
食事のたびに歯が痛む、硬いものを避けるしかない、といった悩みを抱えてはいないでしょうか。
噛むと痛いという症状は、生活の質を大きく下げてしまいます。
好きなものを思うように食べられないストレスは、想像以上に大きいものです。
噛むと痛いときは、虫歯の他にも、歯茎の病気、噛み合わせのズレ、過去の治療の不具合など、さまざまな原因が考えられるため、正しく見極めることが改善の第一歩です。
この記事では、噛んだときの痛みの原因を詳しく解説し、応急処置から歯科医院で受けられる治療までご紹介します。
噛むと歯が痛い8つの原因とそれぞれの症状

噛むと歯が痛い原因はさまざまです。
それぞれ症状や治療法が異なるため、どれに当てはまるのか知ることが大切です。
ここでは、原因とそれぞれの症状について詳しく解説します。
1. 虫歯
はじめのうちは、虫歯があっても痛みはありません。
しかし、虫歯が歯の内側まで進むと、噛むときの痛みに加え、冷たいものや甘いものがしみるようになります。
また、虫歯がある程度進行すると歯に穴ができ、食べ物が入り込んで、神経を圧迫することで歯が痛みます。
虫歯が原因の場合、すでに進行している可能性が高いでしょう。
さらに神経の近くまで虫歯が進むと、何もしなくても強い痛みが出るようになります。
→虫歯の症状をわかりやすく解説|進行度と治療法・放置のリスク
2. 歯周病
歯周病は、はじめのうちはほとんど症状がありません。
噛むと痛いという症状が出るのは、すでに進行している証拠です。
歯周病が進むと、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラになり、この状態で噛むと、歯が動いて痛みを感じます。
歯と歯茎の間に膿がたまれば、さらに強い痛みが出ることもあります。
噛んだときの痛み以外にも、嫌な口臭、朝起きたときの口内のネバネバ感、歯磨きのあとに出血、歯茎が腫れるなどの症状が見られます。
3. 歯根膜炎
歯根膜炎は、歯と顎の骨の間にある薄い膜に炎症が起きる病気です。虫歯の細菌や、転んで歯をぶつけることなどが原因で起こります。
歯根膜炎になると、歯が浮いた感じがするのが特徴です。
他にも、歯茎が押されることで痛みを感じたり、食べ物を噛んだときに強い痛みが出たりします。
ひどくなると、頭痛や熱を伴い、あごの下が腫れることもあります。
症状が強いときは、歯の根元の歯茎が赤く腫れて、長期にわたって痛みが続きます。
4. 根尖性歯周炎
根尖性歯周炎は、歯の根元で炎症が起きて膿がたまる病気です。
歯の神経が死んで腐ってしまい、歯の根本から細菌が広がることで発症します。
普段はほとんど症状がなく、歯茎に白いできものができて膿が出る程度です。
しかし、悪化すると歯を支える歯槽骨が溶けて、歯茎やあごの腫れが生じ、噛むことができなくなる場合があります。
根尖性歯周炎は自然に治ることはなく、歯の中をきれいにする治療が必要です。
放置すると歯を抜かなければならないこともあるため、早めの治療が大切です。
5. 歯根破折(歯のヒビ・割れ)
歯根破折とは、歯の根元にヒビが入ったり、割れたりした状態のことです。
噛むと痛いだけでなく、何もしなくてもズキズキと痛むことがあります。
歯茎に膿の出口ができたり、歯茎が腫れたりするケースも少なくありません。
他にも口臭や歯のグラつきといった症状も見られることがあります。
小さいヒビの場合はレントゲンに写らないことが多く、見つけるのが難しいです。
6. 咬合性外傷(噛み合わせの問題)
咬合性外傷は、噛み合わせの問題により歯や歯茎がダメージを負った状態です。
問題のない歯に強い力がかかって生じる場合に起こる「一次性咬合性外傷」と、歯周病によって弱った歯に通常の力がかかって生じる「二次性咬合性外傷」があります。
詰め物がよく取れる、歯周病ではないのに歯がグラグラする、虫歯でないのに歯がしみるといった症状が特徴的です。
また、神経を取った歯の割れ、あごを開け閉めする際の痛みや音、頭痛や肩こりが生じる場合があります。
7. 親知らず
親知らずは、生え方によってさまざまなトラブルを引き起こします。
とくに斜めや横向きに生えている場合は要注意です。
親知らずが隣の歯を押すことで、隣の歯の歯根膜に炎症が起きて痛みが生じます。
また、親知らずと隣の歯の間に食べ物が詰まりやすく、詰まったところから虫歯や歯周病が発生することも少なくありません。
さらに、親知らずの周囲の歯茎が炎症を起こす智歯周囲炎になると、噛むたびに激しい痛みを感じます。
顎が開きにくさや、のどの痛みを伴うこともあります。
→親知らずの隣の歯が痛い原因は?放置するリスクや治療のタイミングも紹介
8. 詰め物・被せ物のトラブル
詰め物や被せ物は、長く使っていると外れたり、不具合が生じたりすることで痛みが出ることがあります。
詰め物や被せ物の中で虫歯になっている、壊れている、接着剤が古くなっている、歯ぎしりなどで強い力がかかっているなどが主な原因です。
また、高さが合わない場合も、その歯だけに力がかかって痛みの原因になります。
もし痛みがなくても、外れたら早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。
噛むと歯が痛いときの応急処置3つ

