
「虫歯の治療は終わっているのに、なぜか歯が痛い」
「仕事が忙しくなると決まって歯が痛くなる」
こんな経験はありませんか?
実は、歯の痛みの原因は虫歯や歯周病だけではありません。
現代社会で多くの人が抱えるストレスが、歯の痛みを引き起こすこともあります。
ストレスによる歯の痛みは一般的な歯科治療では改善しないことも多く、悩んでいる方は少なくありません。
そこでこの記事では、ストレスと歯の痛みの関係と対処法などについて解説します。
ストレスによる歯の痛みの特徴

ストレスによる歯の痛みの特徴は、以下のとおりです。
- 歯が浮いている感覚がする
- 奥歯や片側の歯に痛みがある
- 市販の痛み止めが効きにくい
- 検査で異常が見つからない
- 疲労やプレッシャーで痛みが出る
- 時間帯によって痛みのオンオフがある
それぞれ解説します。
歯が浮いている感覚がする
ストレスによる歯の痛みとして典型的なのが、歯が浮いているような感覚があることです。
歯の位置が普段と違って感じたり、噛み合わせがしっくりこなかったりします。
さらに、歯茎にかゆみのような感覚があることも特徴です。
こうした感覚は、歯を支えている組織に軽い炎症が起きていたり、顎周辺の筋肉が緊張しすぎていたりすることで生じている可能性があります。
奥歯や片側の歯に痛みがある
ストレスが原因の歯の痛みは、決まった場所に症状が出やすい傾向があります。
特に奥歯は噛むときに大きな力を受ける場所のため、症状が現れやすいです。
また、左右のどちらか一方だけが痛むケースもよく見られます。
日頃の噛み方の癖や、体の姿勢のゆがみなどが関係していると考えられています。
「先月は右側だったけど今月は左側」と症状が移動することもありますが、これは体が自然に痛みを避けるために噛み方を調整している結果です。
市販の痛み止めが効きにくい
一般的な歯の痛みとは違い、ストレスによる歯の痛みには市販の鎮痛薬が効果を発揮しにくいことがあります。
ストレスによる痛みは、神経が過敏になっていたり、筋肉が長時間緊張し続けていたりすることが原因であるためです。
効果が出ないからといって規定量より多く服用しても状況は変わらないため、服用量は守るようにしましょう。
検査で異常が見つからない
ストレスによる歯の痛みでは、歯科医院で詳しい検査を受けても何も問題が見つからないことが多いです。
そのため「しばらく様子を見てください」という結論になることが多く、患者さんとしては不安や不満が残ってしまいます。
異常が見つからなかった場合、非歯原性歯痛(歯以外が原因の歯の痛み)と診断されることがあります。
疲労やプレッシャーで痛みが出る
ストレスによる歯の痛みは、心身のコンディションと関係しています。
大事な発表の前、納期に追われている時、人間関係で悩んでいる時、寝不足が続いている時などに、痛みが強まることがあります。
反対に、休暇を楽しんでいる時、趣味に夢中になっている時、ゆっくり休めた時などは痛みが和らぐのが特徴です。
自分の歯の痛みがストレスと関係しているかどうかを判断するためにも、痛みが出たときのことを日記などに記録しておくとよいでしょう。
時間帯によって痛みのオンオフがある
ストレスによる歯の痛みは、1日の中で症状の強さが変わります。
朝は睡眠時の歯ぎしりや食いしばりで歯の痛みが強くなる傾向があります。
顎の重だるさや頭の鈍い痛みも併発し、朝ごはんを食べるのも大変という方も少なくありません。
また、日中にたまったストレスが原因で夕方以降に痛みが強くなることもあります。
仕事の終盤で痛みが強くなり、自宅でくつろぐうちに少しずつ楽になっていくのが特徴です。
一方、週末になると症状が軽くなったり、連休中は痛みがほとんど出なかったりします。
ストレスで歯が痛くなる原因とメカニズム

