歯茎を押すと痛い原因|ストレスとの関係や治療法を解説

歯茎 押すと痛い

歯茎を押した時に痛みを感じることはありませんか?

「腫れてないのに押すと痛い」「最近ストレスが多いから関係あるのかな」と不安に感じている方も多いでしょう。

そのうち治るだろうと放置してしまいがちですが、痛みを我慢しているうちに進行し、最終的には抜歯が必要になることもあります。

そんな状況になる前に、歯茎の痛みの原因を知って適切に対処することが大切です。

この記事では、歯茎を押すと痛む原因から、今すぐできる対処法、原因別の治療法まで詳しく解説します。

歯茎の痛みに悩まされている方はぜひ参考にしてください。

歯茎を押すと痛い!主な原因は4つ

歯茎 押すと痛い

歯茎を押した時の痛みには、さまざまな原因が考えられます。

ここでは、最も多く見られる4つの原因について詳しく解説します。

原因1:歯周病

歯周病は、歯と歯茎の境目にたまった歯垢が原因です。

歯垢の中にたまった細菌から出される毒素が、歯茎に炎症を引き起こします。

最初は歯茎だけの炎症で、多くの場合は自覚症状もありませんが、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまい、痛みをはじめとする症状が現れます。

歯茎を押すと痛みを感じる段階では、すでにある程度進行している可能性があります。

歯周病の特徴的な症状は、歯と歯の間の歯茎が赤く腫れ、触ると痛むことです。

健康な歯茎はピンク色で引き締まっていますが、歯周病になると赤紫色でブヨブヨした感触になります。

歯磨きで出血する、朝起きた時に口の中がネバネバする、口臭が強くなるなども典型的な症状です。

さらに進行すると、歯茎から膿が出たり、歯がグラグラして、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。

