
日常生活のなかで「もしかして虫歯かもしれない」と感じたことはありませんか?しかし、忙しい毎日のなかで、すぐに歯科医院に行くべきか迷うこともあるでしょう。
特に、時間が限られている方にとっては「自宅で虫歯かどうかを確かめる方法があれば助かるのに……」と感じることも多いはずです。
そこでこの記事では、以下のポイントを詳しく解説します。
- 自宅でできる虫歯セルフチェック方法
- 歯科医院に行くべきタイミング
- 歯科医院での虫歯検査方法
虫歯が心配な方はもちろん、予防や早期発見を目指している方にも役立つ情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。
虫歯は早期発見が重要

虫歯を放置すると、症状が進行し、治療がますます複雑になる恐れがあります。
初期の段階であれば、虫歯を少し削って詰め物をするだけで治療が完了することがほとんどです。
しかし、虫歯が進行すると痛みが強くなり、麻酔を使用して治療を行う必要があります。
さらに、虫歯が歯の神経部分にまで達すると、根管治療(歯の根の治療)が必要となります。この治療には時間がかかり、通院回数が増えることも少なくありません。
虫歯が歯全体に及ぶような場合は、歯を抜かなければならないこともあります。歯を失うと日常生活や食事に大きな影響を及ぼすため、予防と早期発見が何より重要です。
虫歯が進行するほど治療の負担も大きくなります。痛みや治療期間、費用を考慮すると、早めに適切な対応をすることが大切です。
自宅でできる虫歯を確かめる方法6つ

歯に違和感を覚え「もしかして虫歯かも……」と感じたとき、自宅で簡単に虫歯かどうか確かめる方法を紹介します。
もちろん、これらはあくまでセルフチェックであり、歯科医師による診断に代わるものではありません。
ただし、歯科医院に行くべきか迷った際の判断材料にはなるため、ぜひお役立てください。
鏡を使って目視で確認する
気になる歯があれば、鏡を使って歯の表面や周囲の色の変化を確認してみましょう。
- 歯の表面に白濁(白い斑点)や黒い点がある:初期の虫歯の可能性がある
- 歯が黄色や薄茶色、濃い茶色などに変色している:虫歯が進行している可能性が高い
- 歯に穴が空いている、形状が変化している:虫歯の進行が明らか
奥歯など見えにくい箇所は、歯科用の小さな鏡などを使うとチェックしやすいでしょう。
舌で触って確かめる
奥歯など見えにくい位置にある歯は、舌を使ったチェックも効果的です。
舌で歯の表面をなぞり、ざらつきや凹みがないか確認してみましょう。歯の表面がつるつるではなく、ざらつきや凹凸を感じるようなら、虫歯の疑いがあります。
痛みのチェック
歯に痛みがある場合、虫歯が原因の可能性が高いです。
下記のような痛みの症状がある場合、虫歯が原因のことがあります。
- 飲食していないときでも歯が痛む
- 冷たい水を口に含むとしみる
- 甘いものを食べると痛みを感じる
- 食事中、噛んだときに痛みがある
ただし、歯の痛みには知覚過敏や歯周病など別の原因も考えられます。いずれにしても、痛みが続く場合は歯科医院での診断を受けましょう。
歯茎の変化を観察する
虫歯が進行すると、歯茎にも影響が出ることがあります。歯茎をよく観察して、以下の変化に注意してください。
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯と歯茎の境目が出血しやすい
こうした症状が見られるようなら、虫歯が進行している可能性があります。
歯茎の腫れや痛みを放置すると、虫歯だけでなく歯周病を併発するリスクもあるため注意しましょう。
フロスを使った隙間のチェック
歯と歯の間にできる虫歯は、鏡だけでは見つけにくいことがあります。その場合、デンタルフロスを使ったセルフチェックが効果的です。
下記のような症状に注意してみてください。
- フロスを通したときに引っかかる感触がある
- フロスにざらざらした感触がある
これらの感触がある場合、歯と歯の間に虫歯ができている可能性が高いです。
特に、普段からデンタルフロスや歯間ブラシを使用していない場合、汚れや蓄積しやすく、虫歯が発生していることが疑われます。
口臭を確認する
虫歯があると、口腔内で細菌が繁殖しやすくなり、その結果、口臭が発生することがあります。
口臭は自分では気づきにくいものですが、下記のセルフチェック方法で確認が可能です。
- 清潔な指で歯や歯茎を触り、その唾液が乾いた後の臭いを確認する
- 使用後のデンタルフロスの臭いを嗅いでみる
- コップや袋に息を吹き込み、その臭いを確認する
これらの方法で異常を感じた場合、虫歯が原因の可能性があります。
ただし、口臭の原因は虫歯だけでなく、歯周病、舌苔(ぜったい)、内臓疾患、ストレスなどさまざまです。
もし口臭が続く場合は、歯科医院や専門医で原因を調べ、適切な対処を受けることをおすすめします。
虫歯は進行度によって症状が異なる

