
親知らずといえば大人になってから生えてきて、痛い、抜かないといけないといったイメージを持っている方も多いでしょう。
親知らずには生える前兆や生え始めの症状があり、どういった症状なのかを知っておくことで早期対応が可能です。
この記事では、そもそも親知らずとは何か、前兆・生え始めの症状や痛みを感じる理由などを解説します。
親知らずに関する症状を知りたい方、抜いた方がよいか迷っている方はぜひ最後までご覧ください。
親知らずとは?

そもそも親知らずとは智歯とも呼ばれており、永久歯のなかで最も奥に生える歯で、正式名称は「第三大臼歯」です。
永久歯は大体15歳前後ですべて生え揃うことが多いですが、親知らずは10代後半から20代前半に生え始めることが多いです。
「親に知られることなく生えてくる」ことから、親知らずという名前がついたともいわれています。
親知らずは上下左右の4本ありますが、人によっては生えてこなかったり2本だけ生えてきたりと個人差が大きいです。
一番最後に生えてくる永久歯であるため、十分なスペースが確保できていないことも多く、正しい向きで生えてこないこともあります。
3つの生え方
正しい向きで生えてこないことも多い親知らずですが、生え方は大きく3つに分けられます。
ここでは、3つの生え方の特徴について解説します。
真っすぐに生えている
親知らずも他の永久歯と同様に真っすぐ綺麗に生えてくることもあります。
噛み合わせに問題がなく、痛みや違和感などがなければ抜歯もしないことが多いです。
また、抜歯する場合も処置しやすく、大掛かりな手術になる可能性は低いです。
横・斜めに生えており一部歯茎から出ている
親知らずが横・斜めに生えており、一部歯茎から出ている状態は最もトラブルになりやすい生え方です。
親知らずが生える過程で隣接する永久歯を押してしまい痛みが生じやすく、中途半端に歯が出ているため、歯磨きしにくく汚れがたまりやすいです。
汚れが溜まることで、虫歯や歯周病などのリスクが高まります。
この生え方をした親知らずは、トラブルが起きる前に抜歯を検討するのがおすすめです。
歯茎に埋まっている
親知らずは存在しているものの、生えてくることなく完全に歯茎に埋まったままの場合もあります。
この場合、親知らずの存在はレントゲンでのみ確認できますが、特に痛みや違和感などがなければ放置されることが多いです。
隣接した永久歯に当たって痛みや違和感がある場合は、抜歯を検討することもあります。
親知らずが生える前兆の症状とは?

親知らずが生える前兆に現れる症状は以下のとおりです。
- 歯茎の表面が白っぽくなる
- 歯茎がむずむずする
- 歯茎が腫れているように膨らむ
- 歯ブラシや食べ物が当たると痛い
- 圧迫感や押さえつけられたように痛む など
親知らずが生える前兆の症状は個人差が大きい部分であり、自覚症状がないまま気が付くと生えてきていることもあります。
特に真っすぐと生えている場合は前兆症状が軽く、横・斜めに生えている場合は痛みやむずむず感が強いことがあります。
前兆症状が出た場合の対処法
もし、前兆症状が出た場合は適切な口腔ケアを行い、清潔を保つようにしましょう。
うがいを念入りに行い、食べかすをできるだけ残さないようにするのもおすすめです。
親知らずが生えてくる前兆症状があった場合は、歯科医院を受診して以下のチェックを行いましょう。
- 親知らずが生えている向き
- 感染症や炎症の有無
- 歯列への影響の有無
- 虫歯や歯周病などのリスク
- 抜歯の必要性
前兆症状が現れたタイミングで親知らずの状態をチェックしておくことで、虫歯や歯周病などのトラブルを抑えられます。
親知らずが生え始めた時の症状とは?