原因2:根尖病巣

根尖病巣(こんせんびょうそう)は、歯の根の先に膿がたまる病気です。

虫歯を放置した歯や、過去に神経を取った歯に起こりやすいのが特徴で、根尖病巣は最初は痛みがほとんどありません。

しかし、体調が悪い時や疲れている時に、急に痛みが出ることがあります。

進行してからは、歯茎を押すと痛む以外に歯が浮いた感じがする、噛むと違和感がある、歯茎に白いニキビのようなものができるなどの症状が現れます。

歯茎にできる白い膨らみから膿が出ると一時的に痛みが楽になることはありますが、原因が改善されたわけではありません。

放置すると膿の袋が大きくなり、最悪の場合、隣の歯にも影響が及んだり、顔が腫れたりすることもあります。

細菌が血流に乗って全身に回ることで、心臓病や脳梗塞のリスクを高める可能性も指摘されています。

原因3:智歯周囲炎

智歯周囲炎(ちししゅういえん)は、親知らずの周りに起こる炎症です。

親知らずは一番奥に生える歯で、斜めに生えたり、半分だけ顔を出したりすることが多く、歯ブラシが届きにくいため汚れがたまりやすくなります。

主な症状は、親知らず周辺の歯茎の腫れと痛みです。

炎症がひどくなると、口が開きにくくなったり、飲み込む時に痛みを感じたり、顎の下のリンパ節が腫れたりします。

さらに悪化すると、顔が腫れて熱が出ることもあります。

智歯周囲炎は、一度治っても繰り返しやすいのが特徴です。

疲れやストレスで体の抵抗力が落ちたときに症状が出やすく、大事な時期に限って痛み出すことも少なくありません。

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原因4:歯根破折

歯根破折(しこんはせつ)とは、歯の根の部分にヒビが入ったり割れたりした状態です。

見た目では分からない歯茎に埋まった部分で起こるため、発見が遅れることが多い症状になります。

歯根破折は特に、神経を取った歯に起こりやすいです。

神経を取る治療では血管も一緒に取り除くため、歯に栄養が届かなくなります。

その結果、歯がもろくなり、通常の噛む力でも割れやすくなってしまうのです。

初期症状は、神経を抜いた歯に違和感がある、歯が浮いたような感覚がある、歯茎に白いできものができる、被せ物が何度も取れるなどが挙げられます。

神経がない歯のため最初は痛みを感じにくいですが、破折部分から細菌が入り込むと、歯茎が腫れたり膿が出たりします。

原因別!歯茎を押すと痛いときの治療法

歯茎 押すと痛い

歯茎の痛みの原因が特定できたら、原因に応じた治療を行います。

ここでは、各原因に対する具体的な治療法を詳しく解説します。

歯周病の治療

歯周病の治療は、進行度によって異なりますが、口内の歯周病菌を減らすことが基本的な目的です。

軽度の場合は、歯科衛生士が磨き方の指導と、専用の器具による歯石の除去を行います。

中等度以上の場合は、歯茎の深い部分まで掃除が必要です。

麻酔をして、歯周ポケットの奥の汚れを徹底的に取り除きます。基本的に、数回に分けた治療が必要です。

重度の場合は、外科手術が必要になることもあります。

歯茎を切り、歯の根元を直接きれいにしたり、失われた骨を再生させる治療を行ったりします。

いずれの場合も、治療後は3~6か月ごとの定期的な受診が必要です。

歯周病はすぐに治るものではなく、時間をかけて付き合っていく必要があるため、定期的な管理が大切です。

根尖病巣の治療

根尖病巣の主な治療は、歯の内部をきれいにする根管治療です。

根管治療では感染した組織や膿を取り除いた後、歯の内部を何度も消毒薬で洗浄し、細菌を完全に取り除きます。

きれいになったら、歯の内部に薬を詰めて密封し、歯を保護するために被せ物をします。

治療は通常2~4回の通院が必要で、1回の治療時間は30分程度です。

根管治療で改善しない場合は、歯茎を切開して根の先端を切り取る手術を行うこともあります。

それでも治らない場合は、残念ながら抜歯が必要です。

症状が進行すればするほど、治療期間は長くなり、費用も増えてしまうため、早めの治療が大切です。

智歯周囲炎の治療

智歯周囲炎が軽症の場合は、腫れている部分を洗浄して抗菌薬を服用することで改善します。

しかし、飲み薬だけでは効果が不十分な場合は、抗菌薬の点滴が必要です。さらに重症化すると、入院治療が必要になる場合もあります。

一度炎症を起こした親知らずは繰り返し炎症を起こすことが多いため、根本的な解決には抜歯が必要です。

ただし、炎症がある間は抜歯ができないため、腫れや痛みが治まってから抜歯を行います。

抜歯後は処方された薬をきちんと服用し、医師の指示に従って適切なケアを行うことが大切です。

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歯根破折の治療

歯根破折の治療は、ヒビの位置と程度によって大きく異なります。

浅い位置の小さなヒビであれば、特殊な接着剤で固定して、被せ物で補強することで歯を残せる場合があります。

深い位置のヒビでも、一度歯を抜いて、外でヒビを修復してから元に戻すことも可能です。ただし、一般的に成功率は高くありません。

縦に深く割れている場合や、複雑に割れている場合は、抜歯が必要になり、欠損部分はインプラント、ブリッジ、入れ歯などによる補綴治療が検討されます。

歯茎の痛みにストレスや疲れは関係する?

