親知らずが腫れる原因は?治療法と自宅でできる対処法を解説

親知らずの腫れや痛みに顔をしかめる女性

親知らずが腫れると痛みを伴う場合があり、場合によっては日常生活にも支障をきたします。

親知らずがなぜ腫れるのか、いつまで痛むのかなど、不安を抱える方も少なくありません。

この記事では、親知らずの腫れる原因やその期間、また、歯科医院で行う治療法と自宅でできる対処法を解説しています。

親知らずが腫れる原因は?

スケッチブックと「親知らず」と書かれた木製ブロック

親知らずが腫れる原因は大きく分けて以下の6つがあります。

  • 親知らずが生えた箇所の歯肉炎
  • 親知らず自体の虫歯や歯周病
  • 智歯周囲炎
  • 菌性感染症
  • 嚢胞
  • 抜歯後の腫れ

それぞれを細かく解説していきます。

親知らずが生えた箇所の歯肉炎

親知らずは、歯肉を押し上げて生えてきます。

親知らずが生えた箇所の歯肉は一時的に盛り上がっているため、上の歯で噛んでしまう場合もあり、それが原因で歯肉炎を引き起こし、腫れることがあります

また、親知らずがうまく歯肉を突き破れない場合には、その箇所に汚れがたまり、炎症を起こすこともあります。

まっすぐ生えてきている親知らずの場合、一時的な腫れや痛みで治まる場合がほとんどです。

しかし、斜めや横向きに生えている場合は、さらなる口腔内のトラブルに繋がることもあるため、抜歯が必要な可能性があります。

親知らずの虫歯や歯周病

親知らずは、一番奥の歯のさらに奥に生えてくるため、まっすぐ生えている場合であってもうまく歯ブラシが届かず、食べかすなどの汚れが溜まりやすくなります。

斜めや真横に生えている親知らずでは、隣の歯との間に隙間が生まれます。

親知らずと隣の歯との間に食べかすが挟まると、ブラッシングですべての汚れを取り切ることは困難です。

日ごろのブラッシングで取れない汚れが溜まることで、親知らずが虫歯になりやすくなり、進行すると腫れや痛みを伴います

また、汚れが溜まることで細菌が繁殖し、歯周病の原因になります

親知らずの虫歯や歯周病で、腫れが起こった場合には、放置していてもよくなることはありません。

歯周病の場合には、歯垢除去などを行うことで一時的に炎症を抑えることができますが、何度も繰り返す可能性が高いため、抜歯を検討することがあります。

智歯周囲炎

智歯とは親知らずのことです。

智歯周囲炎とは、親知らずの生えてくるスペースがうまくとれず、斜めや横向きに生えてきてしまうことで親知らず周辺の炎症を引き起こすものです。

親知らずが斜めに生えてきてしまうことにより、歯と歯肉の間に細菌の温床となる歯周ポケットができてしまうこともあります。

また、隣の歯との間に隙間ができることで歯ブラシでは届かない汚れが溜まり、そこにも細菌が繁殖してしまうのです、

細菌が繁殖すると、口腔内の炎症を引き起こし、腫れや痛みが生じます。

智歯周囲炎を放置すると、腫れや痛みだけでなく、膿が出てくる、口が開かなくなる、高熱が出るなどの症状も発生するため、早めに歯科医院に行きましょう。

菌性感染症

智歯周囲炎が、周りの組織に炎症を起こす菌性感染症となる場合も痛みや腫れを生じます。

菌性感染症には、以下のようなものがあります。

  • 顎骨骨膜炎
  • 化膿性リンパ節炎

顎骨骨膜炎は、細菌などが顎の骨に感染することで起こる感染症で、ズキズキと鼓動に合わせて痛みがでることが特徴です。

顔全体も大きく腫れることがあり、見た目にも影響が出ます。

化膿性リンパ節炎は、口腔内の細菌などがリンパに波及することでリンパ節が腫れ、高熱が出る感染症です。

嚢胞

親知らずの腫れと痛みの原因のひとつである嚢胞には、含歯性嚢胞歯根嚢胞があります。

含歯性嚢胞

親知らずがある骨の部分にに埋まっている歯の成分が袋状になっているものを含歯性嚢胞といいます。

見た目には埋まっている親知らずでも、嚢胞を放置すると徐々に大きくなり、細菌感染が起こると痛みや腫れを引き起こします

最終的には、顎の骨を溶かしてしまう恐れもあるため、レントゲンやCT撮影などで見つかった場合には、放置せずに親知らずの抜歯が検討されることが多いです。

歯根嚢胞

親知らずの虫歯菌により神経が死んでしまった場合、その歯の根に液状の内容物の入った袋ができることがあります。

これを歯根嚢胞と呼び、放置してしまうとだんだんと大きくなることで、周辺の神経を圧迫し、腫れや痛みが出ることがあります。

レントゲンやCT撮影などで見つかることが多いため、初期のうちに抜歯などの処置を加えることが多いとされています。

抜歯後の腫れ

親知らず抜歯後の腫れや痛みは、一般的に起こりやすいものです。

親知らずの抜歯は外科的な処置となるため、歯肉を切開する、歯を削るなどの痛みやその後の腫れが生じます。

親知らず抜歯後の腫れは、処方された薬や、注意事項を守って安静にしていることで長くても1週間程度で治まります。

親知らずの腫れはいつまで続く?

