
現在お使いの入れ歯に、外れやすい、噛むと痛い、話しにくいといったお悩みはありませんか。
入れ歯は一度作れば永久に使えるものではなく、口腔内の状態の変化や入れ歯自体の劣化によって、徐々に合わなくなってくることがあります。
合わない入れ歯を我慢して使い続けると、痛みや口内炎だけでなく、残っている歯や顎の骨にまで悪影響を及ぼす可能性が否定できません。
この記事では、入れ歯の作り直しが必要になる代表的なケースや、保険適用と自費診療での費用の違い、作り直しの期間や流れについて詳しく解説します。
入れ歯の作り直しが必要になる主なケース

快適な食事や会話を続けるためには、入れ歯の状態を定期的に見直し、必要に応じて作り直しを検討することが大切です。
ここでは、入れ歯の作り直しが必要になる主なケースについて紹介します。
歯ぐきや顎の骨が痩せて合わなくなる
歯を失った部分の顎の骨は、噛むことによる刺激がなくなるため、時間とともに少しずつ痩せていきます。
また、歯を支えていた歯ぐきも同様に痩せてしまうことがあります。
入れ歯を作った当初はぴったり合っていても、土台となる歯ぐきや顎の骨が変化することで、入れ歯との間に隙間ができてしまうのです。
この隙間が原因で入れ歯が不安定になり、ガタつく、外れやすい、食べ物が挟まるといった不具合が生じます。
摩耗・破損など入れ歯の劣化が進んでいる
入れ歯は、毎日の食事やお手入れによって少しずつ劣化していきます。
特に、歯の部分に使われるプラスチック(レジン)は、長期間使用することで摩耗し、噛み合わせの高さが変わってしまうことがあります。
また、入れ歯を落としてしまったり、硬いものを噛んだりした際に、ひび割れや破損が生じることも少なくありません。
部分入れ歯の場合は、残っている歯に固定するための金属のバネ(クラスプ)が緩んだり、変形したりすることもあります。
治療によって口腔内の状態が変わった
残っている歯に新たな治療が必要になった場合も、入れ歯の作り直しを検討するタイミングです。
例えば、部分入れ歯のバネをかけていた歯が虫歯や歯周病で抜歯に至った場合、入れ歯は支えを失い使えなくなってしまいます。
また、抜歯には至らなくても、歯に被せ物(クラウン)をするなど、治療によって歯の形が変わると入れ歯が合わなくなることがあります。
口腔内は一つのまとまりとして機能しているため、一部分の変化が全体のバランスに影響し、結果として入れ歯の作り直しが必要になるのです。
入れ歯の作り直しの費用相場

入れ歯の作り直しを考える際、多くの方が気になるのが費用面ではないでしょうか。
入れ歯治療には、健康保険が適用される場合と、すべて自己負担となる自費診療の2つの選択肢があります。
ここでは、保険適用と自費診療で異なる入れ歯作り直しの費用相場について紹介します。
保険入れ歯と自費入れ歯の違い
保険診療の入れ歯は、費用を抑えられる点が大きなメリットです。
しかし、使用できる素材や設計に国が定めたルールがあるため、主にプラスチック素材で作られます。
そのため、強度を保つためにある程度の厚みが必要になり、装着時に違和感を覚えたり、話しにくさを感じたりすることがあります。
一方、自費診療の入れ歯は、素材や設計の制約がありません。
例えば、床(しょう)と呼ばれる歯ぐきに触れる部分に薄い金属を使った金属床義歯は、熱が伝わりやすいため食事をより楽しめ、違和感も少ないです。
部分入れ歯と総入れ歯の費用目安
入れ歯の作り直しにかかる費用は、保険適用か自費診療か、失った歯の本数(部分入れ歯か総入れ歯か)によって異なります。
保険適用の入れ歯(3割負担の場合)
- 部分入れ歯:5,000円〜15,000円程度
- 総入れ歯:10,000円〜15,000円程度
保険適用の入れ歯(1割負担の場合)
- 部分入れ歯:1,700円〜5,000円程度
- 総入れ歯:3,300円〜5,000円程度
自費診療の入れ歯
- 部分入れ歯(ノンクラスプデンチャーなど):150,000円〜500,000円程度
- 総入れ歯(金属床義歯など):300,000円〜600,000円程度
より精密な設計が求められる入れ歯や、特殊な素材を使用するものでは、これ以上の費用がかかる場合もあります。
型取り・調整費用の目安
入れ歯を作製する際の型取りや噛み合わせの確認にかかる費用は、基本的に入れ歯本体の作製費用に含まれています。
ただし、完成した入れ歯をより快適に使うためには、装着後の微調整が欠かせません。
保険診療の場合、簡単な調整であれば数百円〜数千円かかることもあります。
自費診療の場合は、一定期間の調整費用が入れ歯の価格に含まれていることが多いですが、歯科医院によって規定が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
保険診療の6ヶ月ルールと作り直し時の注意点

