入れ歯の治療にどれくらいの値段が必要かご存知ですか?
治療を受ける際の値段を理解するうえで欠かせないのが、保険適用か自費治療かという点が挙げられます。
入れ歯治療においても例外ではなく、保険か自費かで値段は大きく異なります。
この記事では、入れ歯治療の値段について、保険適用のケースと自費治療のケースに分けて詳しく解説します。
値段は保険適用か自費診療かで大きく変わる
歯科治療では、一般的に治療の内容によって、保険適用となるケースと自費診療となるケースとに分けられています。
入れ歯であっても例外ではなく、用いる材料や種類によって、保険適用される場合と自費診療となる場合があります。
保険適用であるか自費診療であるかは、治療における顕著な価格差が生じる要因となります。
自費診療による入れ歯の値段は、治療内容によっては保険適用の入れ歯の10倍以上となることもあります。
入れ歯は長く使い続けていくものであるため、保険と自費のそれぞれのメリットとデメリットを納得したうえで、治療方針を決定することが重要です。
保険適用時の入れ歯の費用相場
保険適用時の入れ歯の相場は、5,000~15,000円です。ここでは、保険適用の入れ歯に使われる素材やメリット・デメリットについて解説します。
保険適用の入れ歯に使われる素材
保険適用の入れ歯は、主にアクリルレジンと呼ばれるプラスチックの一種が素材として用いられます。
入れ歯は、すべての歯を失った場合に用いられる総入れ歯と、一部の歯を失った場合に用いられる部分入れ歯があります。
入れ歯の構成は、歯肉に触れる土台部分と本来の歯の代わりとなる人工歯部分から形成されています。
部分入れ歯の場合には、入れ歯を固定するためのクラスプと呼ばれる金属器具も用いられます。
保険適用の総入れ歯では、すべてがアクリルレジンで作られ、部分入れ歯はアクリルレジンに加え、クラスプ部分は保険適用が認められる金属製です。
保険適用の入れ歯を作るメリット
入れ歯を保険適用で作る大きなメリットは、料金を大幅に抑えられる点です。
自費診療と比較して、患者負担が10分の1、それ以上に抑えられることもあり、コストの面で大きく優れています。
入れ歯は、継続的に使っていくことで摩耗や変形、破損といったトラブルが起こることがあります。
そのような場合、装着時の違和感を覚えたり、食事の際に満足に食べ物をかみ砕けなくなったりするため、再度、入れ歯を作る必要があります。
保険適用の入れ歯であれば、再製作の際の経済的な負担を少なく済ませられます。
また、治療期間も保険適用の入れ歯では短く済むケースが多く、時間的な負担を軽減できるのも大きなメリットです。
保険適用の入れ歯を作るデメリット
保険適用の入れ歯は、自費診療で利用可能な素材と比べて耐久性に劣る点がデメリットです。アクリルレジンは、入れ歯で使用可能な素材の中でも強度は比較的弱いものに分類されます。
そのため、アクリルレジンで作られた入れ歯は使用を続けることで、人工歯部分は摩耗しやすく、義歯床部分は変形を起こしやすいです。
また、レジンの強度の低さ故に床部分が厚く作られるため、装着時の違和感を覚えやすく、食べ物の温度が伝わりにくいといった問題も指摘されています。
自費診療時の入れ歯の費用相場
自費診療で入れ歯治療を行う場合の費用相場は、15~50万円です。治療ケースによっては、料金が100万円を超えることもあります。
保険適用の入れ歯と比べた際に価格差が生じる理由は、入れ歯に使用される素材、製造技術、治療計画などが影響しています。
ここでは、自費診療の入れ歯治療の値段相場についてさらに詳しく解説します。
金属床(クラスプデンチャー)
歯肉と触れる入れ歯の土台部分が、金属で作られているのがクラスプデンチャーです。
アクリルレジンの場合と比較して厚みが軽減され、装着感の向上が期待できます。また、食事の際の食べ物の温度を感じやすい点も特徴です。
金属床の入れ歯の料金相場は25~35万円となっています。残っている歯の本数や、床部分に用いる金属素材の種類によって値段の変動が生じます。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- 床部分の厚みがなく会話がしやすい
- 食べ物を噛みやすい
- 食べ物の温度を感じやすい
▼デメリット
- 金属性のため修理が必要となった場合には時間を要する
- 金属の種類によっては重さで外れることがある
- 部分入れ歯の場合にはクラスプが目立つことがある
- 金属アレルギーの人には適用できない
ノンクラスプデンチャー
部分入れ歯のクラスプ部分を取り除き、装着を可能としたものがノンクラスプデンチャーです。
ノンクラスプデンチャーは、入れ歯を装着していることが分かりにくい自然な見た目が特徴で、審美性が高い入れ歯だといえます。
