
親知らずが痛む場合、痛み止めの服用を検討することもあるでしょう。
しかし、痛み止めにはさまざまな種類があり、どういった違いがあるのか、どれを選べばよいのか迷うかもしれません。
また、痛みを悪化させない方法を知っておくことで、より痛み止めの効果を得られるでしょう。
この記事では、親知らずが痛い時に服用する痛み止めの種類や痛みが生じる原因などを解説します。
親知らずが痛んでいる方、痛み止めの服用を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
親知らずが痛い時に処方される痛み止めの種類

親知らずや歯痛などで処方される痛み止めの種類はさまざまですが、主に処方されるのは以下の4つです。
- カロナール
- ロキソニン
- ボルタレン
- バファリン
それぞれの特徴について解説していきます。
副作用のリスクも低い「カロナール」
カロナールは、解熱鎮痛剤の一種で中枢神経や体温調整中枢に作用し、炎症や痛みを抑えます。
他の痛み止めと比べて鎮痛効果が弱い点はデメリットですが、副作用のリスクが低いため妊婦や幼児にも使用できる点はメリットといえるでしょう。
ただし、副作用がまったくないわけではなく、人によっては発疹や食欲不振、喘息やアレルギーが悪化する可能性があります。
過去に副作用が出たことがある方、喘息やアレルギーなどの持病を持っている方は医師と相談のうえで服用を検討しましょう。
また、妊娠中の方や小さなお子さんが服用する場合は、事前にかかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。
作用が早い「ロキソニン」
ロキソニンは痛み止めの一種で、痛みや発熱の原因物質の生成を抑える働きがあり、鎮痛や解熱に効果的です。
ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンは親知らずや歯痛だけではなく、神経痛や腰痛にも処方されることがあります。
服用してから効果を発揮するまでが早く、持続時間は大体4時間程度です。
作用が早い点はメリットですが、胃痛やむくみ、発疹などの副作用がある点はデメリットでしょう。
ロキソニンが原因の胃腸障害を防ぐためには、何かを食べてからの服用をおすすめします。
また、ロキソニンに含まれる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は子どもへの使用は避けましょう。
鎮痛効果が強い「ボルタレン」
ボルタレンは、親知らずだけではなく神経痛や手術後など全体的な痛みに効果的です。
他の痛み止めに比べて鎮痛効果が強い点はメリットですが、食欲不振や胃痛、口内炎などの副作用が強く出やすい点がデメリットです。
ボルタレンの鎮痛効果は即効性もあり、最短15分で痛みを軽減できます。錠剤だけではなく座薬の選択肢もあり、どうしても経口摂取が難しい場合にも処方されます。
ボルタレンは有名な痛み止めではありますが、副作用が出やすいため親知らずの抜歯で処方されることはあまりありません。
また、喘息やインフルエンザの方は副作用がより強く出る可能性があるため、服用は医師と相談のうえで検討しましょう。
子どもでも服用できる「バファリン」
バファリンも有名な痛み止めであり、ドラッグストアでも市販されており、種類も多いです。
15歳未満の子どもでも服用できる小児用バファリンも市販されています。
同じバファリンでも種類によって一度の服用量や続けて服用する場合に空ける時間が異なるため、パッケージをしっかりと確認しましょう。
また、以下に当てはまる方はバファリンの服用は避けたほうがよいとされています。
- 重篤な肝臓・腎臓・心臓に障害がある方
- 妊娠中・妊娠後期の方
授乳中の方の服用はケースバイケースです。
他の痛み止めと一緒に服用することは避け、医師の指示にしたがって服用しましょう。
緊急時は市販の痛み止めでもOK
親知らずで痛み止めを服用したい場合、基本的には歯科医院で処方されたものを服用しましょう。
しかし、歯科医院に行く前に痛みが強くなってしまうこともあるかもしれません。
