虫歯の原因とは?放置するリスクや治療法を紹介

歯を指さして笑顔の女性

「虫歯の原因を知りたい」

「毎日歯磨きしているのに虫歯になって困っている」

虫歯の原因について知り、虫歯をできるだけ防ぎたいと思っている方は多いでしょう。

虫歯は毎日歯磨きをしても、虫歯になってしまう可能性もあります。虫歯にはさまざまな原因があるため、歯磨きだけで絶対に防止できるとは言えないのです。

虫歯の原因を知り、効果的な予防や治療を行うことが大切です。

このコラムでは、虫歯はなぜできるのか、その原因や原理、放置するリスク、虫歯の予防法などを詳しく紹介します。虫歯の原因を知って虫歯のない歯を目指したいと考えている方はぜひ最後までお読みください。

虫歯とは

虫歯が痛くて泣いている女性

虫歯は、正式にはう蝕(うしょく)と呼ばれる病気です。口内の細菌が作る酸によって歯が溶けて、歯に穴が開く状態を指します。

歯に穴が開く前の初期虫歯であれば、治療や日頃のケアで修復することが可能です。

しかし、進行すると痛みが出るだけでなく、歯の内部にある神経にまで影響が及びます。

神経にまで虫歯が達すると、激しい痛みをともない、歯が抜けてしまったり、最悪の場合は全身の不調にまで影響を及ぼしたりする可能性があります。

虫歯を放置するとどうなる?

ひび割れた歯のCGイラスト

虫歯の状態を放置しておいても、自然に治ることはありません。

虫歯を放置すると虫歯菌が酸を出し、歯がどんどん溶けてしまいます。進行すると歯内部にある神経に到達し、激しい痛みが生じるでしょう。

また、虫歯を放置すると虫歯菌が顎の骨に入り込み、骨髄炎を起こす可能性があります。

さらに、虫歯菌が全身に回ってしまうと、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす可能性もあり、注意が必要です。

虫歯の原因

虫歯菌のキャラクターと歯と歯ブラシ

虫歯は、口内の細菌が食べ物や飲み物を口にした際の糖分をエサにして作り出す酸によって引き起こされます。

虫歯ができる原因は、主に以下の4つが挙げられます。

  • 細菌
  • 糖質
  • 唾液の量
  • 虫歯菌の量

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

細菌

虫歯の原因の多くは細菌です。虫歯菌として広く知られている菌としては、ミュータンス菌とラクトパチルス菌が挙げられます。

ミュータンス菌は、食事や飲み物によって歯に残った食べかすをエサにして酸を作りだす菌です。この酸が歯のエナメル質を溶かすことによって虫歯が発生します。

ラクトバチルス菌は、食べ物や飲み物にも広く存在する菌です。虫歯に定着し、虫歯を進行させる働きがあります。

虫歯の穴や詰め物など、歯の隙間に生息しやすく、虫歯の穴を大きくしたり、詰め物と歯の間に虫歯を作ったりすることがある菌です。

虫歯の原因になる細菌は、このほかにもさまざまな種類があります。これらの細菌を歯磨きやフロスなどで減らすことで虫歯対策ができます。

糖質

食べ物や飲み物に含まれる糖質は、虫歯の原因になる酸を作る際に使われます。

甘いものを頻繁に食べる方や、間食が多い方は、糖質によって歯が酸にさらされる時間が多くなるため、虫歯になりやすくなるのです。

糖分が多い食べ物には、以下のような食事や飲み物が挙げられます。

  • チョコレート
  • ジュース
  • 炭酸飲料
  • スポーツドリンク
  • ポテトチップスなど

これらの食品や飲み物を頻繁に食べたり、食後の歯磨きを疎かにしたりすると、虫歯のリスクが高まります。

糖分は虫歯菌の働きを活性化させてしまうため、食事の後は歯磨きをして糖分を口内に残さないことが大切です。

唾液の量

唾液には歯垢を洗い流す役割があり、量が少ないと歯垢が流れずに口の中に留まり、虫歯になりやすくなってしまいます

唾液の量は、虫歯だけでなく歯周病にも影響することがわかっています。歯周病の原因になる細菌も、唾液の量が多ければ流れやすくなります。

唾液をしっかり出すためにも、食事の際にはよく咀嚼したり、こまめに水分を口に含んだりといった対策が大切です。

虫歯菌の量

口内にいる虫歯菌の量によっても、虫歯のなりやすさが決まります。虫歯菌の量が多ければ多いほど、虫歯になりやすいです。

口内の虫歯菌の量は、1歳半〜3歳の間に決まるといわれ、この時期に親から食事を口移ししたり、同じスプーンやフォークで食事をしていたりすると、虫歯菌に感染しやすくなるとされています。

