
「30代になって急に親知らずが生えてきた」
「若い頃から放置していた親知らずが最近痛む」
そんな悩みを抱えていませんか?
親知らずは30代で生えてくることもありますが、できるだけ早い抜歯が推奨されています。
この記事では、なぜ早めの抜歯が推奨されているのか、10代・20代での抜歯の違いなどについて詳しく解説します。
親知らずが生えてくる年齢|30代以降のケースもあり

親知らずが生えてくる時期には個人差があります。
多いのは10代後半から20代前半ですが、30代になってから生えてくる方も一定数います。
さらに40代以降に生えてくることもありますが、比較的まれなケースです。
また、近年は食生活の変化で顎の構造も変化し、親知らずが生えてこない人も増えています。
親知らずは30代までの抜歯が推奨される理由

親知らずは30代までに抜歯することが推奨されています。
理由は以下のとおりです。
- 年齢を重ねると骨が硬くなるから
- 回復に時間がかかるようになるから
- 歯周病リスクが高まる年代だから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
年齢を重ねると骨が硬くなるから
年齢を重ねるごとに、顎の骨は徐々に硬くなっていき、抜歯しにくい状態になっていきます。
20代の頃は骨がまだ比較的柔らかく、親知らずと骨の結合もそれほど強くありません。
しかし、30代に入ると骨の密度が高くなり始め、親知らずがしっかりと骨に固定されるようになります。
その結果、抜歯時に骨を削る量が増えたり、手術時間が長くなったりします。
そのため、将来的に抜歯が必要になりそうな親知らずは、早いうちの対処が推奨されているわけです。
回復に時間がかかるようになるから
体の回復力は年齢とともに確実に低下していき、親知らずの抜歯後の回復にも影響します。
20代の頃は、抜歯後の傷口も比較的早く治り、腫れや痛みも数日で落ち着くことが多いです。
しかし、30代になると、同じような処置をしても回復までの時間が長くなる傾向があります。
また、感染症のリスクもわずかながら高まるため、より慎重な術後管理が必要になります。
仕事や家庭で忙しい30代だからこそ、回復期間が40代、50代と比べて短く済む今のうちに処置を検討することが大切です。
歯周病のリスクが高まる年代だから
厚生労働省の調査によると、30代の約3人に1人は進行した歯周病(4mm以上の歯周ポケット)を有していると報告されています。
さらに65~74歳までは年齢を重ねるごとに歯周病を有する人が多くなる傾向があります。
考えられる原因としては、以下のとおりです。
- 長年の生活習慣の蓄積(喫煙習慣など)
- 歯茎の免疫力の低下
- 歯茎の細胞の老化
- 歯茎への血流の低下
- 糖尿病、高血圧など全身疾患の影響
- ストレスによる唾液分泌の減少
特に親知らず周りは清掃が難しいため、歯周病が悪化しやすく、隣の歯にも広がるリスクがあるため、30代のうちに抜歯しておくことが推奨されます。
【親知らずの抜歯】30代と10代・20代との違い
30代での親知らずの抜歯は、10代・20代と比べて以下のような違いがあります。
- 年齢を重ねるごとに抜歯の難易度が上がる
- 仕事への影響が大きい
- 完治までの期間が年齢とともに伸びやすい
それぞれ見ていきましょう。
年齢を重ねるごとに抜歯の難易度が上がる
抜歯の難易度は年齢とともに上昇していきます。
要因としては、骨の硬さの変化と周りの組織との癒着具合が挙げられます。
先述したように、10代・20代の骨はまだ柔軟性があり、親知らずを取り除く際の抵抗が少ないです。
しかし、30代になると骨密度が高まり、親知らずがより強固に固定されるようになります。
また、歯の根も年齢とともに完全に形成され、複雑な形状になることがあります。
さらに、周りの組織との癒着が強まると、単純に引き抜くだけでは済みません。
周りの骨を削ったり、歯を分割したりする必要が出てくることがあります。
経験豊富な歯科医師による適切な処置により、安全に抜歯することは可能ですが、より安全に抜歯するために今のうちに抜歯しておくべきだと言えます。
仕事への影響が大きい
