インプラントはメンテナンスが重要!長持ちさせるためのケア方法と怠るリスク

歯科医院

インプラント治療を受けた後「もう治療が終わったから安心」と思っていませんか?

実は、インプラントを入れた後の定期的なメンテナンスこそが、快適な生活を長く続けるための重要なポイントです。

せっかく高額な費用をかけて治療したインプラントも、ケアを怠ると数年でダメになってしまうこともあります。

この記事では、インプラントのメンテナンスがなぜ必要なのか、歯科医院ではどのようなケアを行うのか、そして自宅でできるケアの方法まで、わかりやすく解説していきます。

インプラント治療を受けた方も、これから治療を検討している方も、ぜひ参考にしてください。

インプラントはメンテナンスが重要

歯科医師

インプラント治療後のメンテナンスは、単なる歯の掃除ではありません。

インプラントの寿命を大きく左右するため、治療の一部と言えます。

インプラントは人工の歯ですが、周りの歯茎や骨は生きた組織です。

天然の歯がもつ「歯根膜」という細菌を防ぐバリアがインプラントにはないため、より丁寧なケアが必要になります。

適切なメンテナンスをすれば、インプラントは10年以上、場合によっては20年以上も使い続けられることもあります。

逆に、メンテナンスを怠ると数年でダメになることもあるため、どれだけきちんとメンテナンスできるかが重要です。

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歯科医院でのインプラント定期メンテナンスの方法と内容

治療をする歯科医師

ここでは、歯科医院でどのようなメンテナンスを行うのかについてご紹介します。

口腔内チェック

最初に行うのが、口内全体の確認です。

インプラントに関しては、インプラントがぐらついていないか、歯茎に腫れや赤みがないか、出血していないかを調べます。

また、他の歯に虫歯がないか、歯茎の状態は健康か、噛み合わせに問題はないかなど、口内全体の健康状態も確認します。

レントゲンによる検査

目で見ただけではわからない部分を確認するために、必要に応じてレントゲン撮影をします。

レントゲンでは、インプラントを支えている顎の骨の状態や、インプラントと骨がしっかり結合しているかを確認できます。

レントゲン検査は毎回行うわけではなく、通常は年に1回程度です。

放射線量も少ないため、健康への影響を心配する必要はありません。

PMTC(プロフェッショナルクリーニング)

PMTCとは、歯科の専門家が行う歯のクリーニングのことです。

普段の歯磨きでは落としきれない汚れや歯石を、専用の器具を使って丁寧に取り除きます。

クリーニングでは、水と細かい粒子を噴射して歯の表面をきれいにしたり、超音波を使って歯石を除去したりします。

PMTCでは、インプラント周囲炎の原因となる細菌を効果的に取り除くことが可能です。

噛み合わせの調整

インプラントの噛み合わせは、時間とともに微妙に変化することがあります。

噛み合わせが悪くなると、インプラントに過度な力がかかり、破損の原因になる場合も少なくありません。

そこで、特殊な紙を使って噛み合わせのバランスをチェックし、必要があればインプラントの調整を行います。

ブラッシング指導

最後に、日々の手入れ方法について指導を受けます。

歯科衛生士が、歯磨きの癖や磨き残しやすい部分を確認し、より効果的な磨き方を教えてくれます。

特にインプラント周りは汚れがたまりやすいので、正しい磨き方を身につけることが大切です。

歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方も指導してもらえます。

歯周ポケットの深さの測定

口腔内の状態によっては、歯周ポケットの深さを測ることもあります。

歯周ポケットとは歯と歯茎の間の溝のことで、深くなると細菌がたまりやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。

専用の器具を使って歯周ポケットの深さを測定し、問題がないか確認します。

測定時に少しチクッとすることがありますが、強い痛みが起こることは基本的にありません。

インプラントのメンテナンスの頻度は3~6ヶ月に1回が目安

歯科医院での治療

メンテナンスの頻度は、口内の状態によって異なりますが、一般的には3~6ヶ月に1回が目安です。

手術後1年以内や歯周病のリスクが高い方は、2~3ヶ月に1回の受診をおすすめすることもあります。

一方、口内の状態が良好で、セルフケアもしっかりできている方は、6ヶ月に1回でも問題ありません。

最終的なメンテナンスの頻度は、歯科医師が判断するため、指示された間隔を守って、定期的に受診しましょう。

インプラントのメンテナンスにかかる費用はどのくらい?