なぜストレスが歯の痛みを引き起こすのか、メカニズムを知ることで適切な痛みへの対処につながります。
筋肉の緊張による関連痛
肩こりや首のこりがひどいとき、一見まったく関係なさそうな歯が痛くなることがあります。
「関連痛」と呼ばれる現象で、首や肩の筋肉の緊張が、離れた場所にある歯の痛みとして感じられることがあるのです。
特にデスクワークで前かがみの姿勢が続いたり、スマートフォンを長時間使ったりすると、首や肩がこり固まり、それが歯の痛みとして現れることがあります。
唾液の変化による炎症の悪化
唾液には口の中を潤して保護する大切な役割があります。
しかし、ストレスを感じると唾液量が減るため口が乾きやすくなり、粘膜が傷つきやすくなります。
さらに、乾燥で口内の酸性度が高まると、歯や歯茎に炎症が起きやすくなり、痛みを引き起こしやすくなるのです。
細菌も増殖しやすくなり、既存の軽い炎症が悪化して痛みが強くなることもあります。
無意識の食いしばり・歯ぎしり
本来、リラックスしている時は上下の歯は、少し離れているのが正常です。
しかし、ストレスがあると歯が常に接触した状態になります。
緊張すると顎の筋肉がこわばり、無意識に歯を強く噛みしめてしまうためです。
通常の食事で噛む力は10~30kg程度ですが、歯ぎしりの時は60~80kg、ひどい場合は100kgを超える力がかかることもあります。
大きな力が歯にかかることで、歯に大きなダメージを与え、痛みの原因になります。
免疫力の低下と歯茎トラブル
ストレスが続くと体の免疫力が落ち、口内環境にも影響を与えます。
例えば、健康な時は問題にならない程度の菌でも、免疫力が下がると炎症を起こしやすくなり、歯茎が腫れたり出血したり、口内炎ができやすくなったりします。
一度炎症が起きると治りにくく、症状が長引くことも多いのも特徴です。
ストレスによる歯の痛みへの対処法

ストレスによる歯の痛みが出たら、以下の方法を試してみてください。
歯科医院を受診する
基本的には、歯の痛みが出たら歯科医院を受診しましょう。
歯科医院では、症状や歯の状態に合った治療に加え、オーダーメイドでマウスピースの作製が可能です。
就寝時の歯ぎしりから歯を保護してくれます。
歯科医院での治療でも改善しない場合は、心療内科との連携も検討しましょう。
ガムで唾液の分泌を活性化する
ストレスで口が乾きやすくなっている時は、ガムを噛むことで唾液の分泌を促せます。
キシリトール入りのシュガーレスガムを選び、左右の歯で均等に噛むようにしましょう。
食後や口が渇いた時に15分程度噛むと効果的です。
ただし、強く噛みすぎると顎に負担がかかるため、軽い力で噛むことを心がけることが大切です。
唾液が増えることで口の中の環境が改善され、虫歯や歯周病のリスクの低下が期待できます。
顎まわりの筋肉をほぐす
頬骨の下あたりを指で円を描くように優しくマッサージしましょう。また、こめかみを軽くもみほぐすことで、頭痛の改善にもつながります。
首のストレッチも効果的です。頭を左右にゆっくり倒し、首筋を伸ばします。
各方向30秒程度キープし、1日数回、特に疲れを感じた時に行うとよいでしょう。
デスクワークの合間に行うと、肩こりの予防にもなります。
血行を改善する
温めることで血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。
温かいタオルを顎に当てたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりすることで、リラックス効果も得られます。
ただし、歯茎が腫れていたり、ズキズキと強い痛みがある時は、温めると逆効果になることがあるため注意が必要です。
デスクワークでの姿勢を改善する
長時間のパソコン作業は、知らず知らずのうちに歯に負担をかけています。
モニターを目線の高さに合わせ、背筋を伸ばして座ることで、首や顎への負担を減らせます。
椅子の高さは足が床にしっかりつくように調整し、1時間に1回は立ち上がってストレッチをしましょう。
スマートフォンを使う時も、下を向きすぎないよう目線の高さまで持ち上げて使うことが大切です。
ストレス以外で歯が痛い原因をチェック

