
歯の痛みはつらいものです。
夜も眠れないぐらい激痛に襲われたり、食事をするたびに痛みが走ったり、何もしていないのに急にズキズキと痛み出したりすることがあります。
このような症状に、今まさに悩まされているのではないでしょうか。
歯が痛む時は、原因を知り、適切に対処することが大切です。
この記事では、歯が痛い時の原因から応急処置、NG行動まで詳しく解説します。
原因別で見る歯の痛み

歯の痛みは、虫歯や歯周病が原因のケースが多いです。
しかし、他にもさまざまな原因があるため、原因を知り、適切に対処することが大切です。
まずは、歯が痛む原因を紹介します。
虫歯による痛み
歯の痛みの原因として多いのが虫歯です。
口の中にいる細菌が、食べ物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出し、酸が歯を溶かしていきます。
虫歯の進行による痛みの変化は以下のとおりです。
- 初期:痛みはほとんどない
- 中期:冷たいものや甘いものがしみる
- 重度:何もしなくてもズキズキと痛む
虫歯が神経まで達すると、痛み止めも効かなくなることもあります。
また、温かいものを口にすると痛みが増す場合は、かなり進行しているサインです。
虫歯によって一度溶けた歯は元に戻らないため注意しましょう。
虫歯の原因やリスクについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
歯周病による痛み
歯周病は、歯の汚れに含まれる細菌が歯ぐきに炎症を起こす病気です。
最初は歯ぐきの腫れや出血程度ですが、進行すると痛みが現れます。
さらに悪化すると、以下のような症状が見られるのが特徴です。
- 歯ぐきに膿がたまる
- 歯を支える骨が溶ける
- 歯がぐらつく
最初は痛みがないため、気づいたときには手遅れになることがあります。
歯周病を進行させないためには、歯ぐきの腫れや出血を見逃さないことが大切です。
違和感を覚えたらすぐに歯科医院を受診しましょう。
親知らずによる痛み
親知らずで痛む理由は、以下のとおりです。
- 歯ぐきを突き破って生えている
- 斜めや横向きに生えて隣の歯を押している
- 奥にあるため汚れがたまり炎症を起こしている
親知らずの痛みは、体調不良やストレス、疲労がたまったときに出やすい点が特徴です。
普段は痛まなくても、風邪をひいたり仕事が忙しかったりすると急に痛み出すことがよくあります。
また、炎症がひどくなると、のどの痛みや飲み込みにくさを感じたり、口を開けにくくなったりすることがあります。
親知らずについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
歯の根の炎症による痛み
虫歯で神経が死ぬと一時的に痛みはなくなりますが、痛みがなくなったと安心してはいけません。
死んだ神経に細菌が感染すると、歯の根の先に膿がたまり、炎症を引き起こします。
炎症による症状は以下のとおりです。
- 何もしなくても痛む
- 噛むと強い痛み
- 歯が浮いた感覚
- 顔の腫れや発熱
神経のない歯は免疫力がなく、細菌に感染しやすい状態です。
放置すると顎の骨が溶けることもあるため、早めの治療が必要になります。
知覚過敏による痛み
冷たい水や歯ブラシが歯に触れたときに、痛みを感じた場合は知覚過敏の可能性があります。
歯の根元が露出していたり、歯の表面がすり減っていたりすると起こりやすくなります。
虫歯との大きな違いは、痛みがすぐに治まることです。
虫歯の場合は痛みが持続したり、夜になると痛みが強くなったりしますが、知覚過敏の痛みはすぐに消えます。
ただし、自己判断は危険なため、医師に診てもらいましょう。
歯が割れたことによる痛み
歯が割れたりヒビが入ったりすると、噛むたびに激しい痛みを感じます。
神経がある歯が割れた場合、初めは冷たいものがしみる程度ですが、進行すると何もしなくてもズキズキと痛むようになります。
神経がない歯の場合は、割れた部分から細菌が入り込み、歯ぐきが腫れたり膿が出たりします。
歯の破折は見た目では分かりにくいことが多く、レントゲンでも発見が難しい場合があります。
また、縦に割れた場合や根本が割れた場合は抜歯になることが多いです。
噛むと痛い症状が続く場合は早めに診断を受けることが大切です。
歯以外が原因で起こる痛み
歯が痛いと感じても、実は歯自体に問題がない場合があります。
その場合の主な原因は以下のとおりです。
- 副鼻腔炎:風邪をひいてから上の奥歯が痛む
- 三叉神経痛:顔を触ると電気が走るような激痛が走る
- 筋肉の疲労:歯ぎしりによる顎の筋肉痛が歯痛として感じる
- 心臓疾患:運動した時に下顎が痛み、安静にすると治まる
- ストレス:慢性的な痛みが続き、食事中は痛みが少ない
上記が原因で生じた歯の痛みは、歯の治療をしても改善しません。
原因に応じて専門の機関で治療をする必要があります。
夜に歯が痛くなりやすい理由

