科医が判断します。
逆に、上でも紹介したように、明らかに親知らずがあるのが分かっていても、抜歯が必要ないケースもあります。
- 異常がない状態で生えて、問題が起こらない
- 周囲の歯茎に炎症が起こっていない
- 清潔に保たれている
- 完全に埋伏していて周囲に影響がない
- 高齢者・全身の健康状態が良くない場合
以上のような場合は、親知らずがあっても抜歯しなくて済むかもしれません。
親知らずを持っているのか、どのように生えているのか、あるのは知っているけど今どうなっているのかなど、状態を確認するだけでも安心です。
治療や抜歯の必要性は、歯科医師でなければ判断が難しいため、ひとりで悩まず、勝手に判断せず、まずは歯科医院に相談しましょう。
まとめ
もともと親知らずがない人は特に問題はありませんが、親知らずがあることが分かっている人は、生えていない場合でも痛みや違和感を放置せず歯科医院を受診しましょう。
親知らずの抜歯は、まっすぐ生えている場合は一般歯科でも抜歯できますが、特に埋伏智歯については口腔外科でなければ対応できないようなケースがあります。
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