歯の痛みには、ストレス以外にもさまざまな原因があります。
以下に心当たりがある場合は、ストレス以外の原因を疑ってみましょう。
- 虫歯:冷たいものや甘いものがしみ、進行すると何もしなくてもズキズキ痛む
- 歯周病:歯磨き時の出血、歯茎の赤い腫れ、口臭が強くなる
- 親知らず:奥歯の一番奥が腫れて痛み、口が開きにくくなる
- 知覚過敏:冷たいものを飲んだ瞬間だけキーンと痛み、刺激がなければ痛まない
- 顎関節症:口を開けるとカクカク音がし、大きく口が開かない
- 副鼻腔炎:上の奥歯全体が痛み、前かがみで痛みが増し、鼻づまりを伴う
上記の症状は、ストレスによる歯の痛みとは異なる特徴があります。
ストレスによる歯痛は持続的で鈍い痛みが多いのに対し、虫歯や知覚過敏は刺激に反応する鋭い痛みが特徴的です。
また、副鼻腔炎や顎関節症は、歯以外の部位にも症状が現れることが多くなっています。
ただし自己判断は難しいため、症状が続く場合は、一度早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
→虫歯の症状をわかりやすく解説|進行度と治療法・放置のリスク
→親知らずとは?前兆・生え始めの症状や痛みを感じる理由などを解説
ストレスによる歯の痛みに関してよくある質問

ストレスによる歯の痛みに関してよくある質問をまとめました。
Q1:ストレスによる歯の痛みは他の症状と一緒に出ることはある?
ストレスによる歯の痛みが、他の症状と一緒に出るケースは少なくありません。
口を開けるときの音や痛み、開口障害などが起こる顎関節症や頭痛、肩こりなどが代表的な症状です。
また、唾液量の減少により口内炎ができやすくなったり、口臭が強くなったりすることもあります。
夜間の歯ぎしりによる睡眠障害で、朝の疲労感が残ることも少なくありません。
症状が重なることでさらにストレスが増し、悪循環に陥ることもあるため、早めの対処が大切です。
Q2:ストレスによる歯の痛みへの日常的な対処法は?
ストレスによる歯の痛みへの対処法として、ガムで唾液分泌を促す、顎まわりの筋肉をほぐす、血行を改善する、デスクワークでの姿勢を改善するといった方法があります。
ガムを噛むことで唾液が増え、口内環境が改善されやすいです。
顎まわりのマッサージで筋肉の緊張をほぐし、温かいタオルやぬるめのお風呂で血行を良くすることも痛み軽減の効果が期待できます。
デスクワークの方は、1時間に1回のストレッチで首や顎への負担を軽減できます。
ただし、これらはあくまで一時的な対処法です。
痛みが出たら早めに歯科医院を受診し、原因を特定したうえで、セルフケアと併用することをおすすめします。
まとめ
ストレスで歯が痛い場合、心と体のSOSかもしれません。
ストレスによる歯の痛みは、唾液の変化や無意識の歯ぎしり・食いしばりなどが原因で、いくつかの特徴があります。
もし、ストレスが原因の可能性がある場合は、歯科医院または心療内科で専門的な治療を受けるとともに、記事でご紹介した対処法を実践してみてください。
痛みを我慢せず、早めに対処することが大切です。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、ストレスによる歯の痛みにも対応しています。
痛みを抑えた治療や個室での診療など、リラックスして治療を受けられる環境を整えていますので、ストレスによる歯の痛みで困っている方はぜひお気軽にご相談ください。
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