親知らずは何本生える?抜歯の必要性も解説

親知らず 何本

「親知らずって最大で何本生えるの?」

「自分の親知らずの本数は正常なの?」

そんな疑問をお持ちの方もいるでしょう。

結論、親知らずの本数は人によって異なり、生え方にも個人差があります。

この記事では、親知らずの基本的な知識から、抜歯が必要なケースまで、わかりやすく解説します。

親知らずとは?

親知らず 何本

親知らずは、正式な名称は「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」と呼ばれる歯です。

前から数えて8番目に位置する、一番奥の歯のことを指し、智歯(ちし)と呼ばれることもあります。

「親知らず」と呼ばれている理由は、10代後半から20代前半という、親が子どもの歯の状態を把握しなくなる年齢で生えてくることが多いためです。

昔は平均寿命が短く、子どもに親知らずが生える頃には親が亡くなっていることもあったため、「親が知ることなく生える歯」という意味でこの名前がついたとも言われています。

親知らずとは?前兆・生え始めの症状や痛みを感じる理由などを解説

親知らずは全部で何本生えてくるものなのか

親知らず 何本

親知らずの本数には個人差があり、誰もが同じ本数を持っているわけではありません。

ここでは、親知らずが最大で何本生えるのか、なぜ人によって本数が異なるのかについて解説します。

最大4本だが個人差が大きい

親知らずは、上下左右の奥歯のさらに奥に1本ずつ、最大で4本生えてきます。

しかし、すべての人に4本が生えるわけではありません。

親知らずの本数には以下のように個人差があります。

  • 4本すべて生える人
  • 1~3本だけ生える人
  • 1本も生えない人

4本すべてが正常に生える人は約3割程度と言われています。

残りの約7割の人は、親知らずが斜めや横向きに生えたり、歯茎の中に埋まったままだったりします。

生えない人も増えている理由

現代人において親知らずが生えない人が増えている現象は、親知らずの「退化」が原因とされています。

歯の退化とは、歯が小さくなったり、形が変わったり、最終的には存在しなくなることです。

実際に、人類の進化の過程で親知らずは徐々に小さくなってきており、現在では親知らずがそもそも存在しない人も増えています。

退化の背景には、食生活の変化があります。昔の人類は硬い食べ物を噛み砕く必要があったため、強い顎と大きな歯が必要でした。

しかし、火を使った調理や食品加工技術の発達により、現代の食事は柔らかくなり、強い咀嚼力が不要になったのです。

その結果、顎が小さくなり、親知らずが生えるスペースが不足するようになりました。

なお、骨の中に親知らずが作られても、スペース不足で埋まったままの状態(埋伏歯)になることもあり、この場合はレントゲンで確認できます。

親知らずが生える年齢と前兆

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親知らずは他の歯とは異なり、遅い時期に生えてくる特徴があります。

そのため、大人になってから突然痛みや違和感を覚えて驚く方は少なくありません。

ここでは、親知らずが生える時期と、生え始める前に現れる症状について解説します。

一般的な生える時期は10代後半〜20代前半

永久歯は6歳頃から生え始め、15歳頃までにはすべて生えそろうのが一般的です。

一方、親知らずは多くの場合、18歳から25歳頃と遅れて生えてきます。

30代以降に生えることもある

まれに30代や40代になってから親知らずが生えてくることもあります。

親知らずが歯茎の中で通常よりもゆっくりと成長していたケースです。

大人になってから生える親知らずは、すでに歯並びが完成しているため、トラブルを起こしやすい傾向があります。

定期的な歯科検診で、親知らずの状態を確認することが大切です。

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親知らずが生える前の症状

親知らずが生え始めるときには、前兆の症状が現れる場合があります。

現れる症状を知っておくことで、親知らずの存在に早めに気づき、適切な対処ができるようになるでしょう。

親知らずが生える前に現れる主な症状は以下のとおりです。

  • 首筋のリンパ節が軽く腫れる
  • 奥歯の奥がむずがゆい感じがする
  • 7番目の歯の後ろの歯茎が腫れたり膨らんだりする
  • 奥歯の歯茎に食べ物が当たると痛い
  • 歯茎の内側が白っぽく透けて見える
  • 顎の違和感や軽い頭痛がある
  • 歯茎に圧迫感や押されるような痛みがある

