
歯の治療を終えてホッとしたのも束の間、ズキズキしたり噛むと違和感があったりすると、不安になってしまうものです。
歯科医院に相談すべきなのか、それとも自然と治るのを待つべきか悩む方もいるのではないでしょうか。
虫歯治療後に痛い場合にはいくつかの原因が考えられ、適切な対処をすることでほとんどの場合改善します。
この記事では、虫歯治療後に痛みが出る主な原因と対策、さらには痛みを予防するポイントまで詳しく解説します。
痛みがいつまで続くのか、どのような場合に再診が必要なのかも解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
虫歯治療後に「痛い」となりやすいケースとは?

虫歯治療後に痛みを感じるケースは、治療の種類や方法によって異なります。
特に以下のような治療を受けた場合、治療後に「痛い」と感じることが多いです。
- 歯の神経を取る治療(根管治療)
- 金属素材やセラミック素材の詰め物をした場合
- 銀歯などの被せ物の治療
これらの治療後は、歯が敏感になり、一時的に痛みや違和感を覚えたりすることがあります。
虫歯の治療後に痛い場合にみられる症状
虫歯治療後に現れる痛みには、下記のようにいくつか異なる症状があります。
- ズキズキとした急激な痛み
- しみるような痛み
- 噛んだときの痛み
それぞれの症状について原因と起こりやすいタイミングを確認してみましょう。
ズキズキとした急激な痛み
麻酔が切れた直後などに起こることが多い痛みです。
このタイプの痛みは、治療直後に一時的に症状が出るケースが多く、時間の経過と共に自然と治ることが少なくありません。
しみるような痛み
歯の神経(歯髄)が過敏になっている場合に起こる痛みと考えられます。ドリルで深く削ったり、根管治療を行ったりした場合に起こりやすい痛みです。
噛んだときの痛み
詰め物や被せ物の治療をしたときに起こりやすい痛みです。
このタイプの痛みは、しばらくすると消えることもありますが、長引く場合は治療後のかみ合わせが正しく調整されていない可能性があります。
もし痛い状態が続くようなら、歯科医院を受診しましょう。
虫歯治療後に痛い場合の主な原因7つ

虫歯治療後に痛い場合、考えられる原因はさまざまです。
原因によっては早急な治療が必要となるケースもあるため、どのような理由で痛みが生じるのかを理解しておくことが大切です。
ここでは、虫歯治療後の痛みの主な原因を7つに分けて詳しく解説します。
1.治療直後に神経が過敏になっている
治療後に多くみられる原因が、神経が過敏になったことによるものです。
虫歯を削る際、歯やその周囲の組織も刺激を受けるため、神経が過敏になって一時的に痛みが出ることがあります。
特に虫歯が神経に近い位置まで進行していた場合、治療後に痛みが生じやすいです。
このタイプの痛みは時間とともに軽減することが多いですが、冷たい飲み物や硬い食べ物で痛みを感じることがあります。
神経が過敏になることによる痛みは一時的なものがほとんどですが、痛みが長引く場合や悪化する場合は歯科医師に相談しましょう。
2.神経が炎症を起こしている
虫歯が進行して神経にまで達していると、神経が炎症を起こし、治療後も痛みが続くことがあります。
この場合、抜髄(神経を取り除く治療)によって炎症を起こしている神経を除去することが必要です。
神経の炎症が原因の痛みは、ズキズキとした鈍い痛みや強い圧迫感を伴うことが特徴です。
また、何もしなくても痛みが生じることがあり、放置すると症状が悪化する可能性があります。
3.詰め物や被せ物による圧迫
治療で詰め物や被せ物を入れた場合、噛み合わせが合わないことで神経を圧迫し、痛みが生じることがあります。
治療直後に少し違和感がある程度であれば、数日から数週間で自然と気にならなくなるかもしれません。
しかし、以下のような症状がある場合は、早めに歯科医院を再訪しましょう。
- 痛みが治まらない
- 噛むたびに痛みが生じる
- 特定の歯だけに圧力を感じる
これらの症状があるなら、詰め物や被せ物が少し高い可能性があるため、噛み合わせの調整をしてもらう必要があります。
4.金属の詰め物による過敏
金属は熱を伝えやすい性質があるため、金属製の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)をした場合、痛みが生じることがあります。
冷たいものや熱いものを飲食した際に一時的な痛みやしみる感覚がある場合、この金属の特性が関係している可能性があります。
金属製の詰め物や被せ物による痛みは、時間の経過とともに症状が軽減していくのが一般的です。
もし痛みが長期間続く場合や、症状が悪化する場合は、歯科医院に相談しましょう。
ほかに原因があるか、詰め物の材質を変えるなどの処置が必要となることもあります。
5.根管治療で薬を詰めたことによる痛み
歯の根っこを治療する根管治療では、仕上げとして薬を詰めて密閉する処置を行いますが、このときに圧力をかけるため痛みが起こることがあります。
この場合の痛みは通常一過性のもので、時間の経過によって落ち着くことがほとんどです。
6.神経の取り残し
抜髄を行ったにもかかわらず痛みが続く場合、神経の一部が取り残されている可能性があります。
神経が通る根管は非常に細く、複雑に枝分かれしていることが多いため、完全に神経を除去するには高度な技術と経験が求められます。
もし汚染された神経が取り残されると、炎症が治まらなかったり、新たな感染が発生したりして、痛みの原因となることがあります。
このような場合には、再度根管治療を行い、残った神経を適切に除去する必要があります。
治療を放置すると症状が悪化し、歯全体や周囲の組織に影響を及ぼす可能性があるため、早めの対応が重要です。
7.二次的な虫歯
虫歯の治療後しばらく経ってから痛みが出た場合、治療した部分の内部や隣接部分に再び虫歯が発生している可能性があります。
詰め物や被せ物と歯の間に隙間が生じると、そこから虫歯菌が侵入しやすくなり、そこで虫歯が発生してしまうのです。
このような隙間は肉眼で確認しづらいため、痛みが生じるまで気付かないケースも少なくありません。
二次的な虫歯が原因の場合、以下の症状が現れることがあります。
- 治療した歯が急に痛み出す
- 歯茎が腫れる
- 詰め物が浮いたような感覚がある
この状態を放置すると虫歯がさらに進行し、治療が複雑になる場合があるため、痛みが出た際は早急に歯科医院を受診してください。
虫歯の治療後の痛みはいつまで続く?