保険診療には、一度入れ歯を作製すると、一定期間は再作製が制限される6ヶ月ルールという大切な取り決めがあります。
ここでは、この制度が設けられた背景や具体的な仕組み、例外的に早期の作り直しが認められる場合などについて紹介します。
6ヶ月ルールが適用される理由と仕組み
6ヶ月ルールとは、保険診療で新しい入れ歯を作った場合、その歯型を採った日から6ヶ月間は、新たに保険で入れ歯の作り直しができないという全国共通の決まりです。
例えば、4月1日に歯型を採った場合、次に保険適用で入れ歯を作れるのは10月1日以降となります。
このルールは、頻繁な作り直しによる医療費の増大を抑制する目的で設けられています。
また、通常入れ歯は作製後の調整で安定していくため、すぐに作り直す必要はないと考えられていることも理由の一つです。
この情報はレセプト(診療報酬明細書)を通じて共有されるため、別の歯科医院を受診しても同様に適用されます。
保険で例外的に早期作り直しが認められるケース
やむを得ない事情がある場合には、例外的に6ヶ月以内でも保険診療での作り直しが認められます。
主なケースは以下の通りです。
- 入れ歯を大きく破損して修理が困難な場合
- 残っていた歯を抜歯したことで、今までの入れ歯が明らかに合わなくなった場合
- 上顎(または下顎)の入れ歯を作った後、対となる下顎(または上顎)の入れ歯を新たに作る場合
これらの状況に当てはまる場合は、6ヶ月を待たずに作り直しが可能となることがあるため、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。
調整は6ヶ月以内でも対応可能
6ヶ月ルールはあくまで新しい入れ歯の作製に対する制限です。
したがって、現在使用している入れ歯の調整であれば、6ヶ月以内であっても保険診療で何度でも受けられます。
入れ歯が完成した直後は、まだお口に馴染んでおらず、粘膜に当たって痛みが出ることが少なくありません。
作り直しを考える前に、まずは歯科医院で調整を依頼しましょう。
合わない入れ歯を放置するリスクと対処法