大人になってから虫歯菌を口内からなくすことは難しいですが、毎日の歯磨きやキシリトールガムの摂取などによって虫歯菌の働きを弱くすることは可能です。

虫歯になるまでの流れ

歯の模型と歯科医療器具

虫歯は、歯が酸によって溶かされる症状です。

食べ物や飲み物によって歯の表面に歯垢(プラーク)が付着すると、そこに虫歯を作る菌が棲みつきます。

食べ物や飲み物によって糖分が口内に入ると、虫歯菌がそれをエサにして酸を出し、歯の表面にあるエナメル質を溶かしてしまいます。

酸によって歯が溶けると穴が開き、そのままどんどん穴が深くなることによって神経にまで影響を及ぼす場合があります。

これが虫歯ができるまでの流れです。

虫歯の進行度合い

虫歯の4つの進行段階

虫歯の進行状態は、C1〜C4の4段階に分かれています。虫歯の進行度合いとその症状について紹介します。

初期虫歯(CO)

COは、ごく初期の状態の虫歯です。表面が浅く溶けた状態ですが、まだ痛みなどはありません。

歯の表面が白く濁ったり、溝の部分に茶色っぽい汚れがついたりして見えます。COの場合は歯を削らずに、経過観察します。

C1

C1は、歯の表面にあるエナメル質が虫歯菌によって多少溶けた状態を指します。歯の表面に薄い茶色や灰色っぽい色の穴が開いた状態です。

痛みはないため自覚症状はない場合が多く、経過観察か治療を始めるかは医師の判断によって異なります。

C2

虫歯のC2は、虫歯が徐々に進行している状態です。虫歯の部分が黒くなり、歯に穴が開いたり冷たいものや甘いものがしみたりすることがあります。

C2になると痛みによって自覚症状を覚える方も多いです。

エナメル質だけでなく象牙質まで虫歯が進行している状態のため、放っておくと急速に悪化する可能性があります。

痛みや黒っぽい見た目に気がついた場合は、すぐに病院を受診しましょう。

C3

C3まで虫歯が進行すると、神経にまで影響が及びます。そのため、自覚症状がない方はほとんどいないでしょう。

C3になると歯髄炎が起こり、激しい痛みを感じます。治療せず炎症がこのまま進行すると、歯髄が腐って死んでしまいます。

C3の場合はすぐに治療が必要ですが、詰め物や被せ物で穴を塞ぐ前に、神経を除去するなど、根管治療を行わなくてはいけません。

C4

C4は、虫歯が歯根にまで達している状態です。歯の冠部分がほとんどなくなってしまい、歯髄は死んでしまっています。

神経が死んでしまうことで、痛みを感じなくなることが多いです。しかし、放っておくと歯と周囲の組織に影響を及ぼす可能性があります。

感染が進行すると歯根の周囲に膿が溜まってしまい、膿が排出されることで口臭が強くなることがあります。また、歯茎が炎症を起こして腫れてしまい、触ると痛みを感じることもあるでしょう。

虫歯の治療法

歯の模型と歯ブラシを持った歯科医療従事者の女性

虫歯がごく初期のC0の場合であれば経過観察をしますが、C1以上に虫歯が進行している場合には、早めに治療を始めましょう。

虫歯の治療法は、主に以下の3つです。

  • 歯を削って詰め物を入れる
  • 歯の神経を抜いて被せ物をする
  • 抜歯する

虫歯が進行してしまった場合は、歯を削るか抜くかしか治療法がありません。それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