そういった緊急時は、市販の痛み止めを服用しても問題ありません。市販薬を服用する際には持病の有無を加味して痛み止めを選ぶ必要があります。
市販の痛み止めにはさまざまな種類があるため、薬剤師に事情を説明し、一緒に選んでもらうのもおすすめです。
ただし、痛み止めを服用して痛みが治まったからといって、痛みの原因がなくなったわけではありません。
できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。
親知らずで痛みが生じる5つの原因

親知らずで痛みが生じるのは主に以下の5つの原因があります。
- 親知らずの萌出
- 虫歯や歯周病
- 智歯性周囲炎
- 歯性感染症
- 抜歯の痛み
それぞれどういった痛みなのかについて解説していきます。
親知らずの萌出
親知らずが萌出(ほうしゅつ)する際に、隣接する歯を押しのけたり歯茎を突き破ったりすることで痛みが生じます。
「萌出」とは、親知らずに限らず歯が生えてくることを意味する歯科用語で、歯茎を破って歯の一部が口腔内に現れる過程を指します。
萌出の痛みは親知らずのスペースが十分ある場合は徐々に治まることが多いです。
しかし、スペースがない場合は、痛みがなかなか治まらなかったり強くなってきたりします。
親知らずが萌出する痛みは、痛み止めの服用や冷やすといった対処法がおすすめです。
虫歯や歯周病
親知らずは磨き残しが起きやすく、虫歯や歯周病になってしまい、痛みが生じることがあります。
親知らずは最も奥に生える永久歯であり、歯ブラシが届きにくく横や斜めに生えていると不自然な隙間ができて食べかすが溜まってしまうことがあります。
そのため、他の歯よりも虫歯や歯周病になりやすいです。
虫歯や歯周病は放置することで、口腔内全体に広がってしまったり歯を失う原因になったりします。
痛みが生じている場合、ある程度症状が進行している可能性があります。
できるだけ早く歯科医院を受診して治療を受けましょう。
智歯性周囲炎
親知らず周辺に腫れや痛みがある場合、智歯性周囲炎の可能性があります。
智歯性周囲炎とは、親知らず周辺に溜まった汚れによって歯茎が炎症を起こす病気です。
初期症状は奥歯に軽い違和感や痛みがある程度で、親知らずが萌出する際の違和感や痛みに間違われやすいです。
症状が進行してくると歯茎が赤く腫れ、どんどん痛みが増していきます。
重症化すると顔の輪郭が変わるほど頬が腫れ、開口しにくくなり、リンパ節が腫れたり発熱したり風邪のような症状が出ることも多いです。
また、智歯性周囲炎を放置することで、歯周炎や歯周病を併発したり虫歯リスクが高まったりする可能性もあります。
智歯性周囲炎の痛みが強い場合は痛み止めを服用し、十分な睡眠時間を確保するなど免疫力を高めることを意識しましょう。
智歯性周囲炎を治すためには、汚れの洗浄や消毒、抗生物質の使用を行います。
しかし、親知らずがある限り再発する可能性も高いため、抜歯を検討することもあります。
歯性感染症
親知らず周辺や顎など周囲の組織まで痛みが広がっている場合は、歯性感染症かもしれません。
歯性感染症とは、虫歯や歯周病、智歯性周囲炎などの炎症が親知らず周辺だけではなく、周辺組織にまで広がる疾患の総称です。
親知らずが原因の歯性感染症には以下のようなものがあります。
- 虫歯菌が顎の骨に感染する「顎骨骨膜炎」
- 虫歯菌や歯周病菌などがリンパに感染する「化膿性リンパ節炎」
- 深層組織にまで炎症が広がる「蜂窩織炎」 など
歯性感染症は虫歯や歯周病、智歯性周囲炎などを放置することで発症する確率が上がります。
痛みを感じた場合はできるだけ早く歯科医院を受診して適切な処置を受けるようにしましょう。
抜歯後の痛み
抜歯後は麻酔が切れたタイミングで痛みが生じ、2日後くらいに痛みのピークを迎え、1週間程度で完全に治まる場合がほとんどです。
人によっては痛みが完全に治まるまで2週間程度かかることもありますが、徐々に痛みが治まっていれば特に問題はありません。
しかし、2日が経過しても痛みが増していたり、2週間以上痛みが継続していたりする場合は化膿やドライソケットになっている可能性があります。
ドライソケットとは?