いずれかの症状を感じたら、早めに歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。

親知らずによる主なトラブル

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親知らずはトラブルメーカーと呼ばれることがあるほど、さまざまな問題を引き起こしやすい歯です。

なぜ親知らずだけがこれほど多くのトラブルを起こすのか、理由とトラブルと具体的な内容について解説します。

虫歯・歯周病になりやすくなる

親知らずは歯ブラシが届きにくく、食べかすなどの汚れがたまりやすいために虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

特に斜めや横向きに生えている場合は、隣の歯との間に深い溝ができ、食べかすが詰まりやすくなります。

親知らずの虫歯は奥にあるため発見が遅れやすく、痛みが出る頃にはかなり進行しているケースも少なくありません。

また、親知らずが一部だけ歯茎から出ている状態では、歯と歯茎の境目に細菌が入り込むことで「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を引き起こしやすいのも特徴です。

歯並びに悪影響を及ぼす

親知らずが生えるスペースが不足していると、手前の歯を押して歯並びを乱すことがあります。

特に、矯正治療を終えた後に親知らずが生えてきた場合、せっかく整えた歯並びが再び乱れる可能性があります。

痛みや腫れが起こる

親知らずでの痛みや腫れの主な原因は、細菌感染による炎症です。

親知らずが中途半端に生えていると、歯と歯茎の間にできたポケットに食べかすや細菌が入り込み、炎症を起こします。

また、横向きや斜めに生えている親知らずが隣の歯を圧迫することで、持続的な痛みが生じることもあります。

上下どちらか片方だけに親知らずがある場合は、噛むたびに歯茎を傷つけ、慢性的な痛みや腫れの原因となることもあるため早めの対処が必要です。

口臭の原因になる

親知らず周りは清掃が難しいため、食べかすや細菌がたまりやすく、口臭の原因になることがあります。

特に一部が歯茎に覆われている親知らずでは、歯茎と歯の間に深いポケットができ、そこで細菌が繁殖して悪臭を発生させることがあります。

親知らずを抜くべきか残すべきか

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親知らずが生えてきたからといって、必ずしも抜く必要はありません。

しかし、どのような場合に抜歯が必要で、どのような場合は残しても問題ないのかについて判断基準を知っておくことは大切です。

ここでは、抜歯を判断する際のポイントを解説します。

抜歯が必要なケース

親知らずの抜歯が必要かどうかは、歯科医師が総合的に判断しますが、一般的に以下のような状態の場合は抜歯を検討することになります。

抜歯が必要となる主なケースは以下のとおりです。

  • 虫歯や歯周病を繰り返している
  • 横向きや斜めに生えている
  • 痛みや腫れを繰り返している
  • 歯並びに悪影響を与えている
  • 上下の噛み合わせが悪い

このような親知らずは放置すると歯全体に悪影響を及ぼしかねないため、気になる症状があれば早めに受診して相談しましょう。

残しても問題ないケース

すべての親知らずを抜かなければいけないわけではありません。

正常に機能している親知らずは、大切な歯の一つとして、抜歯せずに残すことが一般的です。

具体的に、親知らずを残しても問題ないケースは以下のとおりです。

  • まっすぐ正常に生えていて、噛み合わせに問題がない
  • しっかりと歯磨きができ、清潔に保てている
  • 痛みや腫れなどの症状がない
  • 将来、ブリッジや入れ歯の土台として使える可能性がある
  • 他の歯を失った際の移植歯として使える可能性がある