親知らずの腫れがあり耳の下あたりを押さえる女性

親知らずの腫れの期間は、その原因によって二つに分けられます。

  • 親知らずの腫れが炎症などによるものの場合
  • 抜歯後の親知らずの腫れの場合

それぞれの場合を詳しく見ていきます。

親知らずの腫れが炎症などによるものの場合

親知らずの腫れが虫歯、炎症などによるものの場合、放置しておいても腫れや痛みが改善することはありません

放置することで、さらなる腫れや痛み、その他の症状を引き起こす懸念もあるため、歯科医院に相談をし、適切な処置を行うことが推奨されます。

親知らずが原因による炎症の場合、親知らずの抜歯を検討することが多いです。

抜歯後の親知らずの腫れの場合

親知らずの腫れや痛みは抜歯後にも多く見られます。

この場合、腫れや痛みの期間は2~3日、長くても1週間の場合がほとんどです。

しかし、抜歯後1週間以上経過しても、さらに痛みが続く場合は「ドライソケット」となっている場合もあります。

ドライソケットとは、抜歯後の傷口にできるはずの血餅と呼ばれるかさぶたが、うまく生成されない、剥がれてしまうなどの原因で、顎の骨が露出してしまう状態です。

ドライソケットになると、骨に直接刺激が加わってしまうため、響くような強い痛みを感じます。

また、ドライソケット部分に細菌感染が起こるとさらに強く痛みを感じる場合もあるため、抜歯をした歯科医院に早めに相談しましょう。

ドライソケットを予防するためにも、抜歯後には以下の点に注意することが大切です。

  • 激しいうがいをしない
  • 歯ブラシや舌を患部に当てない
  • 長時間の入浴や激しい運動を控える
  • 喫煙を控える
  • 食事に注意する

過度なうがいをしたり、歯ブラシ、舌で触れたりすることによって血餅が剥がれてしまうため、控えましょう。

長時間の入浴や運動により、血行が促進されると、傷口から出血する恐れがあります。

また、喫煙も控えましょう。たばこに含まれるニコチンには血管収縮作用があります。

血管収縮作用により、血餅が形成されにくくなるうえに、免疫機能の低下により感染症を引き起こすことも考えられます。

抜歯後の食事は、柔らかく咀嚼しやすいものにしましょう。ヨーグルトやおかゆ、スープ、プリン、ゼリーなどがおすすめです。

また、食事を摂る際は、血餅が剥がれないように抜歯したほうと反対側の歯で噛むことを心がけてください。

親知らずが腫れた時の治療法

親知らず治療のための歯科医療器具

親知らずが腫れてしまった時は、どのような治療が行われるのかを事前に知っておくと心構えができます。

歯科医院で一般的に行われる親知らずの腫れの治療は次のとおりです。

  • 患部の洗浄
  • 抗生物質の直接投与
  • 抗生物質の処方・服用
  • 抜歯を検討

患部の洗浄

炎症が起こっている部分の歯と歯肉の間にある歯周ポケットを、超音波スケーラーと呼ばれるクリーニング用の機械で洗浄し、綺麗にします。

歯石や歯垢を取り除くことで一時的に腫れが引く場合もありますが、親知らずが生えていることで汚れが溜まりやすい状況を作り出してしまうため、再発することも多いです。

膿が出ている場合には、初期であれば患部への抗生剤の直接投与で様子を見ることもあります。

すでに症状が進行していると思われる場合は、歯肉を切開し膿を出す処置をすることもあります。

抗生物質の直接投与

洗浄を行った後、細菌繁殖の原因となっている箇所に直接抗生物質を投与します。

直接投与により、細菌の働きを弱め、早めに炎症を抑えることができます。

抗生物質の処方・服用

処置後は、抗生物質が処方されるため、数日間は用法用量を守り、しっかりと服用することが大切です。

抗生剤の服用により、炎症を引き起こしている細菌の働きを弱めることができます。

抜歯を検討

親知らずの腫れは、炎症を抑える処置をした後も繰り返し起こることが多くあります。

なぜ繰り返し起こるのかというと、親知らず自体やその周辺の歯や歯肉は日常的なブラッシングでは完全に汚れを落とし切ることが難しいためです。

親知らずの抜歯は、痛みの根本を除去することで他の歯や口腔内への衛生面を保つためにも検討されることが多いです。

親知らずの腫れがある際に抜歯を行うには、傷口の治りが遅くなる可能性があるため、炎症を抑える処置を行ってから抜歯します。

親知らずの腫れを自宅で対処する方法と予防方法

