スポーツマウスガードの効果とは?歯を守るだけじゃない6つのメリットを紹介

スポーツマウスガード

スポーツでのケガをあまり気にせずに楽しむために欠かせないスポーツマウスガード(スポーツ用のマウスピース)。

格闘技やラグビーの選手が使っているイメージが強いかもしれませんが、実際は多くのスポーツで歯や体を守る役割を果たしています。

この記事では、スポーツマウスガードの効果について解説していきます。

市販品と歯科医院で作るものの違いや、正しい使い方までご紹介するのでぜひ参考にしてください。

スポーツマウスガードの6つの効果

歯と人の模型

スポーツマウスガードには、さまざまな効果やメリットがあります。ここでは、主な6つの効果について解説します。

1. 歯の折れや脱臼を防ぐ

スポーツ中、ボールが顔に当たったり、相手選手と接触したりすることで、前歯に強い衝撃が加わることがあります。

特に前歯は位置的に衝撃を受けやすく、折れたり抜けたりするリスクが高い部分です。

スポーツマウスガードを装着することで、歯全体を柔らかい素材で覆い、外からの衝撃を吸収・分散させます。

また、スポーツに集中していると無意識に強く歯を食いしばりがちで、力を入れる瞬間や、踏ん張るときには相当な力で噛みしめています。

強い噛みしめが続くと、奥歯がすり減ったり、欠けたりすることがあります。

そんなときスポーツマウスガードはクッションの役割を果たし、上下の歯が直接ぶつかることを防ぎ、奥歯への負担を大幅に軽減できるわけです。

2. 顎への衝撃を和らげる

スポーツ中に衝撃が顎に加わると、顎関節に大きなダメージを与える可能性があります。

特に格闘技やラグビーなど、顎に直接衝撃を受ける可能性があるスポーツでは、顎の骨折リスクが高まります。

しかし、マウスガードを装着することで、衝撃が顎全体に分散され、顎関節への負担軽減が可能です。

3. 口の中の粘膜や舌を傷から守る

歯は硬くて鋭い部分があるため、口の中に衝撃が加わると、唇や頬の内側、舌を切ってしまうことがあります。

特に前歯の先端や奥歯の突起は、口の中の柔らかい組織を傷つけやすい部分です。

スポーツマウスガードで歯を覆えば、鋭い部分が直接粘膜に触れることを防ぎ、口の中のケガを予防できます。

4. 脳震盪のリスクを抑える

頭部への衝撃が加わると、脳が頭蓋骨の中で揺れ、脳震盪を起こすことがあります。

スポーツマウスガードを装着して噛みしめることで、首周りの筋肉が緊張し、頭部が安定します。

その結果、衝撃を受けたときに頭の揺れが軽減され、脳への振動を和らげることができるのです。

また、顎から頭部へ伝わる衝撃もクッション効果により軽減されます。

ただし、脳震盪の予防効果については、まだ研究が続いている分野です。

脳震盪を完全に防げるわけではありませんが、スポーツマウスガードを装着することで頭部への衝撃が緩和されることは確認されています。

5. 相手や味方選手への怪我を防ぐ

スポーツ中の接触で、自分の歯が相手や味方選手を傷つけてしまうことがあります。

