インプラントの相場はいくら?治療で失敗しないための基礎知識を紹介

インプラントと歯の模型

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を自然な形で取り戻せる治療法として注目されています。

ただし、治療費が高額になりがちなため、費用面での不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、インプラント治療の費用相場や選び方について、医院選びのポイントを含めて詳しく解説します。

インプラント治療を検討されている方、費用について不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

インプラント治療とは

インプラントの模型

歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着するのがインプラント治療です。

永続的に使える歯を取り戻すため、多くの方に選ばれています。

ただし、歯科治療のなかでも専門性が高く治療期間も長いため、しっかりと理解してから始めることが大切です。

インプラント治療の基本的な仕組み

インプラント治療では、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に土台となる支台を取り付け、そこに人工の歯をかぶせます

見た目は天然の歯と殆ど変わらず、機能面でも自然な歯と同じように噛んだり話したりできるのが大きな魅力です。

インプラント治療が適用となるケース

インプラント治療は、虫歯や歯周病で歯を失った方、病気やけがで歯を失った方、先天的に歯がない方などが対象となります。

年齢による制限はありませんが、顎の骨の状態や全身の健康状態によっては治療を受けられない場合もあります。

また、持病があると治療に制限が出る可能性があるため、治療を始める前に歯科医師による詳しい検査と診断を受けることが重要です。

治療の流れと期間

インプラントを埋め込む手術は、骨の状態や治療方法によって一度の切開で済む1回法と、二次手術が必要な2回法があります。

治療開始からインプラントが定着するまでの期間は1回法では1〜3ヶ月、2回法で4〜6ヶ月程度です。

さらに、骨を増やす治療が必要な場合は、全体の治療期間が1年以上になるケースもあります。

手術後は定期的なメンテナンスが必要ですが、適切なケアを続ければ10年以上使い続けることが可能です。

インプラント治療の費用相場

豚の貯金箱と歯科医療器具

インプラント治療の費用は、治療内容や医院によってさまざまです。

一般的な相場は1本あたり約40万円といわれていますが、実際の費用は検査結果や治療方法によって変動します。

部位別の相場や費用の内訳を詳しく見ていきましょう。

1本あたりの相場の範囲

インプラント治療の標準的な費用は、1本あたり30〜50万円です。

この金額には、術前の検査費用、手術費用、インプラント本体の費用、人工歯の費用などが含まれます。

地域によっても相場は異なり、都市部ではやや高めになる傾向にあります。

また、同じ医院でも使用する材料や治療方法によって、費用が異なることが多いです。

部位による相場の違い

インプラントの費用は、治療部位が前歯か奥歯かによっても異なります。

■前歯

前歯のインプラント治療では、奥歯に比べてより見た目の美しさが重視されます。

合計で30〜60万円程度が一般的ですが、審美性を重視する場合はより高品質な材料を使用するため費用が上がることもあります。

■奥歯

奥歯のインプラント治療では、見た目よりも咀嚼機能の回復が重視されます。

合計で30〜50万円程度となり、前歯と比べると人工歯の費用がやや抑えられる傾向にあります。

費用の内訳

インプラント治療にかかる費用は、大きく分けて以下の項目で構成されます。

  • 検査・診断費用:レントゲンやCT撮影、診断料など
  • 手術費用:インプラント埋入手術の技術料
  • 材料費:インプラント本体、アバットメント(支台)、人工歯
  • その他:麻酔代、投薬代、アフターケア費用など

医院によって項目が異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。

追加で必要になる可能性のある費用

治療を進めていくなかで、患者さんの状態によって追加の処置が必要になることがあります。

主な追加費用として以下が挙げられます。

  • 歯周病治療:治療前に歯周病の処置が必要なケースがある
  • 仮歯の費用:治療期間中に装着する仮の歯の費用
  • 骨造成手術:顎の骨が薄い場合に必要な治療
  • 静脈内鎮静法:手術の不安や恐怖心が強いときに選択できる麻酔方法