30代は仕事や家庭で重要な役割を担う方も多い年代です。
親知らずを抜歯する際は、仕事への影響をしっかりと考えておかなければなりません。
少なくとも抜歯当日は、麻酔の影響や出血の可能性があるため、安静にすることが必要です。
翌日から3日目にかけては腫れや痛みのピークを迎えるため、デスクワークであれば可能ですが、集中力が必要な業務や人前に出る仕事は避けた方が良いでしょう。
特に営業職や接客業など、人と直接接する仕事をされている方は、顔の腫れが気になる可能性があります。
事前に上司や同僚に相談し、業務の調整をしておくことで、安心して治療に臨むことができるでしょう。
完治までの期間が年齢とともに伸びやすい
10代・20代と比べて、30代では抜歯後の回復に時間がかかる傾向があります。
特に喫煙者や糖尿病などの持病がある方は、さらに回復が遅れやすいです。
また、抜歯の難易度によっても回復期間は変わってきます。
完全埋伏智歯で大きく骨を削った場合などは、より回復期間が必要になることを把握しておきましょう。
30代で優先的に抜歯を検討すべき親知らずの状態

親知らずは、必ずしも抜歯する必要はありません。
しかし、いくつか抜歯を優先的に検討すべき状態があります。
次のような状態に陥っている場合は、積極的な抜歯の検討をおすすめします。
痛みや腫れを繰り返している
痛みや腫れが繰り返されるのは、根本的な原因が解決されていないためです。
多くの場合、親知らずの生え方に問題があり、汚れがたまりやすい環境ができています。
一時的に抗生物質で炎症を抑えても、原因が改善されない限り、疲れやストレスで免疫力が下がったときに再び症状が現れます。
30代は仕事のストレスや生活の変化など、体調を崩しやすい要因が多い時期です。
大切な仕事の前日に親知らずが腫れて痛むといった事態を避けるためにも、症状を繰り返している親知らずは、抜歯をおすすめします。
斜めや横向きに生えて虫歯リスクが高い
まっすぐ生えていない親知らずは、虫歯のリスクが非常に高く、早めの対処が必要になります。
斜めや横向きに生えている親知らずは、どんなに丁寧に歯磨きをしても、歯ブラシが物理的に届かない部分が出てきます。
特に、隣の歯との間にできる隙間は、食べ物のカスが詰まりやすく、細菌の温床になりやすいです。
こうした状態が続くと、親知らず自体が虫歯になるだけでなく、隣にある第二大臼歯まで虫歯にしてしまうリスクがあります。
隣の歯まで失うことにならないように、早めの抜歯をおすすめします。
歯茎に埋まって隣の歯を圧迫している
埋まっている親知らずが横向きに成長していて、隣の歯の根を圧迫している場合は抜歯の検討が必要です。
圧迫すると隣の歯に痛みが生じるだけでなく、歯が少しずつ動いて歯並びにも影響を与えます。
また、埋まっている親知らずの近くに嚢胞(のうほう)という袋状の病変ができることもあります。
嚢胞は徐々に大きくなり、周りの骨を溶かしてしまう可能性があるため、嚢胞の存在が確認された場合は、症状がなくても予防的に抜歯の検討が必要です。
噛み合う歯がなく伸びてきている
歯は噛み合う相手の歯がないと、空いた隙間に向かって伸びていく性質があります。
例えば、上の親知らずだけが生えていて、下の親知らずがない場合、上の親知らずは下の歯茎に向かって少しずつ伸びていきます。
最終的には下の歯茎に当たって傷つけたり、食事の際に痛みを引き起こしかねません。
傷がつくとさらなる病気の発生につながるため、抜歯が推奨されます。
口臭の原因になっている
親知らず周りには歯ブラシが十分に届かず、食べかすがたまり、細菌が繁殖します。
細菌が食べかすを分解する際に、悪臭を放つガスを発生させ、口臭の原因となります。
口臭は自分では感じにくく、周りの人も指摘しづらいデリケートな問題です。
30代は仕事で人と接する機会も多く、第一印象が重要な場面も増えてきます。
口臭が原因で、知らないうちに相手に不快感を与えているかもしれません。
親知らず周りをきちんと綺麗にできているかどうか不安がある場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。
30代での親知らずの抜歯はどんな歯科医院を選ぶべき?
