
親知らずが生えてきてから頭痛を感じる方は少なくありません。
実際に、親知らずは頭痛を引き起こす場合もあり、その他の不調の原因になることもあります。
この記事では、親知らずと頭痛の関係性と原因、対処法、その他の症状について紹介します。
原因がわからない頭痛や親知らずからくる頭痛を解消したい方は、ぜひご覧ください。
親知らずで頭痛が起こる理由

頭痛の原因は、ストレス、寝不足、運動不足、はたまた大きな病気まで多岐にわたります。
そんななかで、親知らずが生えている方は、それも原因の一つとして疑ってみてもいいかもしれません。
親知らずで頭痛が起こる理由は主に次の4点が考えられます。
- 虫歯や歯周病による神経の刺激
- 親知らず周辺の虫歯や歯周病による副鼻腔炎
- 親知らずが生えたことによる噛み合わせのずれ
- 親知らずの抜歯後の炎症
それぞれの理由について、詳しく解説します。
虫歯や歯周病による神経の刺激
現代人は顎が細い傾向にあり、奥歯よりも最後に生えてくる親知らずのためのスペースが狭い状態です。
斜めに生えたり、横向きに生えたりする場合が多く、食べかすや磨き残しなどで汚れがたまりやすくなります。
汚れは口腔内の虫歯菌や歯周病菌を繁殖させ、親知らず自体の虫歯だけでなく、周辺の歯周病も引き起こすのです。
虫歯や歯周病が神経まで達するほど悪化すると、脳に感覚を伝える三叉神経を通じ、頭痛を引き起こします。
親知らず周辺の虫歯や歯周病による副鼻腔炎
上顎の親知らずの根は、副鼻腔の上顎洞に近く、虫歯や歯周病による炎症が波及して副鼻腔炎を引き起こすケースがあります。
親知らずによる副鼻腔炎は「歯性上顎洞炎」と呼ばれ、多くの場合が頬の奥深くにズキズキとした鈍い痛みを感じます。
上顎洞内の圧力が上昇し、炎症が波及すると頭痛を引き起こすこともあり、前頭部や目の周り、頬の上部に痛みを感じることが多いです。
また、時に偏頭痛のような激しい痛みにもおそわれるケースもあります。
親知らずが生えたことによる噛み合わせのずれ
親知らずは上下左右の奥歯の隣に最大4本生えますが、同じタイミングで必ず生えてくるとは限りません。
片側だけに親知らずが生えた場合、噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性があります。
噛み合わせが悪くなると、食べ物を咀嚼する際に顎に大きな負担がかかるうえに、顎周辺の筋肉が常に緊張した状態です。
その結果、顎から肩、首の筋肉も緊張してしまい、頭痛を引き起こすことになります。
親知らずの抜歯後の炎症
親知らずを抜歯した後に頭痛を感じる場合もあります。
これは、抜歯後の傷を治そうとするための反応であり、抜歯後に起こりうる一般的な症状です。
また、抜歯の際に歯を削った場合には、その振動が頭痛を引き起こします。
親知らずによる頭痛はいつまで続く?

親知らずによる頭痛は、炎症などによる場合と抜歯後の場合でいつまで続くかに差があります。
ここでは、虫歯や炎症などによるものの場合と、抜歯後の場合に分けて細かく説明します。
虫歯や炎症によるものの場合
親知らず自体の虫歯やその周辺の炎症による頭痛の場合は、根本的な治療を行わない限りは放置しても痛みは改善しません。
放置することで頭痛が続くだけでなく、歯周病により歯が抜けてしまったり、さらなる病気を引き起こすことにもなりかねません。
親知らずを抜歯するなど根本的な治療を行い、痛みを改善していくことが必要になりますので、歯科医院で相談してみましょう。
親知らず抜歯後の場合
親知らずを抜歯した後に頭痛や発熱が起こることは、めずらしいことではありません。
この場合には、処方された薬を飲み、安静にしていることで2〜3日、長くとも1週間程度で痛みはおさまることが多いです。
もし、2週間程度痛みが続いたり、強くなったりするようならば、抜歯した歯科医院を受診してください。
痛みを軽減する応急処置