虫歯の治療後に生じる一時的な痛みは、通常2〜3日ほどで軽減し、4〜5日も経てばほとんど治まることが多いです。
しかし、1週間以上経っても痛みが改善しない、1ヶ月以上経ってもズキズキとした痛みが続く場合は、歯科医院を受診することをおすすめします。
痛みが長期間続く原因としては、神経の圧迫や炎症などが考えられます。早めに歯科医院を受診し、適切な処置を受けて痛みを取り除きましょう。
虫歯治療後の痛みを和らげるための3つの対処法

ここまでお話してきたように、虫歯治療後に「痛い」と感じるのは珍しいことではありません。
しかし、一時的な痛みであっても、日常生活に支障をきたすことがあります。少しでも痛みを和らげるために、下記の方法を試してみてください。
1.痛み止めの服用
一時的な痛みには、市販の痛み止めを活用しましょう。痛み止めには鎮痛や抗炎症作用があり、炎症が原因の痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、痛み止めはあくまでも一時的な対処です。長期的な服用は避け、痛みが続く場合は歯科医院に相談してください。
2.患部を冷やす
炎症がある場合、患部を冷やすことで痛みを軽減できます。冷やしたタオルや冷却シートなどを頬の外側から当てて、炎症を抑えましょう。
ただし、冷やしすぎると逆効果になることがあるため、適度な冷却を心がけてください。
3.歯科医院に相談する
痛みが1週間以上続く場合や時間とともに強まる場合は、歯科医院を受診してください。
また、腫れや発熱をともなう痛みがある場合も、早めの相談が必要です。
虫歯の治療後が痛い!そんなときに注意したい行動

虫歯の治療後は神経が過敏になっており、普段は気にならない刺激でも痛みを助長することがあります。
以下のポイントに注意して、歯の負担を軽減しましょう。
治療後の歯を刺激しない
治療後の歯に痛みや違和感があると、つい指で触れたくなるかもしれませんが、歯を刺激してしまうため避けましょう。
特に指には細菌が付着しており、触れることで患部に細菌が入り、悪影響を与える可能性があります。
また、食事の際は治療後の歯で噛むのを控え、刺激を与えないように心がけましょう。
刺激の強い食べ物を避ける
治療直後の歯は敏感な状態です。下記のような刺激となる食べ物は避けましょう。
- 甘い物や辛い物:患部を刺激し、痛みを悪化させる可能性がある
- 熱い物や冷たい物:歯がしみたり、痛くなったりする原因になる
これらの食べ物を避け、歯に優しい食事を選びましょう。
血行を促進する行動を控える
血行が促進されると痛みが強まることがあります。虫歯の治療直後は次のような行動を避けるようにしましょう。
- 激しい運動
- 長時間の入浴
- 飲酒
これらの行動を控えることで、治療後の歯を安定させる助けになります。
虫歯治療後の痛みを防ぐためのポイント