例えば、バスケットボールでジャンプした後の着地時や、サッカーでヘディングの競り合いをしているときなど、予期せぬ接触が起こることがあるでしょう。

マウスガードで歯を覆っておけば、万が一他の選手と接触しても、歯による怪我を防ぐことができます。

6. 高額な治療費がかかるのを抑える

歯の治療費は決して安くありません。

前歯が折れた場合、治療に数万円から数十万円かかることもあります。

さらに、一度治療した歯は元の健康な歯より弱くなるため、また再治療が必要になることも少なくありません。

マウスガードの費用と比較すると、予防にかかる費用のほうがはるかに経済的です。

長くスポーツを続けることを考えれば、マウスガードへの投資は良い選択といえるでしょう。

スポーツマウスガードは2種類!市販品とカスタムメイドの違い

悩む歯科医師

スポーツマウスガードには大きく分けて2種類あり、それぞれに特徴があります。

市販品のスポーツマウスガード

市販のマウスガードの多くはボイル&バイトと呼ばれるタイプです。

熱湯に浸して柔らかくした後、口の中に入れて噛むことで、ある程度自分の歯の形に合わせることができます。

市販品の大きなメリットは、手軽さと価格の安さです。

スポーツ用品店やインターネットで簡単に購入でき、すぐに使い始められます。

価格も1,000円から5,000円程度と手頃なため、マウスガードを試してみたい方にとってはよい選択肢でしょう。

しかし、市販品は完全に歯にフィットさせることは難しく、プレー中に外れやすいという問題があります。

保護効果も限定的で、激しいコンタクトスポーツには不向きです。

カスタムメイドのスポーツマウスガード

カスタムメイドのスポーツマウスガードは歯科医院で作製するものです。

歯型を取り、一人ひとりの口の形に合わせて作ります。

歯科医師が噛み合わせもチェックし、適切な調整を行うため装着感が高いです。

また、歯にぴったりと合うためプレー中に外れにくく、適切な厚みと素材で作られるため、市販品と比べて保護効果も高いです。

スポーツマウスガードは保険が適用されないため、10,000円から50,000円程度かかりますが、丁寧に使えば長持ちするため、コストパフォーマンスは高いといえます。

スポーツマウスガードが必要なスポーツは?

ボクシング

スポーツマウスガードは、すべてのスポーツで必要というわけではありません。

競技によって装着が義務のものと、推奨されているものがあります。

装着が義務のスポーツは以下のとおりです。

  • ボクシング、キックボクシング(赤色は使用不可の場合が多い)
  • アメリカンフットボール(白・透明は使用不可)
  • アイスホッケー(白・肌色・透明は使用不可)
  • 女子ラクロス
  • 中学・高校のラグビー
  • 一部の空手団体

装着が推奨されているスポーツは以下のとおりです。

  • バスケットボール(透明のみ使用可)
  • 野球(高校野球は白・透明のみ)
  • サッカー
  • テニス
  • バレーボール、ハンドボール、ソフトボールなどの球技