夜に歯痛が強くなりやすい理由は主に2つあります。
1つ目は、横になったときに頭部への血流が増加することです。
血管が拡張すると歯の中の神経が圧迫され、ズキズキとした痛みが現れます。
2つ目は、自律神経の変化です。夜は副交感神経が優位になり、血管が広がります。
昼間は交感神経により血管が収縮しているため痛みを感じにくいですが、夜になると神経への圧力が高まります。
夜間は歯科医院にすぐ行けない状況であるため、応急処置の方法を知っておくとよいでしょう。
歯が痛いときにすぐできる5つの応急処置法

ここでは、歯が痛いときにできる対処法を紹介します。
ただし、これらはあくまで一時的な対処法です。
痛みが和らいでも、医療機関を受診することをおすすめします。
夜間・休日診療を利用する
我慢できないほどの激痛がある場合は、夜間・休日診療を探しましょう。
各都道府県には当番病院が設定されており、深夜でも歯科医師の診察を受けることができます。
インターネットで『歯科 夜間診療 〇〇市』と検索するか、地域の広報誌で確認できます。
待ち時間が長い場合や自宅から遠いこともあるため、事前に場所と診療時間を調べておくとよいでしょう
費用は通常より高くなりますが、痛みを我慢し続けるより適切な処置を受けることが大切です。
痛み止めを飲む
激しい痛みには、市販の鎮痛剤が効果的です。
薬局やドラッグストアで購入できる解熱鎮痛薬の多くは歯痛にも対応しています。
歯科医院から処方された痛み止めがあれば、そちらを優先的に服用してください。
歯の痛みは予測できないため、痛み止めを常備しておくとよいでしょう。
痛みがひどくなる前に服用すると、より効果を実感できます。
ただし、痛み止めで症状が治まっても、根本的な原因は解決していないため、改めて歯科医院を受診する必要があります。
歯につまったものをとる
歯の痛みは、食べかすが詰まっていることが原因の場合もあります。
やわらかめの歯ブラシで優しく磨いて、詰まったものを取り除きましょう。
痛みが強くて歯磨きができない場合は、無理をせずうがいで対応してください。
デンタルフロスを使う場合も、力を入れすぎないよう注意が必要です。
痛い歯を冷やす
痛みのある部分を冷やすことで、過敏になっている神経が落ち着き、痛みが軽減されます。
冷やす際は、以下のやり方を参考にしてみてください。
- 保冷剤や氷をタオル越しで頬に当てる
- 冷えピタを使用する
- 15分程度を目安にする
ただし、冷やしすぎると逆効果になることがあるので注意しましょう。
うがいする
歯磨きができないほど痛い場合は、うがいで口の中を清潔に保ちます。
推奨されるうがいの仕方は以下のとおりです。
- ぬるま湯に塩を混ぜる
- イソジンやコンクールなどのうがい薬を使用
- 30秒程度、優しくゆすぐ
塩には細菌を減少させる効果があり、うがい薬には殺菌・消毒効果があります。
刺激が強い場合は薄めて使用してください。
歯が痛いときのNG行動