噛んだときの歯の痛みは突然やってくることが多く、すぐに歯科医院に行けない場合もあるでしょう。
そんなときの応急処置を3つご紹介します。
ただし、あくまで一時的な対処法のため、基本的には歯科医院を受診して適切な治療を受けることが大切です。
1. 市販の痛み止めを服用する
ドラッグストアで購入できる鎮痛剤は、一時的に痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、痛み止めは症状を抑えるだけで、原因を根本から改善するわけではないことに注意が必要です。
痛みが治まったからといって放置せず、なるべく早めに歯科医院を受診しましょう。
2. 外側から冷やす
頬の上から濡れたタオルや保冷剤を使って冷やすと、血管が収縮して痛みが和らぎます。
ただし、冷やしすぎは逆効果になることもあるため、15分程度を目安にしましょう。
3. ぬるま湯で口をゆすぐ
体温に近いぬるま湯で優しく口をゆすぐと、食べかすや細菌を洗い流せます。
塩水を使うと、殺菌効果も期待できます。
うがいを激しくすると痛みが増すことがあるため、優しく行いましょう。
噛むと歯が痛いときやってはいけない行動

歯が痛いときに、良かれと思ってやってしまいがちな行動が、症状を悪化させることがあります。
以下の行動は避けましょう。
- 喫煙する
- 痛い歯を指や舌で触る
- 熱いお風呂に入る、運動する
- お酒を飲む
上記の行動はすべて炎症を悪化させ、痛みを強くする行動です。
歯が痛いときは安静にして、余計な刺激を与えないようにすることが大切になります。
歯科医院を早めに受診して、適切な治療を受けましょう。
→虫歯が痛い時の応急処置と控えたほうがいい行動・痛む原因を解説
噛むと歯が痛いときに歯科医院で行う治療内容

歯科医院では、まずレントゲン撮影や視診などで痛みの原因を特定します。
その後、原因や程度に応じて、炎症を抑える薬の処方、感染部分の清掃と消毒、詰め物や被せ物の調整、場合によっては抜歯などの処置を行います。
治療は段階的に進めることが多く、まずは痛みを取り除き、その後根本的な原因に対する治療を行います。
医師の説明をしっかりと聞き、納得したうえで治療を受けるようにしましょう。
噛むと歯が痛いのを放置するリスク

噛むと痛いにもかかわらず、放置してしまうと取り返しのつかない事態になる可能性があります。
代表的なリスクとしては、抜歯です。
初期の虫歯なら簡単な治療で済みますが、放置して根尖性歯周炎や歯根破折に至ると、歯を失う確率が高くなります。
また、他のリスクとして、歯の細菌が全身に回る可能性があります。心臓病や糖尿病がある方は、歯の感染が命に関わることもあるのです。
家計面においても、早いうちに治療した場合と放置した場合とでは、負担が大きく異なります。
健康と家計、どちらにおいても早く治療をするに越したことはありません。噛むと歯が痛い場合は、早めに受診しましょう。
噛むと歯が痛い症状についてのよくある質問Q&A

噛むと痛い症状に関して、よくある質問をまとめました。
Q1: 虫歯以外の原因で噛むと歯が痛くなることはある?
虫歯以外にも噛むと歯が痛くなることはあります。
歯周病、歯根膜炎、根尖性歯周炎、咬合性外傷、親知らず、詰め物や被せ物の不具合、歯根破折など、さまざまな原因が考えられます。
原因によって治療法も異なるため、自己判断せずに歯科医院で正確な診断を受けることが大切です。
Q2:虫歯の痛みが一時的に消えたら様子見でもいい?
痛みが消えても安心はできません。
痛みが急に治まったときは、症状が改善したのではなく、むしろ悪化している可能性があるため注意が必要です。
虫歯が進行して神経まで達すると、激しい痛みを感じますが、神経が死んでしまうと、痛みが急になくなることがあります。
もし、神経が死んでしまった歯を放置すると、根の先に膿がたまり、顎の骨まで炎症が広がることがあります。
痛みが落ち着いたからといって、虫歯が自然に治ることはないため、早めに歯科医院を受診しましょう。
Q3:虫歯かどうか自分で確認する方法はありますか?
完全に自己判断するのは難しいです。
しかし、症状から虫歯の可能性を疑うことはできます。
例えば、鏡で歯を見たとき、歯の表面に白い斑点や茶色・黒色の変色がある場合、虫歯の可能性があります。
他にも、冷たいものや甘いものがしみる、噛んだときに痛みがある、デンタルフロスがひっかかるなどの症状も虫歯が疑われます。
ただし、これらの症状があっても必ずしも虫歯と断定はできません。
歯と歯の間や詰め物の下など、自分では見えない部分に虫歯ができることも少なくないためです。
そのため、虫歯の疑いがある場合は、自己判断で済ませず歯科医院を受診することが大切です。
→虫歯を確かめる方法は?自宅でできる簡単チェックと歯科医院での検査を徹底解説
まとめ
噛むと歯が痛いという症状には、虫歯、歯根膜炎、根尖性歯周炎、歯根破折、歯周病、咬合性外傷、親知らず、詰め物・被せ物の不具合といった原因があります。
それぞれの原因によって治療法は異なりますが、共通しているのは早期発見・早期治療が重要ということです。
痛みを我慢し、自己判断で様子を見ることは、状況を悪化させる場合があります。
放置すれば歯を失うだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
噛むと歯が痛いという症状で悩んでいる方は、下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。
当院では、虫歯や歯周病はもちろん、歯根膜炎や咬合性外傷など、噛むと痛む症状の原因の診断・治療に必要な機器を備えています。
口腔外科認定医による相談・治療にも対応しておりますので、大切な歯を守るためにも、すでに悩んでいる方や症状を感じた場合は早めにご相談ください。
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