虫歯は、進行度によって症状や治療法が大きく異なります。
ここでは虫歯の進行度を「初期」「中期」「重度」の3つに分け、それぞれの症状について解説するので、虫歯の進行度の判断の目安にしてください。
初期の虫歯の症状
初期の虫歯は、症状が軽く、進行が始まったばかりの段階です。
歯科医院で「CO」や「C1」と呼ばれるのが、この段階の虫歯となります。
- CO:歯の表面が白っぽく濁り、透明感が失われた状態。痛みはほとんどない
- C1:エナメル質の内部まで虫歯菌が達し、歯が茶色や黒色に変色する段階。痛みはまだほとんどない
COについては基本的に経過観察、C1については少し削って詰め物をするだけで治療が可能です。
中期の虫歯の症状
中期の虫歯は、虫歯菌がエナメル質を超え象牙質まで達した状態で、歯科医院では「C2」と呼ばれる段階です。
- C2:冷たいものや熱いものを口にすると、しみるようになる。歯の痛みを自覚することが多い
象牙質はエナメル質より柔らかく、虫歯が進行しやすいため、早めの受診が大切です。
重度の虫歯の症状
重度の虫歯は、歯の内部深くまで虫歯菌が達し、強い痛みや歯の欠損を引き起こします。
歯科医院で「C3」や「C4」と呼ばれる段階の虫歯です。
- C3:虫歯菌が歯の神経(歯髄)に達し、ズキズキとした痛みが生じる状態。歯が黒く変色していることが多い
- C4:虫歯菌が歯の根や周囲の骨まで進行し、歯がほとんど失われた状態。激痛となるものの、神経が死んでしまうと痛みを感じなくなる
C3は根管治療や被せ物(クラウン)の装着が必要となります。
C4にまで進行すると、大抵は抜歯が必要となり、その後は義歯やインプラントなどの治療を検討することになります。
虫歯が疑われたらどうする?

虫歯は早期発見・早期治療が大原則です。もし虫歯が疑われる場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
特に、痛みやしみる症状が続く場合は、虫歯が進行している可能性が高いため、放置せず速やかに受診することをおすすめします。
どうしてもすぐに受診できない場合は、下記の対処法を試してみてください。
- 痛み止めを服用する:市販の鎮痛剤を使って一時的に痛みを和らげる
- 正しい歯磨きを徹底する:歯垢を取り除き、虫歯の進行を防ぐ
一方、歯の表面が白っぽく濁っているだけで痛みやしみる症状がない場合は、セルフケアをしつつ、経過を観察することもできます。
ただし、症状が少しでも進行する兆候があれば、すぐに歯科医院を訪れましょう。
また、虫歯を確かめる方法をもとにセルフチェックをしたものの、判断が難しい場合も歯科医院を受診するのが確実です。
早めの受診で、歯の健康を保ちましょう。
歯科医院で行う虫歯の検査方法

歯科医院では虫歯を確かめる方法として、さまざまな診断技術が活用されています。ここでは主な検査方法を紹介します。
視診
歯科医師が虫歯やその進行度を確認する方法です。デンタルミラーやマイクロスコープなどの器具を使用し、歯や歯周組織の状態を詳しく観察します。
肉眼ではわかりにくい小さな異常もチェックできるのが特徴です。
触診
プローブ(探針)と呼ばれる専用の器具を使って歯に軽く触れ、虫歯や歯の状態を確認します。
特に歯の表面の凹凸や軟化した部分をチェックする際に使用されます。
レントゲン検査
レントゲンを撮影することで、歯の内部や歯間など肉眼では確認できない部分の虫歯を特定します。
早期発見や、進行度合いの詳細な診断に役立つ検査です。
染色液検査
虫歯を染め出す特殊な液体(カリエスチェッカー)を使い、虫歯の部分を染めて可視化する方法です。
視診や触診では見逃しやすい箇所の特定ができます。
虫歯を予防するために実行したい5つのポイント