これらの追加費用は、初回のカウンセリング時には予測できないこともあります。

治療開始前に、起こりうる追加治療とその費用についても確認しておくのが望ましいです。

インプラントの費用が高額になる理由

インプラントの模型

インプラント治療の費用は他の歯科治療と比べて高額になりがちです。

これは、高い安全性と治療の確実性を確保するために必要な要素が多いためです。

高品質な材料の使用

インプラントの材料は、人体への安全性が重視されます。

主にチタンやチタン合金が使用され、これらは生体親和性に優れた特殊な金属です。

人工歯根として使用されるインプラント本体は、高度な製造技術と厳密な品質管理のもとで作られています。

また、見た目が自然な人工歯を作るためのセラミックやジルコニアといった材料も、高品質なものが使用されます。

これらの材料は一般の金属と比べて製造コストが高く、さらに長期的な安全性を確保するための品質検査も必要です。

医療設備投資の必要性

インプラント治療では、精密な手術を実現するための医療機器が不可欠です。

治療に必要な主な設備には以下のようなものがあります。

  • 歯科用CTスキャナー:顎の骨の状態を立体的に把握
  • 手術用顕微鏡:精密な手術を可能にする
  • インプラント専用の手術器具:正確な埋入手術のため
  • 滅菌装置:感染予防のための機器

これらの医療機器は高額な設備投資を必要とし、定期的なメンテナンスも欠かせません。

高度な技術と専門性

インプラント治療は、歯科医師の高度な技術と経験を必要とします。

手術前の詳細な検査と診断、手術計画の立案、そして精密な手術技術が求められます。

なかでも、神経や血管を避けながら適切な位置に正確にインプラントを埋入するのは、専門的なトレーニングと経験を必要とする技術です。

また、骨の状態に応じた骨造成手術や、審美性を考慮した人工歯の製作など、さまざまな専門知識も必要となります。

衛生管理基準の厳しさ

インプラント治療は外科手術に分類されるため、厳格な衛生管理が求められます。

感染予防のために高度な滅菌システムの整備や、使い捨ての医療器具の使用などが必要です。

これらの衛生管理は患者さんの安全を守るために欠かせませんが、それに伴う設備投資やランニングコストも費用に反映されます。

このように、インプラント治療の費用には、安全性と確実性を担保するためのさまざまな要素が含まれています。

一見高額に感じる治療費も、これらの要素を理解することで、その必要性が見えてくるでしょう。

インプラント治療のメリット・デメリット

インプラントの模型を持って笑顔で自分の歯を指差す医師

歯を失った際の治療選択として、インプラント治療にはさまざまなメリットとデメリットがあります。

以下の表で特徴を整理してみました。

メリットデメリット
機能面・天然歯と同じように噛める
・発音が明瞭
・顎の骨が痩せるのを防げる
・手術直後は一時的に痛みあり
・治療中は仮歯を使用
見た目・天然歯と変わらない見た目
・笑顔に自信が持てる
・手術後の一時的な腫れ
耐久性・10年以上の長期使用が可能・定期的なメンテナンスが必須
・喫煙や歯ぎしりで寿命が縮む
費用面・長期的には費用対効果が高い
・作り直しの頻度が少ない
・初期費用が30~50万円と高額
・保険適用外が一般的
安全性・アレルギー反応が少ない
・周辺の歯を削らない
・手術に伴うリスク
・感染症のリスク

ご自身の生活スタイルや健康状態、長期的な視点での費用対効果を考慮したうえで判断することが大切です。

その他の治療法との違い

歯を失った場合の治療法には、インプラント以外にも入れ歯やブリッジという選択肢があります。

それぞれに特徴があり、患者さんの状態や希望に応じて選択できます。

以下の表で特徴を比較してみましょう。

治療法特徴メリットデメリット
入れ歯 (保険治療の一般的なもの)・取り外し可能
・手術不要
・治療期間1~2ヶ月
・費用が比較的安価
・短期間で完成
・破損時の修理が可能
・噛む力が弱い(天然歯の20~40%)
・装着時の違和感
・外れやすい
・定期的な調整が必要
・食事の温度や食感、味が感じにくい
ブリッジ・両隣の歯を削って固定
・手術不要
・治療期間1~4週間
・見た目が自然
・固定式で安定
・短期間で完成
・費用が中程度
・健康な歯を削る必要がある
・両隣の歯に負担
・歯周病のリスク上昇
・7〜8年程度で再治療が必要