歯茎 押すと痛い

ストレスと歯茎の痛みは関係するとされています。

ストレスがかかると体の免疫力が低下し、普段は症状が出ない程度の歯周病や根尖病巣でも、急に歯茎が痛み出すことがあるのです。

これは体の抵抗力で抑えられていた炎症が、ストレスによって表面化することが理由です。

また、ストレスによって唾液の分泌が減少すると口内の細菌が増えやすくなり、その結果、歯茎に炎症が起こりやすくなって押すと痛みを感じるようになります。

さらに、ストレスは歯ぎしりや食いしばりの一つの原因です。

無意識に歯を強く噛みしめることで、歯茎に過度な負担がかかり、痛みが出ることがあります。

特に朝起きた時に歯茎が痛い場合は、夜間の歯ぎしりが原因かもしれません。

痛みを繰り返す場合は、根本的な原因を調べるために歯科医院を受診することをおすすめします。

歯茎を押すと痛いときに自宅でできる応急処置

歯茎 押すと痛い

歯茎の痛みが急に起こった場合、すぐに歯科医院を受診できないこともあるでしょう。

ここでは、受診までの間に自宅でできる応急処置について詳しく説明します。

ただし、これらはあくまで一時的な対処法であり、根本的な治療ではないため、早めに歯科医院を受診しましょう。

痛み止めを上手に使う

歯茎の痛みには、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェンなどの痛み止めが有効です。

ただし、細菌感染による痛みには効果が限定的です。

特に膿がたまっている場合や根の先に強い炎症がある場合は、痛み止めの服用だけでは十分に痛みを抑えられません。

また、痛み止めはあくまで一時的な対処にしか過ぎないため、痛みが治まったからといって放置せず、早めに歯科医院を受診してください。

患部を冷やす時のポイント

歯茎が腫れて熱を持っている場合は、冷やすことで痛みを和らげることができます。

氷をタオルで包み、頬の外側から15分程度当てます。その後、30分以上休憩してから再度冷やしてください。

ただし、連続して長時間冷やすと、かえって回復が遅れることがあるため冷やしすぎには注意しましょう。

冷水でうがいも効果的ですが、しみる場合は常温の水を使いましょう。

口の中を清潔に保つ

痛くても歯磨きは大切です。

柔らかめの歯ブラシで45度の角度で優しく磨き、歯磨き後は殺菌効果のあるうがい薬を使いましょう。

ただし、アルコールを含むものは避けてください。

うがい薬がない場合は、コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分の塩を溶かした塩水でうがいをします。

腫れを引かせる効果と軽い殺菌効果が期待できます。

歯茎が押すと痛いときについてのよくある質問

歯茎 押すと痛い

歯茎を押したときの痛みに関して、よくある質問をまとめました。

Q1. 歯茎の痛みは自然に治ることはありますか?

原因によっては自然に治る場合もありますが、歯周病、根尖病巣などの細菌感染が原因である場合は、治療せずに治ることはありません

痛みが引いても炎症は続いており、少しずつ進行していきます。

体の抵抗力が低下したときに、再び症状が現れることがよくあります。

一方、外傷や一時的な刺激による痛みであれば、自然に治ることも少なくありません。

しかし、これらと細菌感染による痛みを自分で見極めるのは難しいです。痛みが続く場合は、歯科医院で診察を受けることをおすすめします。

Q2. 痛みがなくなったら歯医者に行かなくても大丈夫ですか?

痛みがなくなったからといって、治ったわけではないため受診をおすすめします。

多くの病気は、痛みが強い時期と落ち着く時期を繰り返しながら進行します。

痛みがなくなったのは、症状が一時的に落ち着いただけの可能性が高いです。

例えば根尖病巣の場合、膿が自然に排出されることで一時的に痛みが落ち着くことがありますが、根本的な原因が残っている限り、膿は再びたまり、周囲の組織を破壊します。

歯周病も同様で、痛みや腫れが一時的に引いたとしても、治ったわけではありません。

自覚症状がないまま進行し、気づいた時には歯がグラグラになってしまうケースもあります。

痛みが引いても安心せず、歯科医院で原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。

Q3. 歯茎が痛い時、温めるのと冷やすのはどちらが良いですか?

炎症で歯茎が赤く腫れ、熱をもっている場合は冷やすことが効果的です。

智歯周囲炎や歯周病など、明らかな腫れがある場合も冷やしてください。

温めると血行が促進され痛みが強くなる可能性があるため、基本的に温めるのは避けましょう。

判断に迷う場合は、歯科医院を受診して医師の指示を仰ぐとよいです。

まとめ

歯茎を押すと痛む主な原因は歯周病、根尖病巣、智歯周囲炎、歯根破折の4つで、いずれも早期に治療を始めることで歯を残せる可能性が高くなります。

ストレスや疲労も歯茎の痛みと関係があるため、体調管理も大切です。

痛みがある時は応急処置で一時的に緩和できますが、根本的な解決には歯科治療が必要です。

痛みが引いたから大丈夫だと考えず、一度でも痛みを感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。

もし今、歯茎の痛みで悩んでいるなら、ぜひ下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。

当院では、レーザーを活用し痛みに配慮した治療を提供しています。

日本口腔外科専門医も在籍しているため、親知らずの抜歯や歯根破折などの難しい症例にも対応可能です。定期的な検診と適切な治療で、健康な歯と歯茎を守りましょう。

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