歯を削って詰め物を入れる

症状が神経にまで達していない場合は、歯を削って詰め物をします。軽度な虫歯の際に行われる治療法です。

ごく小さな穴であれば、コンポジットレジンと呼ばれる合成樹脂素材でできた詰め物をします。

それ以上大きく削る必要がある場合は、インレーと呼ばれる詰め物を入れます。インレーには、金属で作られたものと、セラミックで作られたものがあります。

インレーの種類には、下記の例が挙げられます。

  • パラジウム合金
  • CAD&CAMインレー
  • 金合金
  • セラミック

詰め物の種類ごとに耐用年数や強度、費用が異なるので、医師とよく相談して決めると良いでしょう。

歯の神経を抜いて被せ物を被せ物をする

詰め物を入れるだけでは治療が完了しない場合、歯を削って中にある神経を抜き、被せ物をします。

虫歯が神経にまで影響を与えている場合、炎症を起こしてしまうため、神経を抜くことが必要です。

神経を抜かずに放置してしまうと、炎症が悪化して壊死してしまい、細菌が繁殖しやすくなります。また、骨にまで感染する可能性があるため、必ず治療が必要です。

神経を抜いた後は、クラウンと呼ばれる被せ物をします。型を取って被せ物を作る必要があり、治療には時間がかかります。

また、見た目が目立ちにくく扱いやすいジルコニアセラミックなどの素材は、自費治療です。

保険適用のものに比べて費用がかかるため、医師とよく相談して決めると良いでしょう。

抜歯する

虫歯がC4程度まで進行し、歯根まで影響を与えている場合は、被せ物でも対処できないため、抜歯を行います。

抜歯が必要な歯をそのまま放置すると、周囲の歯が虫歯になる可能性が高まり、最悪の場合は全身にも悪影響を及ぼします。

抜歯した部分は入れ歯やブリッジ、インプラントなど歯の機能を補う治療が必要です。

それぞれメリット・デメリットがあるため、費用や年齢、今後の生活などを考慮して治療法を医師と検討してください。

虫歯の予防法

歯の模型と歯ブラシを持って虫歯予防のための歯磨き方法をレクチャーする歯科医療従事者

虫歯にならないためには、日々の生活が非常に重要です。以下の予防法を取り入れるといいでしょう。

  • フッ素入り歯磨きで磨く
  • デンタルフロスや歯間ブラシを使う
  • 糖分を控える
  • 歯科医院で定期検診を受ける

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

フッ素入り歯磨きで磨く

歯磨きをする際は、フッ素入りの歯磨きで磨くとより虫歯対策になります。

フッ素には、虫歯の原因になる酸の発生を抑える効果や、再石灰化を促して歯の質を強くする効果があります。

歯を磨く際はフッ素入りの歯磨きで、食事の後や寝る前に口腔内をしっかり磨き、食べかすを取ることで細菌の繁殖を防ぎましょう。

歯磨きのタイミングは、食後30分以内が理想です。食事の際や間食をした際は、しっかりと歯磨きをしましょう。

デンタルフロスや歯間ブラシを使う

歯磨きの際は、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを使って汚れを落としましょう。

虫歯になりやすいのは、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目です。歯ブラシを使って磨くだけでは汚れがしっかり取れない可能性があります。

デンタルフロスは歯間を磨くための道具で、細菌の繁殖を防ぐ効果があります。歯間ブラシはブラシの形をしており、細かい部分の汚れまで掻き出すことが可能です。

食後毎回使用するのが理想ですが、最低でも1日1回は使用すると良いでしょう。

自分に合った磨き方や使用アイテムがわからない方は、歯科医院で相談するのがおすすめです。

糖分を控える

虫歯の原因を抑えるために、糖分を控えましょう。虫歯の原因になる細菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサに酸を作ります。

そのため、糖分の摂取を抑えれば、虫歯のリスクを下げることが可能です。

間食をできるだけ控えることに加え、甘い飲み物も虫歯の原因になるため、水やお茶などの糖分が含まれていないものを飲みましょう。

歯科医院で定期検診を受ける

ご自宅での毎日のケアも大切ですが、定期的に歯科医院で検診を受けることも大切です。

定期的に歯科医院のクリーニングで歯垢や歯石を取ることで、虫歯の発生を予防できます。

また、万が一虫歯になった場合でも、早めの治療が可能です。

個人差はありますが、3〜6ヶ月の頻度で定期検診を受けるようにしましょう。

まとめ

虫歯の原因には、口内に存在する細菌や、糖分が挙げられます。食べ物や飲み物に含まれる糖分が虫歯菌のエサになって虫歯が発生するため、食後はきちんと歯磨きすることが大切です。

初期の虫歯であれば正しい歯磨きやフッ素の塗布で治療ができますが、進行すると神経を抜いたり抜歯をしたりする必要があります。定期的に検診を受けて、虫歯を予防しましょう。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷」では、「痛みを抑え」「削る量を最小限に」「可能な限り神経を守る」をモットーに治療を行っています。

虫歯の治療だけでなく再発を防ぐ取り組みにも力を入れておりますので、虫歯のない歯を目指すことが可能です。

患者様に寄り添った治療内容の提案をしておりますので、まずはお気軽にカウンセリングにお越しください。

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