なお、入れ歯にはこの他にも、金属のバネがない「ノンクラスプデンチャー」や、金属の補強がついた「ノンクラスプデンチャー+金属」といった種類があります。

歯科医師と相談しながらご自身の状態や生活スタイルにあった治療法を選択しましょう。

費用面や治療期間、メンテナンスの必要性については、長期的な視点で検討することが大切です。

インプラントの費用を抑える方法

インプラントの費用について患者に説明する医師

インプラント治療は一般的に保険適用外の治療です。

しかし、特定の条件を満たすときや制度を活用することで費用負担を抑えられます。

以下で具体的な方法をご紹介します。

保険適用となるケース

インプラントに健康保険が適用されるのは、以下のような限定的な場合に限られます。

  • 病気で顎の骨を失った
  • 外傷で顎の骨を大きく失った
  • 生まれつき顎の骨が大きく欠損している、または形成不全

このようなケースでは、保険適用により患者負担は治療費の3割程度まで抑えられます。

ただし、適用には医師による詳しい診断と審査が必要です。

通常のインプラント治療では保険適用外となるため、事前に医師への確認が必要です。

医療費控除の活用

インプラント治療の費用は医療費控除の対象となります。

控除を受けるためのポイントは以下の通りです。

  • 1年間の医療費総額が10万円を超える
  • 医療費控除額の上限は200万円
  • 確定申告の際に申請が必要

医療費控除を利用することで、数万円程度の還付を受けられる可能性があります。

分割払いや医療ローンなど

一括での支払いが難しいときは、以下のような支払方法もあります。

  • 分割払い:歯科医院が独自の分割払い制度を設けている場合がある
  • デンタルローン:信販会社と提携したローン

このように、インプラント治療は一見すると高額ですが、制度や支払方法を活用すると負担を軽減できる可能性があります。

治療前に、これらの選択肢について歯科医院に相談することをおすすめします。

信頼できる歯科医院の選び方

インプラントの模型を使って患者に説明している医師

インプラント治療は長期にわたる治療のため、医院選びは治療の成功を左右する重要な要素となります。

単に費用の安さだけで判断するのではなく、以下のポイントを基に信頼できる医院を見つけましょう。

費用の透明性

インプラント治療では、以下のような費用の説明が重要です。

医院からの説明に注目してみましょう。

  • 治療費の総額と内訳の明示、分割払いやローンの案内
  • 追加費用が発生する場合の説明
  • 保証内容と期間の提示

治療開始前に、これらの費用について明確な説明がないときは注意が必要です。

見積書の提示を依頼し、曖昧な部分は質問することが大切です。

また、極端に安価な治療費を提示する医院は、材料や設備に不安がある可能性もあります。安さだけで選ばないように注意しましょう。

設備や技術力の確認ポイント

インプラント治療に必要な設備が整っているかを確認します。

  • CTスキャナーの設置
  • 手術室の清潔さ
  • 滅菌システムの完備
  • インプラント専用の手術器具

また、インプラント治療の実績数や、アフターケアと緊急時の対応態勢なども事前に確認しておくとよいでしょう。

カウンセリングでの確認事項

初回カウンセリングでは、以下の点について確認します。

  • 担当医師の経験と実績
  • 治療計画の具体的な説明
  • 治療期間の見通し
  • リスクとその対策
  • 術後のケア方法
  • 定期検診の内容と頻度

説明が分かりやすく、質問にも丁寧に答えてくれる医院を選びましょう。

患者さんの不安や疑問に真摯に向きあう姿勢も、信頼できる医師の特徴です。

セカンドオピニオンの重要性

治療を受ける際は、一つの医院の診断だけでなく複数の医院で意見を聞くことをおすすめします。

その際のポイントは以下の通りです。

  • 治療方針の比較
  • 費用の妥当性確認
  • リスクの説明の違い
  • 医院の特徴の把握

セカンドオピニオンを通じて、それぞれの医院の特徴や治療方針の違いが見えるでしょう。

これにより、ご自身にあった医院を選択する判断材料が増えます。単に費用の比較だけでなく、総合的な視点で医院を選ぶことが大切です。

まとめ

インプラント治療は初期費用は高額ですが、長期的に見ると費用対効果の高い治療法です。

適切な医院選びと定期的なメンテナンスにより、10年以上にわたって天然歯に近い機能を維持できます。

下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、現役大学病院勤務の医師による精度の高いインプラント治療を提供しています。

インプラントに関する無料カウンセリングも実施しているため、治療をお考えの方はまずはお気軽にご相談ください。

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