費用相場

インプラントのメンテナンス費用は、1回あたり3,000円~10,000円程度が相場です。

年間で計算すると、3ヶ月に1回の場合は12,000円~40,000円、6ヶ月に1回の場合は6,000円~20,000円程度になります。

高いと感じるかもしれませんが、メンテナンスを怠ってインプラントがダメになった場合、再治療には数十万円かかることを考えると、決して高い投資ではありません。

また、医療費控除の対象になる場合もあるため、領収書は大切に保管しておきましょう。

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インプラントのメンテナンスは大変って本当?

クエッションマーク

歯科医院でのメンテナンスは、1回あたり30分~1時間程度で終わります。

また、3~6ヶ月に1回の通院のため、年間でも2~4回程度です。

自宅でのケアも、基本的には天然の歯と同じです。丁寧な歯磨きと、歯間ブラシやデンタルフロスを使った清掃を行うだけです。

むしろ、定期的なメンテナンスを受けることで、インプラントだけでなく口内の健康が保たれるため、歯科治療にかかる時間や費用も節約できると言えます。

インプラントのメンテナンスを怠るリスク

リスク

ここでは、メンテナンスを怠ることで生じる具体的なリスクについて解説します。

インプラント周囲炎になる

インプラント周囲炎が進行すると骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが抜け落ちることもあります。

