
「マウスピース矯正って、結構長い時間つけていないといけないらしい」
「仕事で忙しいけど、ちゃんと続けられるかな…」
そんな不安を抱えていませんか?
マウスピース矯正は取り外しができる便利な矯正方法ですが、その分、自分で装着時間を管理する必要があります。
しかし実際のところ、どのくらいの時間装着すればいいのか、守れないとどうなるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、マウスピース矯正の装着時間や守れなかった場合のリスク、続けるための工夫まで詳しく解説します。
マウスピース矯正の装着時間はどのくらい必要?

マウスピース矯正を成功させるには、装着時間を守ることが大切です。
では、実際にどのくらいの時間装着する必要があるのでしょうか。
ここでは、推奨される装着時間とその理由について見ていきましょう。
基本は1日20〜22時間の装着が必要
マウスピース矯正は1日20〜22時間の装着が必要です。
食事と歯磨きの時間以外、ほぼ一日中装着することになります。
マウスピースを外すタイミングと時間の目安は以下のとおりです。
- 朝食と歯磨き:30〜40分
- 昼食と歯磨き:30〜40分
- 夕食と歯磨き:40〜60分
- 間食や飲み物:20〜30分
上記でマウスピースを外すのが2~3時間となり、装着時間を守れることになります。
長時間の装着が必要な理由は?
歯を矯正するためには、持続的に力を加え続ける必要があります。
マウスピースを装着している間だけ歯に力がかかるため、装着時間が短いと十分な矯正力が得られないのです。
仮に1日10時間しか装着しなかった場合、残りの14時間は歯に何の力もかかっていない状態となります。
歯を動かす時間よりも後戻りする時間の方が長くなるため、治療効果が期待できなくなってしまうのです。
夜だけの装着では効果は期待できない
マウスピース矯正は、夜だけの装着では矯正効果は期待できません。
仮に8時間睡眠を取る方が夜間のみマウスピースを装着した場合、1日の装着時間は8時間となります。
推奨される20〜22時間の半分以下の装着で、歯が元に戻ろうとする時間の方が長くなるためほとんど効果はないと言えるでしょう。
マウスピースの装着時間を守らないとどうなる?

マウスピースの装着時間を守らなかったら、次のような問題が発生します。
治療期間が長引く
装着時間を守らなれば、想定していた治療期間が延びてしまいます。
例えば、本来1年半で終了する予定の治療が、装着時間不足により2年以上かかってしまうケースも珍しくありません。
治療期間が延びると、マウスピースの交換回数や通院回数の増加などで、追加の費用がかかる可能性もあります。
せっかく始めた矯正治療を計画通りに進めるためにも、装着時間を守ることは大切です。
歯が後戻りする
装着時間が不足すると、歯が元の位置に戻ろうとする『後戻り』が起こります。
特に矯正を始めたばかりの時期は、歯がまだ新しい位置に定着していないため、後戻りしやすい状態です。
後戻りが起きると、せっかく動いた歯を再び動かす必要があり、場合によっては、治療計画を最初から見直す必要が出てきます。
マウスピースが合わなくなる
計画通りに歯が動いていない状態で次のステップのマウスピースに交換すると、マウスピースが歯にうまくはまらないことがあります。
マウスピース矯正では1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。
しかし、装着時間が不足していると、歯が予定の位置まで動いていないため、次のマウスピースとの間にズレが生じてしまうのです。
無理に装着しようとすると、痛みを感じたり、マウスピースが破損したりする可能性もあります。
噛み合わせが悪化する可能性
装着時間が足りないと、歯によって動きやすさが異なるため、前歯などの動きやすい歯だけが先行して移動し、奥歯などの動きにくい歯は元の位置にとどまってしまいます。
本来、マウスピース矯正は全ての歯を同期させて動かすことで噛み合わせを保ちながら歯並びを整えていきます。
しかし、一部の歯だけが中途半端に動いてしまうと、上下の歯が正しく噛み合わず、特定の歯だけに過度な力がかかるようになるのです。
噛み合わせが乱れると食事の際に違和感を感じるだけでなく、顎が無理な位置で噛もうとするため顎関節の負担も大きくなります。
歯茎が下がる・歯根が露出する
装着時間が不足している状態で無理に次のマウスピースを装着すると、歯に過度な力がかかってしまいます。
このような状態が続くと、歯茎が下がり、歯根(歯の根っこ)が露出してしまうリスクがあります。
歯茎が下がると見た目の問題だけでなく、知覚過敏の原因にもなります。
冷たいものや熱いものがしみるようになり、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
一度下がった歯茎を元に戻すのは難しいため、予防が大切です。
どうしてもマウスピースの装着時間を守れない時の対処法

