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副院長の大原庸子です。
アポロニア21と言う歯科雑誌に診療日記と題して記事を連載しています。
患者さんとの思い出や、学んだことを書き綴っています。
よかったら読んでください。
第5話 『今生の別れ』
突然の がんの襲来 桜の花と散る
いたたまれぬ 涙流して 今日を燃ゆ
今生の別れに 「ありがとう」
黄泉の国 来世で家族と出会う 休憩所
歯みがき 屍であろうと 美しく
愛しき娘 私はここにいる 大丈夫
〜がんと闘う患者さんの思い出〜
もう10年になるでしょうか? 今も忘れることのできない患者さんがいます。
その人は今、黄泉の国で休んでいます。素敵なお母さんでした。
彼女との出会いは歯の定期検診。優しい笑顔を見せる穏やかな人でした。
いつも末の娘さんと定期検診に訪れていました。
ある日のこと、優しい笑顔がなくなっていたので、どうしたのかな?と思い、声をかけてみました。
「今日は元気がありませんね。どうされましたか? 子どもがいると心配事が山ほど
出てきますよね。お疲れになりました?」
すると
「先生、気にしてくれてありがとう。大丈夫ですよ」
と微笑みました。しばらくたって、定期検診の日が来ました。その時彼女は頭に帽子を
かぶっていました。
そして「先生、実は……」。
がんの告知でした。それは衝撃の告白でした。そして、生きるためにがんと闘うことを
話してくれました。苦しかったでしょうに……。
私はただ黙ってうなずきながら話を聞きました。
そして「歯の掃除で、私も一緒にあなたのがんと闘います」と答えました。
彼女はキョトンとしていました。
「驚きました? 口腔内をきれいにすることは、体の健康を後押しするんです。
抗がん剤は、がん細胞のまわりの正常な細胞も攻撃してしまいます。そのため、
強い抗がん剤治療が始まると、口内炎が出来たり、味が分からなくなる味覚障害になったり、
さまざまな口のトラブルが起きやすくなります。
だから私は、あなたのお口をきれいに掃除し、少しでもがんとの闘いに負けない体をつくる
お手伝いをするのです」。
彼女は微笑みました。その後、良くなったり悪くなったりを繰り返していましたが、
とうとうその時が来てしまいました。最後の日の彼女の言葉は、今でも忘れません。
「今日でお別れです。がんとの闘いは正直不安でしたが、先生の言葉で今日まで闘うことが
できました。もう二度とお会いすることはできませんが、娘の検診をお願いします。
私はもうじき旅立ちます。先生、ありがとう」。
潔い言葉でした。その言葉の傍らで、彼女に甘える末のお嬢さんの頭を撫でている
光景が忘れられません。
私は
「こちらこそありがとうございました。行ってらっしゃい。
でも私は、あなたをこの医院で待っています。だって心は自由だから」と答えました。
そして、彼女が去った後、隠れて涙を流しました。
〜心の架け橋〜
時折、末のお嬢さんが定期検診に訪れます。娘さんもお母さんとよく似ていて、
優しい笑顔を見せてくれます。
つい最近、知り合いの葬儀屋の社長さんから、「人は二度死ぬ。一度目は肉体の死。
二度目は生きている人が忘れること。私たち葬儀屋の役目は、死者とこの世に残された者
との心の架け橋なんですよ」と聞きました。
私が彼女を忘れない限り、彼女は生きています。診療を通して出会った人、
これから出会う人、私が忘れなければいろいろな心の架け橋ができます。
医療の現場の魅力を、また一つ見つけました。
下高井戸・桜上水の歯科・歯医者|パール歯科クリニック
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