親知らずによる頭痛かもしれない、と思った際にはなるべく早めに歯科医院を受診しましょう。
しかし、夜中や歯科医院を受診できない時間帯だった場合に、少しでも痛みをやわらげる方法を紹介します。
ただし、この応急処置で一時的に痛みが和らぐ場合であっても、親知らずがある場合は、歯科医院を受診することをおすすめします。
痛い部分を冷やす
痛みのあるほうの頬を保冷剤、氷を包んだタオルなどで冷やすことで痛みを緩和できる場合があります。
冷やすことにより、炎症のある部位の感覚を麻痺できるためです。
しかし、冷やしすぎには注意が必要です。長時間冷やすのは避け、早めに受診できるようにしましょう。
口腔内を清潔に保つ
炎症による頭痛の場合、口腔内を不衛生にしたままでは、さらに頭痛がひどくなる可能性があります。
親知らずの周辺の歯の歯磨きに加え、デンタルフロスやタフトブラシを使ってケアをしてみましょう。
アルコールを含まないうがい薬で消毒をすることでも効果が期待できます。
肩・首・顎の緊張をほぐす
噛み合わせの悪さによる顎の緊張からくる頭痛の場合、肩、首、顎のマッサージをして筋肉の緊張をほぐすと痛みの緩和につながります。
- 肩や首をぐるぐると回してみる
- 左右の顎の付け根を人差し指を使って円を描くようにマッサージする
- 左右のこめかみを人差し指を使って円を描くようにマッサージする
上記のようなほぐし方で痛みが緩和することもあるため、ぜひ試してみてください。
痛み止めを服用する
単純に頭痛の痛みだけを和らげたい場合には、痛み止めを服用することで緩和できます。
基本的には病院で処方された薬を飲むことをおすすめしますが、緊急時には市販の痛み止めを服用しましょう。
市販で販売されている痛み止めの成分は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。
頭痛や歯痛には、どの成分でも効果が期待できますので、自宅にあるものや市販されているもので対応できます。
安静にする
炎症が起きている場合、血行をよくしてしまうと、さらに悪化する場合があります。
そのため、運動や長時間の入浴、アルコール摂取などは避け、安静にすることが重要です。
安静にしてゆっくりと体を休めることで、疲労や睡眠不足などの免疫低下を防ぐこともできます。
頭痛をともなう親知らずの治療方法

親知らずが原因で頭痛が生じている場合、歯科医院を受診してみましょう。
基本的には、頭痛を治療するというよりも、根本的な原因である親知らずを治療します。
ひどい炎症によって頭痛が生じている場合には、親知らずの抜歯の前にその炎症を治さなければいけません。
そこで、頭痛をともなう親知らずの治療方法を解説します。
頭痛の原因になる親知らずの炎症の治療
親知らずの炎症は治療をしない場合、自然治癒することはなく、いつまでも続いて悪化してしまいます。
すぐに効果を実感できる治療法は親知らずを抜歯することです。
しかし、炎症が起こっている場合には麻酔が効きにくくなるため、治療が難しくなることに加え、抜歯後の腫れや痛みも増す場合があります。
そのため、以下の治療方法を行います。
- 抗生物質の服用
- 歯周ポケットの洗浄
- 歯肉切開
このような治療を行うことで、親知らずの炎症が緩和してきたら、次に抜歯へと移ります。
親知らずの抜歯
治療によって炎症がおさまってから、親知らずの抜歯を行います。
親知らずの抜歯にかかる時間は上の歯なのか、下の歯なのか、また、生えている向きによっても変わってきます。
上に生えている親知らずの場合は、まっすぐ生えていることが多く、抜歯時間も10分ほどで済むことが多いです。
しかし、親知らずの状態によっては、歯茎や骨を切るなどの大がかりな抜歯が必要となるため時間がかかります。
大がかりなものになったとしても、頭痛をともなっている親知らずの場合は、抜歯することで口腔内の炎症を防ぐことができ、痛みもなくなるため、抜歯することが好ましいです。
抜歯後の痛みを緩和するには?

親知らずの抜歯後は、その抜歯方法にもよりますが、痛みや腫れが出ることがほとんどです。
一般的にその痛みは、麻酔が切れてから出現し、2〜3日でピークを迎えますが、多くの場合、1週間程度で引いていきます。
抜歯後の痛みを緩和する方法は以下の通りです。
- 処方された鎮静剤を服用する
- 飲酒・運動を控える
- 喫煙を控える
- うがいをしすぎない
- 食事に気を付ける
- 安静に過ごす
処方された鎮静剤を服用する
親知らずを抜いた後は、歯科医院から痛み止めや抗生剤が処方されます。必ず用法・用量を守って服用してください。
初回の痛み止めは麻酔が切れた後に飲むのではなく、まだ痛くないうちに飲むと麻酔が切れた際にも痛みを感じにくくなります。
飲酒・運動を控える
抜歯後は患部から出血が起こっています。その出血を増やさないためにも血行をよくしすぎないことが重要です。飲酒や運動は控えましょう。
喫煙を控える
抜歯をしたということは、傷を負ったのと同じことです。
タバコに含まれるニコチンには、血管収縮作用があり、傷口の修復を阻害してしまいます。
また、傷口の血餅(かさぶたのようなもの)も作ることが遅れ、タバコにより細菌感染も引き起こしやすくなってしまうため、喫煙は控えましょう。
うがいをしすぎない
抜歯後24時間はうがいをしすぎないようにしてください。
傷口を修復するための血餅が剥がれてしまったり、できにくくなってしまうことで傷の治りが遅くなります。
食事に気を付ける
抜歯後2〜3時間は麻酔効果で感覚が麻痺していることや、血餅が作られ始めていることから、食事はしないようにしましょう。
その後も、食事はお粥や雑炊、ゼリーやヨーグルトなど、咀嚼が少ない食事をしてください。
また、抜歯してから数日間は、抜歯したほうと反対側で噛むことを心がけてください。
安静に過ごす
親知らずの傷は、甘く見ていると痛みや腫れが長引いてしまう場合もあります。
抜歯後は、無理に動くことなく、安静に過ごして早めに傷口を治すようにしてください。
痛みが続くと不安になりますが、1週間程度はこの方法を試してみましょう。
親知らずが原因で起こるその他の症状