何らかの事情により、どうしても装着時間を確保できない日もあるかもしれません。
そんな時はどう対処すればよいのでしょうか。
ここでは、装着時間が不足した場合の具体的な対処法をご紹介します。
1日つけ忘れた程度なら影響は少ない
うっかり1日つけ忘れてしまった場合でも、過度に心配する必要はありません。
マウスピース矯正を1ヵ月続けた場合0.5~1.0mm動くため、1日で歯が動く距離は0.01〜0.03mm程度とわずかです。
そのため、翌日からしっかりと装着時間を守れば、大きな影響は出にくいと言えるでしょう。
ただし、つけ忘れが頻繁に起こると影響は大きくなります。
週に何度もつけ忘れがある場合は、治療計画に影響が出る可能性が高くなるため、もう一度、装着時間の管理を見直す必要があります。
担当の歯科医師に早めに相談する
もし、装着時間を守れない日が続いた場合は、早めに担当医師に相談しましょう。
現在の歯の状態を確認し、今後の対応を検討してもらうことが大切です。
相談する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。
- いつから装着時間が不足しているか
- 1日の平均装着時間はどのくらいか
- 装着できない理由(仕事、体調不良など)
- 今後装着時間を確保できそうか
早めに相談することで、大きな問題になる前に対処できる可能性が高まります。
マウスピースの交換時期を延ばす
装着時間が不足している場合、歯科医師の判断でマウスピースの交換時期を延ばすことがあります。
例えば、1週間程度で交換するところを10日〜2週間に延長することで、歯の動きの遅れを取り戻すことができます。
ただし、歯科医師の指示のもとで行う必要があります。
自己判断で交換時期を変更すると、かえって治療に悪影響を与える可能性があるため注意しましょう。
最低でも20時間は確保する
どうしても22時間の装着が難しい場合でも、最低20時間は確保するよう努めましょう。
20時間よりも装着時間が短くなると矯正効果が低下し、計画通りの結果が得られなくなる可能性が高くなります。
20時間を確保するためには、食事時間の効率化が重要です。
ダラダラと時間をかけて食事をするのではなく、決められた時間内で食事を終えるよう心がけましょう。
1つ前のマウスピースを装着する
現在のマウスピースがきつく感じたり、うまくはまらなかったりする場合は、1つ前のマウスピースに戻すことも選択肢です。
歯への負担を減らしながら、徐々に本来の治療計画に戻していくことができます。
ただし、これも歯科医師に相談してから行うべきです。
自己判断で前のマウスピースに戻すと、治療の進行がさらに遅れる可能性があります。
他の矯正方法も検討する
マウスピース矯正での自己管理がどうしても難しい場合は、他の矯正方法を検討することも一つの選択肢です。
ワイヤー矯正であれば、取り外しができないため、装着時間を気にする必要がありません。
矯正方法を変えるのは大きな決断となりますが、確実に治療を進めたい場合は検討する価値があります。
担当医とよく相談し、自分に合っている治療方法を選びましょう。
マウスピース矯正の装着時間を守るための工夫