「少しぐらい合わなくてもまだ使えるから」と、不具合のある入れ歯を使い続けていませんか。
合わない入れ歯の放置は、お口の中の健康を損なうだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、合わない入れ歯を使い続けることで生じる具体的なリスクと、そうした状況に陥った際の対処法について見ていきましょう。
痛み・吐き気・口内炎など身体への悪影響
合わない入れ歯は、口腔内で不安定に動くため、歯ぐきや粘膜の特定の部分に過度な力がかかります。
その結果、粘膜が傷ついて痛みが生じたり、繰り返し刺激されることで義歯性口内炎という入れ歯が原因の口内炎ができたりします。
また、入れ歯が大きすぎたり、喉の奥を刺激したりすると、吐き気を催すこともあります。
さらに深刻なのは、歯ぐきがぶよぶよと柔らかくなってしまうフラビーガムという状態です。
フラビーガムが生じると、新しい入れ歯を作ることさえ難しくなる場合があります。
オーダーメイドの入れ歯作製という選択肢
保険診療の入れ歯でどうしても満足できない場合や、より高い快適性・審美性を求める場合には、自費診療によるオーダーメイドの入れ歯が有効な選択肢となります。
自費の入れ歯は、精密な型取りを行い、患者様一人ひとりのお口の形や顎の動きに合わせて設計・作製されます。
金属床義歯のように薄くて丈夫な素材を使えば違和感を減らせるうえに、ノンクラスプデンチャーのように見た目が自然なものも選ぶことが可能です。
セカンドオピニオンで治療の幅を広げる
現在の入れ歯治療に疑問や不満がある場合、別の歯科医師の意見を聞くセカンドオピニオンを利用するのも一つの方法です。
歯科医師によって治療方針や得意とする分野が異なるため、別の視点からのアドバイスが問題解決の糸口になることがあります。
例えば、「調整しても良くならない」と思っていた入れ歯が、別の歯科医院の異なるアプローチで快適になる可能性もあります。
入れ歯作り直しに必要な期間と治療の流れ

入れ歯の作り直しを決めたら、次に気になるのは「完成までにどれくらい時間がかかるのか」「何回くらい通院する必要があるのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、入れ歯の作り直しを開始してから新しい入れ歯が完成するまでの一般的な期間や通院回数の目安について解説します。
作り直し開始~完成までの一般的な期間
入れ歯の作製期間は、保険か自費かによって大きく異なります。
【保険診療の入れ歯】
一般的に、型取りから完成までの期間は2週間〜1ヶ月程度です。
作製工程がある程度規格化されているため、比較的短期間で完成します。部分入れ歯も総入れ歯も、期間に大きな差はありません。
【自費診療の入れ歯】
オーダーメイドで精密に作製するため、保険の入れ歯よりも長い期間が必要です。
一般的な目安として部分入れ歯は2~3ヶ月、総入れ歯は2~6ヶ月程度かかるケースが多いです。
型取りから完成までにかかる通院回数
一般的な流れと通院回数の目安は以下の通りです。
- 診察・治療計画:入れ歯の方針を決定
- 型取り:精密な型を採取
- 噛み合わせの記録:土台で高さや位置を確認
- 試適(してき): 色やフィット感を確認
- 完成・装着:最終調整して装着
上記の工程を行うため、少なくとも5〜6回程度の通院が必要になるのが一般的です。
特に精密な自費の入れ歯の場合は、さらに多くの工程を踏むため、通院回数が増える傾向にあります。
症例によって違う期間の目安
全体の期間や通院回数は、個々の口腔内の状態(症例)によっても変わります。
例えば、残っている歯が少なく、噛み合わせが不安定な場合は、正確な位置を決めるためにより慎重な工程が必要となり、期間が長くなることがあります。
逆に、部分入れ歯で残っている歯の状態が良好であれば、比較的スムーズに進むこともあります。
総入れ歯は、お口全体の形状に合わせて精密に作製する必要があるため、部分入れ歯に比べて時間を要することが多いです。
まとめ
入れ歯は、歯ぐきや顎の骨の変化、入れ歯自体の劣化、お口の中の治療など、さまざまな理由で合わなくなることがあります。
作り直しの費用や期間は保険診療と自費診療で異なり、特に保険診療には6ヶ月ルールという注意点があります。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、患者様一人ひとりのお悩みやご希望を丁寧にお伺いし、口腔内の状態に合わせた最適な入れ歯治療をご提案します。
「今の入れ歯が合わない」「費用や種類について詳しく知りたい」など、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
当院には女性歯科医師も在籍しており、きめ細やかな配慮を心がけています。また、セカンドオピニオンも歓迎しているため、入れ歯に関するお悩みはぜひお気軽にご相談ください。
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