親知らずが生え始めると、前兆症状に加えてより痛みやむずむず感が強くなったり、出血したりすることがあります。
痛みが強くなるだけではなく、耳裏や首筋に痛みを感じる方もいます。
中途半端に生えている親知らずは、歯ブラシが届きにくく食べかすが溜まりやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高いです。
痛みがある場合はできるだけ早く歯科医院を受診
痛みがあったり、親知らずが横・斜めを向いていたりする場合はできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
特に痛みがある場合、放置しても痛みが治まる可能性が低く、どんどん悪化することもあります。
抜歯する場合は、まだ根っこが完成していない親知らずが生え始めたタイミングが比較的抜きやすいといわれています。
また、痛みやむずむずとした違和感があれば、気になるかもしれませんが指で触ると細菌感染の原因にもなるため、できるだけ避けましょう。
歯科医院に行くまでの対処法
歯科医院に行くまでに痛みが強くなってしまった場合の対処法は主に以下の4つです。
- 痛み止めを服用する
- 痛む部分を冷えピタや保冷剤で冷やす
- 殺菌効果のあるうがい薬を使用する
- 安静にして免疫力を高める など
痛み止めは歯科医院で処方されたものがよいですが、なければ市販の痛み止めでも構いません。
殺菌効果のあるうがい薬はアルコール成分が含まれていない、刺激のないものを選ぶようにしましょう。
親知らずが生えてきて痛みを感じる4つの理由

親知らずが生えてくると痛みを感じる方が多いです。
痛みを感じる理由は主に4つあるため、それぞれ詳しく解説します。
神経や周辺組織を圧迫している
親知らずは隣接している歯や歯茎を押しのけて生えてくるため、神経や周辺組織を圧迫して痛むことがあります。
歯茎を突き破って生えてくることも多く、出血を伴うことも多いです。
真っすぐ生えてきている場合は、徐々に痛みが引いてくることが多いですが、横や斜めに生えている場合は痛みが治まりにくいです。
虫歯・歯周病などが原因で歯茎が腫れている
虫歯や歯周病などが原因で歯茎が腫れている場合も痛みが生じます。
親知らずが中途半端に生えていたり、横や斜めに生えていたりすると隙間に食べかすが溜まりやすく、虫歯や歯周病になることも多いです。
虫歯や歯周病は放置すると周囲に広がるだけではなく、歯を失う原因にもなります。
できるだけ早く、歯科医院を受診しましょう。
食べかすの蓄積
食べかすが溜まると歯茎を圧迫し、痛みが生じることがあります。
それだけではなく、食べかすは先述したとおり虫歯や歯周病、細菌が繁殖することで炎症の原因になる可能性があります。
親知らずの生え方でどうしてもセルフケアでは磨き残しが出てしまう場合は、定期的に歯科検診を受診してケアしてもらうのがおすすめです。
歯茎を噛んでいる
親知らずが生えてくる過程で歯茎がめくれ上がり、噛んでしまうことで痛みが生じます。
歯茎を噛んでしまう場合、親知らずが横や斜めに生えていたり、隣接した歯が押されて歯並びが悪くなっていたりすることがあります。
歯並びが悪くならないように、早めに歯医者を受診して処置を受けるのがおすすめです。
親知らずは抜いた方がよい?