将来的に手前の大臼歯を失った場合、親知らずを移植して機能を回復させられる場合があります。

また、ブリッジの土台として使用することで、インプラントなどの高額な治療を避けられる可能性もあります。

ただし、親知らずを残す場合は、定期的な歯科検診で状態をチェックし、ケアを続けることが大切です。

年齢とともに清掃が困難になったり、歯周病のリスクが高まったりする可能性もあるため、状況に応じて抜歯を検討する必要が出てくることもあります。

親知らずの抜歯について知っておくべきこと

親知らず 何本

ここでは、親知らずの抜歯について知っておくべき内容をお伝えします。

一度に何本抜けるのか

親知らずは最大4本ありますが、一度に抜く本数は状況により異なります。

一般的には以下のような方法で抜歯を行います。

  • 1本ずつ抜く:3つの方法の中で一番体への負担が少ない
  • 片側2本(上下)ずつ抜く:通院回数を減らしつつ、食事への影響を抑えられる
  • 4本同時に抜く:全身麻酔や入院が必要になることもある

多くの場合、1~2本ずつ抜歯することで、術後の生活への影響を抑えることが可能です。

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抜歯後の注意点

抜歯後の主な注意点は以下のとおりです。

  • 激しい運動、飲酒、長時間の入浴は避ける
  • うがいは優しく行い、強くゆすがない
  • 食事は麻酔が切れてから、柔らかいものから始める
  • 抜歯した側では噛まない
  • 痛み止めは指示通り服用する
  • 歯磨きは翌日から、抜歯部位を避けて行う

特に注意が必要なのはうがいの方法です。

抜歯部分は血餅(けっぺい)という血の塊が傷口を保護しています。

強くうがいをすると血餅が取れてドライソケットという強い痛みが出る状態になってしまうため、優しく行いましょう。

親知らずの本数についてよくある質問

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ここでは、親知らずの本数についてよくある質問をまとめました。

Q1:親知らずを4本全部抜いても大丈夫ですか?

親知らずを4本すべて抜いても、基本的に噛む機能に大きな影響はないとされています。

むしろ、問題のある親知らずを残しておくことで、他の健康な歯に悪影響を与える可能性があります。

ただし、4本同時に抜くか、何回かに分けて抜くかは、親知らずの状態や全身の健康状態を考慮したうえで決める必要があります。

患者さんの負担を考えて、1本ずつもしくは片側2本ずつ抜歯するのが一般的です。

Q2:親知らずの抜歯で小顔効果はありますか?

親知らずを抜いたからといって、骨格が変わるわけではないため、基本的に小顔効果は期待できません

ただし、親知らず周りの炎症が治まることで顔の腫れが引いたり、噛む筋肉の緊張が緩和されたりすることで、顔がすっきりした印象になることはあります。

Q3:親知らずが5本以上ある人もいるのですか?

非常にまれですが、親知らずが5本以上ある人もいます。

「過剰歯」と呼ばれる状態で、通常の歯の本数より多く歯が作られる現象です。

過剰歯がある場合も、問題を起こしていなければ必ずしも抜歯する必要はありません。

歯科医師と相談のうえ、抜歯するかを決めることが大切です。

まとめ

親知らずは上下左右に最大4本生えますが、個人差が大きく、全く生えない人もいます。

一般的に10代後半〜20代前半に生えてきて、奥歯の歯茎の腫れやむずがゆさなどの前兆が現れることがあります。

親知らずは歯ブラシが届きにくいため虫歯や歯周病のリスクが高く、歯並びへの悪影響や痛み、口臭の原因になってしまうため注意が必要です。

繰り返し炎症を起こしたり、斜めに生えている場合は抜歯が必要ですが、正常に生えていて清潔に保てる場合は残すことができます。

もし、親知らずの症状で困っているのなら、専門医への相談をおすすめします。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、日本口腔外科専門医が在籍し、他院で「難しい」と言われた親知らずの抜歯もご相談いただけます。

まずは一度お気軽にご相談ください。

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