知らない間に虫歯はできてしまうため、現時点で虫歯がない方も、日頃のケアを徹底して虫歯を予防することが大切です。
ここでは、虫歯を防ぐための具体的なポイントを紹介します。
これらの方法は予防だけでなく、虫歯が進行している場合やすぐに歯科医院に行けない場合の対処法としても役立つので、ぜひ実践してみてください。
1:丁寧な歯磨きを意識する
虫歯予防の基本は、正しく歯を磨くことです。毎日歯磨きをしていても、磨き残しがあると虫歯の原因となります。
歯磨きの際に気を付けたいポイントは下記のとおりです。
歯磨きを小刻みに動かし、歯1本1本を丁寧に磨く
特に奥歯など歯ブラシが届きにくい部分は、口を少し閉じて歯ブラシが奥まで届くように工夫しましょう。
歯と歯茎の境目を重点的に磨く
歯と歯茎の境目は磨き残しが起きやすい部分であるため、歯ブラシを斜め45度の角度で当て、歯茎までしっかりと磨きます。
歯の表面、裏側、咬合面(噛む面)のすべてを磨き、1日3回を目安に行うのが理想です。特に就寝前の歯磨きは念入りに行いましょう。
2:フッ素入り歯磨き粉を使用する
フッ素には、虫歯菌の働きを弱める効果や、歯の再石灰化を促進する働きがあります。
フッ素入り歯磨き粉を使用すると、虫歯の予防や進行の抑制が期待できるため、日々の歯磨きに取り入れてみましょう。
フッ素入りの歯磨き粉を使用する際のポイントは、下記のとおりです。
フッ素濃度を確認して選ぶ
歯磨き粉によって含有しているフッ素濃度は異なります。日本では最大濃度は1500ppmと定められているため、これを目安に選びましょう。
承認濃度をオーバーしないよう、フッ素濃度1450ppmの歯磨き粉が多く販売されています。
なお、厚生労働省によると、6歳未満のお子様であれば1000ppm までが望ましいとされています。(出典:厚生労働省「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」)
すすぎは最小限にする
フッ素ができるだけ口内に長く留めるように、すすぎは少量の水で1回だけにするのがおすすめです。
3:歯間ブラシやフロスを併用する
どんなに丁寧に歯磨きをしても、歯ブラシだけでは歯と歯の間や細かい隙間の汚れをきちんと落とすことはできません。
歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、隙間に詰まった食べカスやプラーク(歯垢)をしっかり除去しましょう。こうすることで、歯と歯の間にできやすい虫歯を予防できます。
4:食生活を見直す
食生活は虫歯予防において重要な役割を果たします。栄養バランスのよい食事を心がけるのはもちろん、下記の点を特に意識しましょう。
糖分を控える
糖分を含む甘い食べ物や飲み物は虫歯菌のエサとなります。
できれば甘い食べ物や飲み物は摂らないのが一番ですが、摂取した場合は速やかに歯を磨きましょう。
また、キャラメルやキャンディのように長時間口に残る食品は、虫歯のリスクを高めます。虫歯予防の観点からは、できるだけ口にしないのがおすすめです。
カルシウムを積極的に摂る
歯の組織の修復や再石灰化をサポートするカルシウムを積極的に摂取しましょう。
特に子どもの頃のカルシウム摂取は永久歯の発育にも深く関わるため、意識的に取り入れることが大切です。
5:歯科医院で定期検診を受ける
歯科医院は虫歯になってから行く場所というイメージは過去のもので、現在は予防歯科が注目されています。
定期検診を受けることで、初期の虫歯やその他のトラブルを早期に発見・対処できます。
セルフチェックではわからない、気付けない虫歯もあります。
歯の健康を守るために、できれば3ヶ月に1度、少なくとも年に1回は歯科医院での検診を心がけましょう。
まとめ
虫歯を自宅で確かめる方法には、以下のような手軽なチェック方法があります。
- 鏡を使って目視で確認する
- 舌で触って確かめる
- 痛みのチェック
- 歯茎の変化を観察する
- フロスを使った隙間のチェック
- 口臭を確認する
虫歯は早期に発見し、速やかに治療を受けることが大切です。
そうすれば、痛みが少なく、歯科医院に通う回数も最小限に抑えられますし、歯の神経を抜く、抜歯するといった治療を受ける必要もありません。
少しでも虫歯が気になる場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
虫歯の確認や治療をお考えの方は、下高井戸パール歯科クリニックへご相談ください。
当院では歯科医師による丁寧な虫歯診断に加え、唾液検査を通じた虫歯や歯周病リスクチェックサービスも提供しています。
そのため、患者様の虫歯リスクを把握し、的確なケアのご提案が可能です。
また、予防歯科にも力を入れており、定期的検診や歯の健康維持のためのアドバイス、メンテナンスも行っています。
ご自身の歯を長く健康に保つため、ぜひお気軽にご相談ください。
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