さらに、インプラント周囲炎は自覚症状が少なく、気づいたときには手遅れになっていることも多いです。

インプラント周囲炎になると、治療は困難で時間もかかります。

最悪の場合、インプラントを除去しなければならないこともあります。

装置の不具合が発生する

インプラントは、いくつかのパーツを組み合わせて作られています。

パーツを固定しているネジは、長年の使用や強い力がかかることで緩むことがあります。

ネジの緩みに気づかずに使い続けると、人工歯が外れたり、割れたりすることがあります。

また、インプラント本体にダメージを与える可能性もあります。

定期的なメンテナンスでは、このようなネジの緩みも確認し、必要に応じて締め直します。

早期に対処すれば、大きなトラブルを防ぐことが可能です。

噛み合わせが悪くなる

時間の経過とともに、歯は少しずつ動いたり、すり減ったりして、噛み合わせが変化することがあります。

噛み合わせが悪くなると、特定の歯に過度な力がかかり、歯が欠けたり、顎関節に負担がかかったりします。

定期的なメンテナンスでの噛み合わせのチェックと、必要に応じた調整で、このような問題を防ぎましょう。

再手術のリスクが高まる

メンテナンスを怠ることで起こるさまざまなトラブルは、最終的に再手術につながる可能性があります。

再手術となると、初回の手術以上に難しくなることが多く、費用も高額です。

また、骨の状態によっては、新しいインプラントを入れることができない場合もあります。

せっかく入れたインプラントを失うだけでなく、今後の治療の選択肢も狭まってしまうのです。

メーカー保証が受けられなくなる

多くのインプラントには、5~10年程度のメーカー保証がついています。

保証により、万が一インプラントに不具合が生じた場合、無料または安価で修理や交換を受けることが可能です。

しかし、メンテナンスを怠っていると、保証期間内であっても保証を受けられなくなってしまいます。

保証が受けられない場合、修理や再治療の費用はすべて自己負担となるため注意が必要です。

インプラントを長持ちさせるケアの方法

歯磨きをする女性

ここでは、インプラントを長持ちさせるためのセルフケア方法を紹介します。

ブラッシング

インプラントのケアの基本は、歯磨きです。

ただし、インプラントは天然の歯よりもデリケートな部分があるため、歯ブラシの毛の硬さ選びと、磨き方には気をつける必要があります。

歯ブラシは柔らかいものか、ふつうの硬さのものを選びましょう。硬い歯ブラシは歯茎を傷つける可能性があります。

磨くときは、歯ブラシを小刻みに動かし、歯と歯茎の境目を特に丁寧に磨きます。

力を入れすぎず、優しく磨くことがポイントです。

インプラントの根元は汚れがたまりやすいため、毛束が1本のワンタフトブラシを使うのも良いでしょう。

研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使用する

研磨剤はインプラントの表面を傷つける可能性があるため、インプラントには、研磨剤が含まれていない歯磨き粉の使用がおすすめです。

歯科医院で販売されている歯磨き粉は、インプラントに適したものが多いため、相談してみるとよいでしょう。

また、フッ素入りの歯磨き粉はインプラントにも使用できます。

補助器具によるケア

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に取り除くことはできません。

歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで、汚れの除去率が上がります。

歯間ブラシは、ゆっくりと前後に動かし、汚れを掻き出すように使います。

デンタルフロスは、歯と歯の間に優しく通し、歯の側面に沿わせるようにして上下に動かして使うとよいでしょう。

デンタルリンス・マウスウォッシュによるケア

デンタルリンスやマウスウォッシュは、歯磨きの補助として使用するとよいです。

口内の細菌を減らし、プラークの付着を防ぐ効果があります。

寝ている間は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなるため、特に就寝前の使用がおすすめです。

薬用成分が含まれているものを選ぶと、より効果的です。

あまりに硬い食べ物はできるだけ避ける

インプラント手術直後は、柔らかい食事を心がける必要がありますが、インプラントが定着した後は、基本的に食事制限はありません。

ただし、あまりに硬い食べ物はインプラントだけでなく天然歯にも負担が大きいため、できるだけ避けることをおすすめします。

また、粘着性の高い食べ物(キャラメルやガムなど)は、インプラントと歯茎の間に入り込みやすいので、食べた後は特に丁寧に歯磨きをしましょう。

禁煙する

喫煙は歯茎の血行を悪くし、インプラント周りの組織を弱らせます。

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、歯茎の抵抗力を下げ、細菌に感染しやすい状態を作るのです。

喫煙習慣から抜け出すことが難しい方はできるだけ禁煙を心がけ、少しずつ本数を減らしましょう。

1日1箱吸っている人が喫煙数を半分に減らすだけでも、インプラントへの悪影響は軽減されます。

歯ぎしりの軽減

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに大きな負担をかけます。

寝ている間の歯ぎしりは自分では気づきにくいですが、朝起きたときに顎が疲れていたり、歯が痛かったりする場合は、歯ぎしりをしている可能性があります。

歯ぎしりがある場合は、歯科医師に相談し、必要に応じて歯を保護するマウスピースを作製してもらいましょう。

インプラントのメンテナンスについてよくある質問

Q&A

インプラントのメンテナンスについてよくある質問をまとめました。

Q1:メンテナンスをしないとインプラントはどうなりますか?

メンテナンスを怠ると、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。

たとえば、インプラント周囲炎です。インプラント周りの歯茎が腫れたり、出血したりします。

進行すると骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントがグラグラになって抜け落ちることもあります。

また、インプラントを固定しているネジが緩んだり、人工歯が欠けたりすることもあります。

噛み合わせも悪くなり、他の歯にも悪影響を与えかねないため、しっかりメンテナンスを受けましょう。

Q2:他院で入れたインプラントでもメンテナンスしてもらえますか?

はい、多くの歯科医院で可能です。

ただし、使用されているインプラントメーカーによっては対応できない場合があるため、事前に確認が必要です。

メンテナンスを受ける際は、インプラントのメーカー名と型番、可能であれば治療記録を持参しましょう。

元の歯科医院での保証が無効になる可能性があるため、保証条件も確認しておくことをおすすめします。

まとめ

インプラント治療後のメンテナンスは、インプラントの寿命を大きく左右する重要な要素です。

適切なケアを続ければ10年以上、場合によっては20年以上使い続けることができますが、メンテナンスを怠ると数年でダメになることもあります。

3~6ヶ月に1度、歯科医院で専門的なメンテナンスを受け、日々のセルフケアも欠かさないようにしましょう。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、インプラント専門医が定期的なクリーニングや噛み合わせチェックなど、きめ細かなメンテナンスを行っています。

他院で治療を受けた方のメンテナンスも承っているため、インプラントのケアで悩んでいる方は気軽にご相談ください。