歯科医院でマウスガードを作る流れ

歯科医師

歯科医院でカスタムメイドのマウスガードを作る場合、どのような手順で進めるのでしょうか。

歯科医院でマウスガードを作る流れについて見ていきましょう。

1.口内の健康チェック

最初に、歯科医師が口内を詳しく調べます。

その際、虫歯や歯周病があると、正確な型取りができないことがあります。

治療が必要な場合は、治療を優先することがありますが、軽度の場合は型取りを同時に行うこともあるでしょう。

次に、競技の特性に応じて、最適な厚みや素材を選ぶために、どのようなスポーツで使用するのか、週に何回程度使うのかなどを聞き取ります。

2.歯型取りと製作

専用の材料を使って、上下の歯の型を取ります。

フィット感の良いマウスガードを作るために重要なステップです。

格闘技なら厚めで衝撃吸収性の高い素材、球技なら薄めで違和感の少ない素材など、用途に応じて最適なものを選んで制作期間に入ります。

3.フィッティングと微調整

完成したマウスガードを実際に装着し、噛み合わせが適切かどうかを確認します。

上下の歯が均等に当たっているか、顎に無理な力がかかっていないか、装着感、発音のしやすさ、呼吸のしやすさなどをきちんと確かめましょう。

違和感がある場合は、その場で細かい調整を行います。

4.定期的なメンテナンス

マウスガードは消耗品です。

使用頻度や競技の激しさにもよりますが、半年から1年ごとに歯科医院でチェックを受けましょう。

ひび割れや変形がないか、噛み合わせが変わっていないかなどを確認し、必要に応じて調整や作り直しを行います。

特に成長期の子どもの場合は、顎の成長に合わせて頻繁なチェックが必要です。

スポーツマウスガード使用時の5つの注意

注意

スポーツマウスガードを使用する際には、次の点に注意しましょう。

糖分を含む水分は極力外しているときに飲む

スポーツ中によく飲むスポーツドリンクには、糖分が多く含まれています。

マウスガードを装着したまま飲むと、糖分が歯の周りに残りやすくなり、虫歯の原因となります。

水分補給は水で行うか、スポーツドリンクを飲んだ後は必ずうがいをしましょう。

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使用後は必ず洗浄する

使用後は、必ず水で洗い流し、柔らかいブラシを使って優しく汚れを落としましょう。

強くこすると傷がつき、そこに細菌が繁殖しやすくなるので注意が必要です。

専用の洗浄スプレーや、入れ歯用の洗浄剤を使うとより清潔に保てます。

熱を加えないようにする

マウスガードの素材は熱に弱いため、熱湯で洗ったり、ドライヤーで乾かしたりすると変形してしまいます。

水かぬるま湯で洗い、自然乾燥させましょう。

夏の車内や直射日光の当たる場所に放置すると、高温で変形する恐れがあるため、涼しい場所で保管することが大切です。

専用ケースで保管する

マウスガードをそのままポケットやバッグに入れると、圧力で変形したり、汚れたりする原因になります。

必ず専用のケースに入れて保管しましょう。

定期的に交換する

使用頻度にもよりますが、一般的に半年から1年程度で交換が必要です。

競技の激しさや使用頻度が高い場合は、もっと早い交換が必要になることもあります。

定期的にマウスガードの状態を確認し、ひび割れや変形がないかチェックしましょう。

少しでも異常があれば、早めに交換することが大切です。

スポーツマウスガードの値段

お札と電卓

市販品は1,000円〜5,000円、歯科医院のカスタムメイドは自由診療となり10,000円〜50,000円が相場です。

スポーツ用品店やインターネットで購入できる市販品は、比較的安価です。

初めてマウスガードを試してみたい方や、予算を抑えたい方には良い選択肢でしょう。

歯科医院で作るカスタムメイドは高額ですが、市販品よりも長持ちし、保護効果も高いため、長期的に見ればコストパフォーマンスは良いといえます。

スポーツマウスガードについてよくある質問

Q&A

スポーツマウスガードについてよくある質問をまとめました。

Q1:矯正中でもスポーツマウスガードを装着しても大丈夫ですか?

矯正治療中の方も、スポーツマウスガードを使用できます。

ただし、矯正装置に合わせた特別な設計が必要になります。

市販品では対応が難しいため、必ず歯科医院で相談し、矯正装置を考慮したカスタムメイドのマウスガードを作ってもらいましょう。

矯正治療の進行に合わせて、定期的な調整や作り直しが必要になることもあります。

Q2:子ども用のスポーツマウスガードはありますか?

もちろん、子ども用のマウスガードもあります。

成長期の子どもは顎の大きさや歯並びが変化するため、大人よりも頻繁に作り直しが必要です。

半年ごとにチェックし、合わなくなったら新しいものを作ることをおすすめします。

永久歯が生えそろっていない時期でも、スポーツをする際はマウスガードで歯を守ることが大切です。

Q3:スポーツマウスガードをつけたまま水分補給できますか?

水であれば、マウスガードをつけたまま飲んでも問題ありません。

ただし、スポーツドリンクやジュースなど糖分を含む飲み物は、虫歯のリスクを高めるため避けたほうが良いでしょう。

どうしてもスポーツドリンクを飲む必要がある場合は、飲んだ後にマウスガードを外してうがいをすることをおすすめします。

まとめ

スポーツマウスガードには、歯の折れや脱臼を防ぐ、顎への衝撃を和らげる、口の中の粘膜や舌を傷から守る、脳震盪のリスクを抑える、相手選手への怪我を防ぐ、高額な治療費を抑えるという6つの効果が期待できます。

スポーツマウスガードを使用する時は糖分を含む飲み物を避け、使用後は必ず洗浄し、熱を加えないよう注意が必要です。

使用するスポーツによって異なりますが、基本的に半年から1年程度では交換し、定期的にメンテナンスを受けましょう。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷には、日本口腔外科学会専門医が在籍し、競技の特性に合わせたマウスガードを提供することが可能です。

大切な歯を守るために、歯科医院の質の高いマウスガード作製を検討してみてはいかがでしょうか。