虫歯治療後にケアを怠ると、虫歯が再発したり、別の歯が虫歯になったりするリスクが高まります。
治療後の歯を健康に保ち、痛みやトラブルを防ぐために、以下のポイントを日常生活に取り入れましょう。
柔らかい歯ブラシで丁寧にブラッシングする
治療後は歯が敏感になっていることが多く、歯磨きの際に強く磨くと痛みを感じてしまうことがあります。
そのため、柔らかい歯ブラシを選び、力を入れすぎないように注意しつつやさしく磨きましょう。
歯磨きは、磨き残しのないように1本ずつ丁寧に行うことが大切です。
特に奥歯や歯の裏側、歯と歯の間、詰め物や被せ物の周りは磨き残しやすいため注意しましょう。
フロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に取り除けない場合があります。そこで、デンタルフロスや歯間ブラシを活用して、歯間部の清掃をしっかり行いましょう。
デンタルフロスの使い方
- 約40cmに切り、両手の中指に巻きつける
- 両手の親指と人差し指でつまみ、歯と歯の間に挿入する
- フロスを上下にゆっくり動かして、歯の側面を丁寧に磨く
初心者でも使いやすい、Y字タイプのデンタルフロスもあります。自分が快適に使えるものを探してみましょう。
歯間ブラシの選び方
歯間ブラシにはL字型とI字型の2種類があり、L字型は奥歯用に、I字型は前歯用に使い分けると効果的です。
サイズもM・S・SS・SSSと展開しているため、歯間の幅に合ったものを選び、無理なく挿入できるものを使用してください。
フッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素には歯の再石灰化を促し、虫歯菌の活動を抑える作用があるため、フッ素入りの歯磨き粉を使用すれば虫歯予防につながります。
市販の歯磨き粉で最も高いフッ素濃度が1450ppmです。この濃度の歯磨き粉を選ぶと、優れた虫歯予防効果が期待できます。
※使用の注意点:6歳未満のお子様にはフッ素濃度が1000ppm以下の歯磨き粉を選びましょう(出典:厚生労働省「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」)
糖分の多い物を控える
甘い物や糖分を含む飲み物を過剰に摂取すると、虫歯が発生しやすくなります。これは、糖分を分解した細菌が酸を生成し、歯のエナメル質を溶かしてしまうためです。
虫歯予防には甘い物を控えるのが一番ですが、難しい場合は食後のデザートとして摂るようにし、間食を控えることで虫歯リスクを低減できます。
飲み物を選ぶ際は、糖分を含むジュースや炭酸飲料の代わりに、水やお茶などを選ぶとよいでしょう。
また、「ダラダラ食べ」を避けることが、虫歯予防において非常に重要です。
口腔内の乾燥を防ぐ
唾液には、食べ物のカスや細菌を洗い流し、虫歯の原因となる酸を中和する役割があります。
そのため、口腔内が乾燥すると虫歯のリスクが高まります。
口の中が乾燥しやすい場合は、下記の方法を試してみましょう。
- 水分をこまめに摂取する
- ガムを噛むなどして唾液の分泌を促す
- 口呼吸がクセになっているなら、鼻呼吸を意識する
また、室内が乾燥すると口の中も乾燥しやすいため、加湿器などを利用して室内の湿度を保つことも効果的です。
定期的に歯科検診を受ける
自宅でしっかりケアしていても、磨き残しや歯石の蓄積は完全には防げません。そのため、定期的に歯科検診を受けることが大切です。
定期的に歯科検診を受ければ、治療後の歯の状態や新たな虫歯の有無を確認できます。
また、歯石除去や歯のクリーニングを受けることで、虫歯や歯周病の予防効果が高まります。
歯科検診は3〜6ヶ月に1回を目安に受けるのがおすすめです。歯科医師と相談しながら自分に合った予防プランを立てることで、治療後の健康を維持できます。
まとめ
虫歯治療後の歯が痛い場合に考えられる原因や対処法について紹介しました。
治療後の痛みは一時的なものが多いものの、痛みが長引く場合や強い場合は、神経の炎症や詰め物の適合性に問題がある可能性もあります。
放置して症状が悪化する前に、専門の歯科医師に相談することが重要です。
下高井戸パール歯科クリニックでは、痛みや不安をしっかりとケアし、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。
歯の痛みや治療後の違和感でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。お口の健康を守るための丁寧なサポートをお約束します。
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