歯が痛いとき、良かれと思ってやったことが逆効果になることがあります。
歯が痛いときは以下の行動を避けましょう。
- 痛い歯を指で触る
- 硬い歯ブラシでゴシゴシ磨く
- 激しい運動や熱いお風呂に入る
- お酒を飲む
- 横になって寝る
- 喫煙する
- 辛い食べ物を食べる
- 痛みを放置する
例えば、痛い歯を指で触るだけでも炎症が悪化し、手の細菌によって感染のリスクを高めます。
硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くのも避け、やわらかめの歯ブラシで優しく磨く程度にしましょう。
激しい運動や熱いお風呂は、血流を増加させ、神経を圧迫して痛みを悪化させます。
お酒も血管を拡張させるため、飲酒後に激痛に襲われることがあります。
また、横になると頭部に血液が集まり痛みが増すため、上半身を起こし気味にして寝ましょう。
喫煙は治癒を遅らせ、辛い食べ物は神経を刺激します。
最も危険なのは痛みを放置することです。
虫歯や歯周病は自然に治らず、細菌が全身に回ることもあるため、早めの受診が必要です。
歯が痛くなくなっても受診しよう

痛み止めが効いたり、応急処置で痛みが和らいだりすると、「もう大丈夫」と思ってしまいがちです。
しかし、これは大きな間違いです。
痛みがなくなったのは、一時的に症状が落ち着いただけか、最悪の場合は神経が死んでしまった可能性があります。
虫歯や歯周病などの原因は残ったままのため、確実に症状は進行していきます。
治療が遅れるほど、複雑な処置が必要になり、費用も時間もかかります。
痛みが治まってもすぐに受診し、根本的な原因を解決する治療を受けることが大切です。
また、歯の病気は初期段階では自覚症状がないことがほとんどです。
痛みを感じたときには、すでにかなり進行しているケースは少なくありません。
そのため3〜6ヶ月に一度は定期検診を受け、痛みが出る前に予防することが大切です。
よくある質問

歯の痛みに関して、よくある質問をまとめました。
虫歯じゃなくても歯が痛くなる原因はありますか?
虫歯以外にもさまざまな原因で歯が痛くなることがあります。
歯周病による歯ぐきの炎症、知覚過敏、歯の破折、親知らずの炎症などが代表的です。
また、歯に問題がなくても痛みを感じることがあります。
例えば、副鼻腔炎やストレス、筋肉の疲労、心臓疾患などが原因になり得ます。
歯痛に痛み止めが効かないときはどうすればいいですか?
痛み止めが効かない場合は、すぐに歯科医院を受診してください。
市販の鎮痛剤を飲んでも効果がないときは、深刻な状態になっている可能性が高いです。
虫歯が神経まで達して強い炎症を起こしている、神経が死んで腐り根の先に膿がたまっている、歯ぐきに細菌が感染して膿が出ているなどの状態が考えられます。
放置すると歯を失うだけでなく、感染が広がって顔が腫れたり、全身に影響が出たりする危険があります。
歯が痛いとき救急車を呼んでもいいですか?
歯痛で救急車を呼んでも、期待する治療を受けられる可能性は低いのが現実です。
救急搬送先には歯科医師や専門器具がないことが多く、痛み止めを処方する程度の対応しかできません。
歯の神経を取るなどの根本治療は、歯科医院でしか行えないからです。
ただし、顔全体が腫れて呼吸が苦しい、高熱が続いている、意識がもうろうとしているなどの症状がある場合は、感染が全身に広がっている可能性があるため、迷わず救急車を呼んでください。
通常の歯痛の場合は、夜間・休日診療の歯科医院を探して受診する方が確実な治療を受けられます。
まとめ
歯の痛みには虫歯や歯周病などの歯が原因のものと、筋肉や神経などの歯以外が原因となるものがあります。
痛み止めや患部を冷やすなどの対処で一時的に痛みは和らぎますが、根本的な解決にはなりません。
痛みが治まっても放置すると歯を失うリスクが高まるため、早めに受診することが大切です。
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我慢せずに、早めにご相談ください。
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