痛み止めを飲もうとしている女性

親知らずが腫れてきたけれど、歯科医院に行く時間がとれない、夜間で行けないというときもあるでしょう。

そんな時に、親知らずの腫れや痛みを自宅で対処する方法を紹介します。

痛み止めの服用

親知らずが腫れてきて痛みが出ている場合には、痛み止めを服用しましょう。

処方されている薬を服用することが推奨されますが、市販薬でも痛みを緩和できます。

市販されている痛み止めの成分は、アセトアミノフェンロキソプロフェンイブプロフェンなどがあります。

用途に歯痛と書かれているものを選ぶようにしましょう。

また、アセトアミノフェンは他の成分よりも胃への負担が少ないとされています。

患部を冷やす

親知らずにより腫れている部分を濡れタオルや、タオルで巻いた保冷剤などを当てて冷やすことで麻痺させ、痛みを緩和できます。

ただし、急激に冷やしてしまうと血行不良となり、さらに痛みや腫れを引き起こす場合もあるため、様子を見ながら少しずつ冷やすことが推奨されます。

洗口液での消毒

親知らずが腫れている場合には、殺菌成分のある洗口液ですすぎ洗いをすることにより、一時的に細菌の繁殖を抑制できます。

ただし、アルコール成分の高いものは刺激が強いため、使わないようにしましょう。

歯ブラシでの口腔内ケア

親知らずが腫れているときは、毛先の柔らかいブラシで歯のブラッシングをすることも、細菌の繁殖を防ぎ、炎症を拡大させないことに繋がります。

毛先が硬いものを使用してしまうと、刺激が強く逆に炎症を起こしてしまうこともあるため、親知らずが腫れている際の歯ブラシ選びには注意が必要です。

歯ブラシは斜めに入れ、親知らずと周辺を優しく円を描くように磨きましょう。

親知らずと他の歯が接触している場合には、その部分に汚れが溜まりやすいため、より重点的に磨いてください。

通常の歯ブラシでは届かない部分には、タフトブラシ(先の小さな細いブラシ)を使ってケアを行います。

鉛筆を持つようにタフトブラシを持ち、舌で触ってざらざらしている部分を優しく円を描くように軽くこすります。

無理に力を入れずに優しく丁寧に磨くことで汚れをきれいにすることができます。

ストレスをためない

親知らずの腫れは、炎症によって起こります。

炎症を起こさないようにするには、ストレスをためない生活をし、免疫力を上げることが重要です。

また、抜歯する際にも、免疫力が下がっている状態だと抜歯後に腫れてしまうことがあります。

できるだけ、ストレスをためない毎日を送りましょう。

安静にする

親知らずの腫れには、体の抵抗力を上げることが必要です。

また、免疫力が低下していると、さらに炎症が起こりやすくなります。

親知らずが腫れている時には、無理に動くことをせず、安静に過ごすことが大切です。

栄養補給と良質な睡眠

親知らずが腫れている時は、食事を摂ることも難しいかもしれません。

しかし、食事を摂らないと体の免疫力が下がり、炎症が悪化してしまいます。

栄養補給用のゼリーや柔らかくあまり咀嚼を必要としない食べ物を食べ、栄養を補給しましょう。

また、免疫力や抵抗力を上げて親知らずの腫れを予防するためには、十分な睡眠が必要不可欠です。

不規則な生活を送り、睡眠不足になっていると免疫力が下がった状態となります。

たくさんの睡眠をとることで、口腔内の細菌の繁殖を防ぐことにつながります。

まとめ

親知らずが腫れる原因には、親知らずが生えた箇所の歯肉炎、親知らず自体の虫歯や歯周病、智歯周囲炎、菌性感染症、嚢胞、抜歯後の腫れの6つが挙げられます。

親知らずが腫れた場合、自宅で一時的に炎症を抑える対処をすることはできますが、歯科医院で適切な処置を行わないと再発する可能性があるため注意が必要です。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、日本口腔外科専門医が在籍しており、難しい親知らずの症例の場合でも対応可能です。

リラックスした状態で治療に臨んでもらうため、親知らずの処置は衛生的な個室で行っています。

親知らずが腫れてしまった方は、ぜひ、下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。

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