親知らずを放置してしまうと、頭痛以外にもさまざまな症状が起こる場合があります。
頭痛以外にもこんな症状が出ていれば、早めに歯科医院を受診してみてください。
- 肩こり
- 目の痛み
- 内臓への影響
肩こり
生えてきた親知らずの向きが悪かったり、片方にだけ生えてきたりすることにより、普段は緊張しなくてもよい顎の筋肉が緊張してしまいます。
それにより、肩こりや首のこりを引き起こす場合があります。
目の痛み
上の親知らずの根が上顎洞に近いことで、この部分に炎症が広がってしまうと目の下や顔面に痛みを感じることがあります。
内臓への影響
親知らずの腫れを放置することで、最悪のケースとして内臓にも影響が出ることがあります。
状態が良くない親知らずは、周囲の歯茎が腫れやすくなり、細菌感染が起こりやすくなります。
細菌感染が起こると、喉の下も腫れることがあり、発熱や倦怠感が出ます。
喉の下からさらに首や胸周辺にまで感染が広がってしまうと、稀にではありますが、内臓や心臓などに悪い影響が起こる場合があります。
親知らずによる頭痛を予防するためにできること

親知らずによる頭痛を予防するためには、日ごろからの口腔ケアが大切です。
普段の歯磨きだけでは、親知らずの周辺はきれいにすることが難しい部位でもあります。
以下の方法を参考に常に口内を清潔に保つことで、親知らずによる頭痛を予防することができます。
- 歯ブラシでのケア
- デンタルフロスの使い方
- 仕上げにタフトブラシを使う
この3つの方法を詳しく解説していきます。
歯ブラシでのケア
普段の歯磨きでは、小さめヘッドタイプの歯ブラシを使いましょう。
歯に対して斜め45度くらいの角度で当て、小刻みにブラッシングをすることで、汚れを落とすことができます。
歯と歯の間はデンタルフロスで
親知らずと手前の奥歯の間は、汚れがたまりやすいため、デンタルフロスを使用するのがおすすめです。
糸巻きのタイプとY字型のタイプがありますが、糸巻きは指に巻き付けて親知らず部分に入れるのが難しいため、Y字型が使いやすいです。
歯の並びに沿ってまっすぐにフロスを入れ、親知らずと手前の歯の間に入れたら、フロスの糸を歯の表面を擦るように動かしてください。
仕上げにタフトブラシを使う
歯ブラシで磨き残しが気になる場合には、タフトブラシを使うのをおすすめします。
鏡で親知らずを見たり、見にくい場合には舌で磨き残しがある箇所を見つけてみてください。
磨き残し部分を見つけたら、タフトブラシを鉛筆を持つように握り、強すぎない力で小刻みに動かして磨いてください。
歯磨き粉はつける必要はありません。
歯肉が親知らずを覆っている箇所も、同じようにタフトブラシできれいにすることができます。
まとめ
親知らずによって頭痛を引き起こすことがあり、その原因は、親知らず自体の虫歯や周囲の炎症、炎症による副鼻腔炎、親知らずが生えたことによる噛み合わせのずれ、抜歯後の炎症の4つがあります。
抜歯後の炎症は、処方される薬の服用や、注意事項を守ることによって1週間ほどで改善することがほとんどですが、それ以外の原因は放置してしまうと痛みが改善することはなく、さらに他の症状を引き起こすケースもあります。
親知らずが原因の頭痛かもしれない、と感じたら早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、可能な限り痛みを抑え、神経を守り、炎症の再発防止を行う治療を心掛けています。
忙しい子育ての合間であっても、専用のキッズルームが併設されているので安心して治療を受けることができます。
頭痛をともなう親知らずのお悩みや抜歯をご検討の際は、ぜひ、下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。
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