装着時間を守ることの重要性は分かっていても、実践するのは簡単ではありません。
ここでは、無理なく装着時間を確保するための工夫をご紹介します。
食事と歯磨き以外は必ず装着する習慣をつける
装着時間を守る基本的な方法は、「食事と歯磨き以外は必ず装着する」というシンプルなルールを徹底することです。
このルールを守れば、自然と20時間以上の装着時間を確保できます。
習慣化のポイントは以下のとおりです。
- 朝起きたらすぐに装着する
- 食後の歯磨きが終わったらすぐに装着する
- 就寝前に装着を確認する
- 外出前に装着を確認する
最初は意識的に行う必要がありますが、2〜3週間続けると自然と習慣になってくるでしょう。
スマホのリマインダーやアラームを活用する
スマートフォンのリマインダー機能やアラームを活用することで、装着忘れを防ぐことができます。
食事の時間に合わせてアラームを設定し『マウスピースを装着する』というリマインダーを表示させましょう。
また、マウスピース矯正専用のアプリも存在します。
装着時間の記録や交換時期の管理ができるため、活用してみるのもよいでしょう。
外出時の準備を整える
外出時にマウスピースの管理で困らないよう、事前の準備が大切です。
外出先でも歯磨きができるよう、携帯用の歯ブラシセットを準備しておきましょう。
歯磨きが難しい場合は、マウスウォッシュで口をゆすぐだけでも、ある程度の清潔さを保つことができます。
マウスピースを外した際に安全に保管できるよう、専用ケースも必須です。
ティッシュに包んで保管すると、誤って捨ててしまうリスクがあるため避けましょう。
食事時間を効率化する
装着時間を確保するためには、食事時間の効率化が重要です。
食事の準備中はマウスピースを装着したままにし、実際に食べ始める直前に外すようにします。
そして、テレビやスマホを見ながらの『ながら食べ』は避け、食事に集中しましょう。
痛みがある時は鎮痛剤を活用する
マウスピース装着時の痛みが原因で装着時間が不足する場合は、市販の鎮痛剤を活用することも一つの方法です。
ただし、痛みが強い場合や長期間続く場合は、歯科医師に相談することが大切です。
痛みを和らげる他の方法として、以下も試してみましょう。
- 装着前に温かい飲み物で口をゆすぐ
- 新しいマウスピースは就寝前に装着する
- 痛みが強い部分を冷やす
チューイーを使って正しく装着する
チューイーとは、マウスピースを歯にしっかりとフィットさせるための補助器具です。
シリコン製の小さな棒状のもので、チューイーを噛むことでマウスピースが歯に密着します。
チューイーの使い方は以下のとおりです。
- マウスピース装着後、前歯から奥歯まで順番に噛む
- 1箇所につき5〜10回程度噛む
- 1日に数回、特に新しいマウスピースに交換した際は念入りに行う
マウスピース矯正の装着時間に関するよくある質問

マウスピース矯正の装着時間に関するよくある質問をまとめました。
Q1:仕事で長時間の会食がある場合はどうすればよいですか?
ビジネスでの会食など、どうしても長時間マウスピースを外さなければならない場合があるでしょう。
このような場合は、会食の前後でしっかりと装着時間を確保しましょう。
朝から会食の直前まで、そして会食後から就寝まで、確実に装着することで、外している時間の影響を少しでも抑えることが可能です。
Q2:インビザラインとその他のマウスピース矯正で装着時間に違いはありますか?
基本的に、どのマウスピース矯正システムでも推奨される装着時間は1日20〜22時間です。
インビザライン、クリアコレクト、キレイライン矯正など、ブランドによって多少の違いはありますが、長時間の装着が必要な点は共通しています。
まとめ
マウスピース矯正は1日20〜22時間の装着が必要で、食事と歯磨きの時間以外はほぼ一日中装着することになります。
歯を動かすためには持続的な力が必要なため、夜だけの装着では効果は期待できません。
装着時間を守らないと、治療期間の延長、歯の後戻り、マウスピースが合わなくなる、噛み合わせの悪化、歯茎が下がるリスクなど、さまざまな問題が発生します。
特に一部の歯だけが動いてしまうと、噛み合わせが乱れ顎関節症のリスクも高まるでしょう。
装着時間を守れない場合は、早めに歯科医師に相談し、マウスピースの交換時期を延ばすなどの対処が必要です。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷には、マウスピースの1種であるインビザラインの認定医が在籍しています。
個室でのカウンセリングで丁寧なヒアリング・ご説明を行っておりますので、装着時間に関する不安や疑問も遠慮なくご相談ください。