ここでは、30代での親知らずの抜歯を成功させるために、歯科医院選びのポイントをご紹介します。
親知らずの抜歯の経験が豊富である
一般的な虫歯の治療と比べると、親知らずの抜歯は難易度が高い治療です。
特に埋まっている親知らずや横向きに生えている親知らずの場合、歯茎を切開したり、骨を削ったり、歯を分割したりする必要があります。
こうした処置には専門的な知識と経験が不可欠です。
そのため歯科医院を選ぶ際は、抜歯の経験が豊富な歯科医師がいるか、難しい親知らずの抜歯実績があるかなどを確認しましょう。
設備と衛生管理が整っている
親知らずの位置を把握するために、立体的な画像で確認できるCTは重要です。
CTを使うと親知らずと神経の位置関係が正確にわかるため、より安全な抜歯につながります。
また、衛生管理をしっかりしている医院を選ぶことも大切です。
感染予防がきちんとできていれば、感染リスクを心配することなく治療が受けられます。
抜歯せず残せる親知らずの条件
すべての親知らずを抜く必要はありません。
次のような場合は、残しておくことでメリットがある場合もあります。
きちんと噛み合っている
まっすぐに生えていて、噛み合う相手の歯と適切に接触している親知らずは、食べ物を噛み砕く機能を果たしています。
このような親知らずは、他の奥歯と同様に咀しゃくに貢献しているため、無理に抜く必要はありません。
ただし、残す場合は隣の歯に悪影響を与えていないこと、歯磨きがきちんとできる位置にあることが前提となります。
定期的な歯科検診で状態をチェックし、問題が生じた場合は早めの対処が必要です。
清潔な状態が維持できている
親知らずが良い位置に生えていても、十分に清掃ができなければ虫歯や歯周病のリスクが高まります。
親知らずの表面だけでなく、隣の歯との間や、歯と歯茎の境目まで清掃でき、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具が使える状態であることが大切です。
また、自宅でのセルフケアに加えて、定期的に歯科医院を受診して専門的なケアを受けて綺麗な状態を維持できるのがベストになります。
移植用として活用できる
健康な親知らずは、将来もし他の歯を失った時に、失った場所に移植できる可能性があります。
インプラント(人工の歯)と違って自分の歯なので体になじみやすく、条件を満たせば保険が適用される場合もあります。
ただし、親知らずが健康で、根っこの形がシンプルであることが必要です。
移植用として残せるかどうかは、歯科医師と相談して決めましょう。
30代での親知らずの抜歯についてよくある質問

ここでは、30代での親知らずの抜歯についてよく寄せられる質問についてお答えします。
Q1:30代や40代で親知らずが生えてくることはありますか?
はい、30代や40代で親知らずが生えてくることもありますが、年齢が上がるほど割合は低くなります。
しかし、30代以降になると骨が硬く歯茎も厚いため、生える際の痛みや違和感が強い傾向があります。
奥歯に違和感を感じたら早めに歯科医院で確認しましょう。
Q2:30代で抜歯すると仕事はどのくらい休む必要がありますか?
親知らずの抜歯後に仕事ができるかどうかは、手術内容や体調、仕事内容によって異なります。詳しい安静期間は、抜歯前に歯科医師に尋ねてみましょう。
抜歯後に仕事に行けるケースもありますが、可能な限り抜歯当日・翌日は安静に過ごしましょう。
大事な仕事や予定は入れないようにしておき、業務を調整しておくことをおすすめします。
まとめ
親知らずは30代で生えてくることもありますが、年齢とともに顎の骨が硬くなり抜歯の難易度が上がるため、できるだけ早い段階の抜歯が推奨されています。
30代での抜歯は腫れや痛みが長引きやすく、仕事への影響も考えておく必要があるでしょう。
痛みや腫れを繰り返す、斜めに生えている、口臭の原因になっているなど、問題のある親知らずは早めの抜歯がおすすめです。
もし、30代で親知らずを抜歯すべきかどうか悩んでいるのであれば、下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。
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