「親知らず=抜かなければいけない歯」ではありません。もちろん、抜いた方がよいケースもありますが、抜かなくてもよいケースもあります。
また、それぞれにメリット・デメリットがあるため、それぞれ解説していきます。
抜くケース
親知らずを抜くケースは以下のとおりです。
- 虫歯や歯周病になっている
- 腫れが何度も再発する
- 歯並びや噛み合わせに影響している
- 横や斜めに生えている
- 痛みが強い など
基本的に、放置することで状況が悪化する可能性が高い場合は、親知らずを抜くことが多いです。
それでは、親知らずを抜く場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
親知らずを抜くメリットは、腫れや痛み、虫歯、歯周病などのリスクを軽減できる点です。
特に横や斜めに生えている場合は、食べかすが溜まりやすく炎症が起きやすいです。
一度炎症が起きてしまうと、免疫力が低下した際に再発することが多いため、親知らずを抜いてしまうことでこういった心配はありません。
また、親知らずは磨き残しが起こりやすく、知らない間に口臭の原因になっていることもあります。
親知らずを抜いておくことで、日々のセルフケアもしやすく口臭ケアにもつながります。
デメリット
親知らずを抜くデメリットは、抜歯後の腫れや痛みがあり、場合によっては顎の骨を削るため身体に負担がかかってしまう点です。
顎の骨を削る際に内部の神経や血管を傷つけてしまうリスクもあります。
また、親知らずの生え方によっては歯茎を大きく切開する必要があり、感染症リスクも高くなります。
抜かないケース
親知らずを抜かないケースは以下のとおりです。
- 親知らずが真っすぐ生えてきている
- 歯並びや噛み合わせに影響がない
- 完全に埋まっている など
親知らずを放置しても特に問題がない場合は、身体への負担にもなるため抜かないことが多いです。
しかし、歯列矯正を希望する場合は親知らずを抜くこともあります。
メリット
親知らずを抜かないメリットは、今後歯を失った場合に移植できたり入れ歯の土台にできたりする点です。
歯を移植するためにはいくつかの条件がありますが、なんらかの理由で奥歯などを抜いた際に親知らずを移植できます。
また、移植ができない場合でも入れ歯の金具をかけたり、ブリッジの土台にできたりするため、義歯の安定性を保つ効果もあります。
デメリット
親知らずを抜かないデメリットは、虫歯になりやすい点や歯並びに影響が出てしまう可能性がある点です。
真っすぐに生えている場合でも、一番奥に生える親知らずは歯ブラシが届きにくく適切なケアが難しいことがあります。
また、顎が小さい方は、スペースがない状態で親知らずが無理矢理生えているため、歯並びが崩れるかもしれません。
定期的に歯科検診を受診して、口腔ケアをしてもらうだけではなく、歯並びのチェックをしてもらうようにしましょう。
親知らずを抜歯した後の過ごし方

親知らずの抜歯は身体に大きな負担がかかることが多いため、抜歯後の過ごし方には注意が必要です。
ここでは過ごし方・歯磨き・食事・定期的な歯科検診の4点について解説します。
過ごし方
基本的な抜歯後の過ごし方は「安静」です。
日常的な動作は特に制限する必要はありませんが、血行が促進されるような運動や温かい湯船に浸かるなどは避けるようにしましょう。
血行が促進されると抜歯箇所の痛みが出てしまい、治癒が遅れてしまう可能性があります。
また、安静にすることで体力や免疫力が高まるため、炎症や化膿のリスクも下げることができます。
歯磨き
適切な歯磨きで口腔内の清潔を保つことで、炎症や化膿、虫歯、歯周病などのリスクを下げられます。
しかし抜歯箇所は直接ブラッシングすると血餅(かさぶたのようなもの)を剥がしてしまう可能性があります。
柔らかいブラシで優しく磨くようにしましょう。
歯磨きだけでは取り除くのが難しい汚れもあるため、うがい薬を使用したうがいも併用するのがおすすめです。
ただし、うがいもやり過ぎると血餅を剥がす原因になるため、注意が必要です。
食事
抜歯後の食事は消化によいものを選び、刺激物や硬い食品は避けましょう。
栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に粘膜の保護や代謝、傷の回復を促進してくれるビタミン・亜鉛・たんぱく質を多く摂取するのがおすすめです。
水分を多く取ることもおすすめで、傷の乾燥を防げます。
定期的な歯科診療
抜歯後の症状は個人差が大きいため、定期的な歯科検診で腫れや傷の状態を小まめにチェックすることが大切です。
抜歯後は傷口を注意しすぎて十分な歯磨きができない方もいるため、全体的な虫歯や歯周病リスクが高くなります。
定期的に歯科検診を受けていれば、何か問題があった場合でも早期対処ができます。
まとめ
親知らずとは智歯とも呼ばれており、永久歯のなかで最も奥に生える歯で、10代後半から20代前半に生え始めることが多いです。
親知らずが生える前兆や生え始めに現れる症状には、歯茎がむずむずしたり圧迫感や押さえつけられたように痛んだりすることがあります。
親知らずは必ず抜かなければいけない歯ではなく、放置してもリスクがない場合は抜かない場合もあります。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、痛みを抑えた・歯を削ることの少ない・神経を残す治療を目指しています。
日本口腔外科専門医が在籍しているため、親知らずの抜歯で不安がある方、親知らずの抜歯を検討している場合は、ぜひ一度下高井戸パール歯科クリニック・世田谷にご相談ください。
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