ノンクラスプデンチャーの料金相場は、代替する歯の本数によって変動します。
1~5本の歯に対応する場合、相場は15万円以内で変動します。6本以上となると、15~40万円くらいが相場となります。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- 入れ歯を装着していることが気付かれにくい
- クラスプを取り除くことで残存歯への負担を軽減できる
- 装着感に優れ違和感が小さく外れにくい
▼デメリット
- 平均2年~5年周期で修理(入れ歯の作り直し)が必要
- 破損した場合は修理ではなく再製作が必要
シリコン製入れ歯
歯肉に触れる土台部分に、柔らかいシリコン素材を用いたものがシリコン製入れ歯です。シリコンを用いることで装着感が向上し、フィット性に優れる点が特徴です。
シリコン製入れ歯の料金相場は、10~50万円前後となります。代替する歯の本数によって変わるため、具体的な料金は担当の歯科医院に確認すると良いでしょう。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- シリコンの見た目が歯肉と遜色がないため審美性に優れる
- 土台部分のシリコンがクッション材となり装着時の痛みを感じにくい
- シリコンの密着性によって外れにくい
▼デメリット
- 丁寧な入れ歯の手入れが必要
- 料金相場が高い
- 経年劣化によって3年ほどの周期で修理が必要
マグネット入れ歯
残存している歯の歯根部分に磁性金属を埋め込み、入れ歯に備えられたマグネットとの磁力を利用して装着するのがマグネット入れ歯です。
磁力も活用しているため、他の入れ歯と比較して安定感に優れている点が特徴です。
マグネット入れ歯の料金相場は、利用する入れ歯の代金に加えて、マグネット1個あたり3~5万円ほどとなります。他の入れ歯治療に加えて、マグネット入れ歯治療分が加算されます。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- クラスプがないことによる審美性の高さ
- 磁力を活かした装着時の安定感
▼デメリット
- 残存歯が少ない場合には適用できない
- 磁石の埋め込みにあたり健全な歯にダメージを及ぼす可能性がある
- MRI検査といった特定のシーンでマグネットを外す必要がある
インプラントデンチャー
入れ歯を装着にあたり、インプラントを併用するのがインプラントデンチャーです。
インプラントが入れ歯を支える土台の役割を果たすため、装着感と安定感が格段に向上することが期待できます。
挿入するインプラントの本数は、残存歯の数によって異なります。
インプラントデンチャーの料金相場は、挿入するインプラントの本数によって50~150万円ほどの価格帯で変わるのが一般的です。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- 安定感に優れ話しやすい
- 食べ物を噛みやすい
- 残存歯が少ない場合にも適用可能
▼デメリット
- インプラントの本数によるが他の入れ歯治療より高額になりやすい
- インプラント挿入の外科的手術が必要
- 入れ歯に加えインプラントの手入れが必要
テレスコープ義歯
残存歯を削り上に金属を被せ、入れ歯を固定するための土台部分を形成するものがテレスコープ義歯といいます。安定性に優れている点が大きな特徴です。
テレスコープ義歯の料金相場は、入れ歯の値段と土台形成のための値段を合算して、100~120万円ほどとなっています。
メリットとデメリットは以下の通りです。
▼メリット
- 安定性に優れていて外れにくい
- 食べ物を噛みやすい
- 固定用のクラスプがないため審美性が優れている
- 修理が可能で長期に亘って使用できる
▼デメリット
- 土台形成にあたり健全な残存歯を削る必要がある
- 総入れ歯には対応していない
- 値段が高額になりやすい
まとめ
この記事では、入れ歯治療の値段について、保険適用のケースと自費治療のケースに分けて解説していきました。
自費治療の場合、値段は大きく膨らんでしまいますが、審美性や装着感、安定性など、さまざまな面で保険適用の入れ歯では実現できない役割を期待できます。
入れ歯選びに悩まれている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、レジン、コバルトクロム、チタンを用いた床義歯を提供しています。
当院には、患者様の症状別の悩みや、経済事情といった悩みに対しても満足してもらえる治療案内を数多く取り揃えています。
値段の面で入れ歯治療を踏み出しきれずにいる方は、この記事の内容を十分に理解するとともに、まずは手軽に当院へご相談ください。