ドライソケットとは、抜歯した場所の骨が露出している状態です。
通常、抜歯後の穴には血液が集まり、血餅(けっぺい)と呼ばれる血の塊が作られ、穴の治癒を促し、細菌感染を防ぐ役割を担います。
しかし、なんらかの理由で血餅が作れなかったり歯磨きやうがいなどで剥がれてしまったりするとドライソケットになってしまいます。
以下のような症状がある場合、ドライソケットになっている可能性が高いです。
- 抜歯した日よりも痛みが増している
- 1~2週間が経過しても痛みが消えない
- 鈍い痛みが続く
- 食べ物や空気に触れると強い痛みが生じる
- 抜歯箇所が大きく陥没している
- 膿の味がする など
ドライソケットの状態を長時間放置すると、骨に炎症が起きて壊死したり歯茎の形が悪くなり将来的にインプラント治療が受けられなくなったりする可能性があります。
ドライソケットかもしれないと思ったら、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
親知らずによる痛みを悪化させない方法

親知らずによる痛みは痛み止めで抑えることができますが、痛み止めの服用が難しい方やできるだけ服用したくない方もいるかもしれません。
そういった場合はここで解説する痛みを悪化させない方法を試してみましょう。
激しい運動は控える
特に抜歯後2〜3日は激しい運動を控えるようにしましょう。
激しい運動は血行をよくするため、血が止まりにくく再出血することがあります。
また、抜歯後にできる血餅は血行が良くなることで溶けてしまい、ドライソケットになる可能性があります。
汗をかくほどの運動は出血が完全に止まる抜歯後2~3日が経過すれば再開しても問題ないとされていますが、出血が止まる時期は個人差があるため、不安な場合は歯科医師に相談しましょう。
飲酒は控える
飲酒も抜歯後2〜3日は血行が良くなるため、控えたほうがよいとされています。
また、飲酒は血行が良くなるだけではなく、痛み止めの効きが悪くなったり抗生物質が効きすぎて副作用が強く出たりすることがあります。
出血が治まっても痛み止めや抗生物質を服用している間は飲酒は控えましょう。
食事は刺激の少ない柔らかい物
抜歯後の食事は必ず麻酔が完全に切れてからで、刺激の少ない柔らかい物を選びましょう。
スパイスやワサビなどの刺激物や熱い物、硬い物は避け、適温で柔らかいおかゆやヨーグルト、ゼリーなどがおすすめです。
麺類を食べる際には、すする行為で血餅が取れてしまう可能性があるため、すすらないように短く切るか、パスタのように一口で食べれるようにするとよいでしょう。
痛むところを冷やす
痛みがひどい場合は冷やすのもおすすめです。
痛む部分を冷えピタや濡れタオル、タオルで包んだ保冷剤などを当てて冷やすことで痛みを和らげてくれる可能性があります。
しかし氷を直接口に含んだり、保冷剤を直接頬に当てたりして冷やしすぎないようにしましょう。
冷やしすぎると、凍傷や神経損傷、血行不良などで治癒を遅らせ、低温やけどを引き起こすかもしれません。
氷は直接当てず、必ずタオルやガーゼなどを巻いて使用しましょう。
うがいをしすぎない
うがいはしっかりと歯磨きができない抜歯箇所の食べかすを掃除する際におすすめですが、うがいのしすぎには注意しましょう。
うがいをやり過ぎることで抜歯後の穴を防ぐための血餅が剥がれてしまう可能性があります。
うがいをする場合は、ぐちゅぐちゅと強く行うのではなく優しくゆすぐイメージで行いましょう。
抜歯箇所を触らない
抜歯した箇所は痛みや違和感がありついつい気になってしまうかもしれませんが、必要以上に触らないようにしましょう。
抜歯後は傷になっている状態であり、縫合していた場合は糸が取れてしまう可能性もあります。
また、指や舌などで触れると細菌感染のリスクも高くなり、炎症を起こしたり治りが遅くなったりします。
痛み止めを服用しても効果がない場合は歯科医院を受診

親知らずが痛い場合に痛み止めを服用することがありますが、稀に効果を感じられない場合があります。
こういったときは、痛み止めの効果を上回る痛みが生じている可能性があります。
痛み止めの服用量を増やすのではなく、その場は冷やして過ごし、早急に歯科医院を受診してください。
受診した際には、服用した痛み止めを見せて効果がなかったことを伝えれば診断がスムーズに行える場合があります。
まとめ
親知らずや歯痛などで処方される痛み止めの種類はさまざまですが、主にカロナール・ロキソニン・ボルタレン・バファリンの4種類が処方されます。
それぞれに特徴があり、基本的には歯科医院で処方されたものを服用したほうがよいですが、緊急時は市販の痛み止めを服用しても問題ありません。
親知らずが原因で痛みが生じる原因は萌出や智歯性周囲炎などさまざまですが、決して放置せず、歯科医院を受診するようにしましょう。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、可能な限り痛みを抑え、歯を削る量を減らし、神経を守る治療を目指しています。
豊富な経験を積んだ日本口腔外科専門医が在籍しているため、歯の悩みや親知らずの抜歯を検討している場合は、ぜひ一度下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。
#親知らず #親知らず痛み止め