
自分の歯を失ってしまったとき、どのような治療法を選べばよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。
現在の歯科治療では、『インプラント』『ブリッジ』『入れ歯』の3つがおもな選択肢です。
それぞれに特徴があり、患者さんの状況やニーズに応じて適した治療法は異なります。
この記事では、この3つの治療法について特徴や違いを詳しく解説し、選び方のポイントも紹介します。
歯の治療法を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
歯を失ったときの選択肢

歯を失った際の主な治療方法には、『インプラント』『ブリッジ』『入れ歯』の3つがあります。
それぞれに異なる特徴があり、年齢や健康状態、費用面など、患者さん一人ひとりの状況にあわせて選択する必要があります。
まずは、各治療法の基本的な特徴を見ていきましょう。
インプラント
歯を失った部分の顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
天然歯に近い見た目と機能を実現でき、しっかりと噛むことができます。
メンテナンスを適切に行えば、10年以上の長期間使用も可能です。
外科手術が必要となり治療期間も比較的長めですが、他の歯に負担をかけずに治療を行えます。
なかでも、噛む力を維持し、顎の骨の維持に役立つ点が大きなメリットといえます。
ブリッジ
歯が失われた部分の両隣にある健康な歯を支えにして、人工歯を固定する治療法です。
両隣の健康な歯を削る必要があり、支えとなる歯への負担が避けられませんが、固定式のため安定した噛み心地が得られます。
インプラントと比べると治療期間が短く、外科手術も不要です。
また、保険診療の対象となるため、費用面を抑えやすいです。
入れ歯
取り外しが可能な人工歯です。
部分的に歯を失ったときは部分入れ歯、すべての歯を失ったときは総入れ歯を使用します。
外科手術が不要で治療期間も短く、保険診療の対象にもなるため費用面も比較的手頃です。
一方で、装着時の違和感や噛む力の低下、発音のしづらさといった課題もあります。
定期的な調整や再製作が必要となる場合もあります。
適切な治療法の選択が重要
歯科治療は、一度選択すると長期にわたって使用するため、慎重な選択が求められます。
適切な治療法を選べば、食事や会話を楽しみ、笑顔で過ごせるでしょう。
また、生活の質に直接影響を与えるだけでなく、将来的な口腔内の健康維持にも大きく関わります。
ご自身の生活スタイルや価値観にあった治療法を選ぶことが、長期的な満足度につながるといえます。
3つの治療法を徹底比較

歯科治療の選択において重要なのは、自分にあった治療法を見つけることです。
インプラント、ブリッジ、入れ歯には、それぞれ異なる特徴があります。
まずは、主要な項目を一覧表で確認してみましょう。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | |
咀嚼力(噛む力) | 天然歯の約90% | 天然歯の約60% | 天然歯の約20% |
審美性 | 天然歯と変わらない | 素材により異なる | 金属のバネが目立つ場合あり |
寿命 | 10~15年程 | 5~8年程 | 3~5年程 |
周囲への影響 | ほとんどなし | 両隣の歯を削る必要あり | バネをかける歯への負担あり |
治療期間 | 3~12ヶ月 | 1~2ヶ月 | 1~2ヶ月 |
費用 | 30~50万円/本 (自由診療のみ) | 保険適用可 (自費診療も選択可) | 保険適用可 (自費診療も選択可) |
メンテナンス | 通常の歯磨きで対応可 | 専用の清掃用具が必要 | 毎日の洗浄と定期調整が必要 |
それでは、各項目についてより詳しく見ていきましょう。
機能面での違い(咀嚼力・発音・安定性)
インプラントは天然歯に近い機能を発揮し、硬いものでも問題なく噛むことができます。
発音も自然で、異物感をほとんど感じません。
ブリッジも固定式のため安定していますが、支台歯(失った部分の両隣の歯)への負担から長期的には機能が低下する可能性があります。
入れ歯は装着時の違和感があり、食事中の動きや発音への影響が出やすいという特徴があります。
審美性の比較
見た目の自然さという点ではインプラントが優れていて、天然歯と見分けがつかない程の仕上がりが期待できます。
ブリッジは、使用する材料によって見た目の印象が変わります。
例えば、保険適用の金属製のものは審美性に劣りますが、自費診療のセラミックなどの素材を選べば、より自然な仕上がりに近づけることが可能です。
部分入れ歯は金属のバネが目立つため、審美面では他の選択肢に劣る場合があります。
耐久性と寿命の違い
適切なケアを行った想定での寿命は、インプラントが10〜15年、ブリッジが5〜8年、入れ歯が3〜5年程度です。
インプラントは顎の骨と結合するため、安定性が高く長期的な使用が可能です。
ブリッジは支台となる歯への負担から、経年劣化が進みやすいという特徴があります。
入れ歯は定期的な調整や作り直しが必要となります。
周辺の歯や顎の骨への影響
インプラントは周囲の歯に負担をかけません。むしろ、顎の骨の維持にも役立つ治療法です。
一方、ブリッジは両隣の健康な歯を削る必要があり、支台歯に負担がかかる点がデメリットといえます。
また、部分入れ歯ではバネをかける歯に負担が集中しやすく、長期的には顎の骨が痩せるリスクも考えられます。
治療期間と手術の有無
インプラントは外科手術が必要で、治療完了まで3〜12ヶ月程度の時間を要します。
これに対し、ブリッジと入れ歯は外科手術が不要で、比較的短期間の1〜2ヶ月程度で治療を終えられるのが一般的です。
ただし、抜歯後の状態や骨の状態によって、治療期間は変動する場合があります。
費用と保険適用の違い
インプラントは自由診療となり、1本あたり約30〜50万円必要です。
ブリッジと入れ歯は保険適用が可能で、自己負担額を抑えられます。
ただし、審美性を重視して自費診療を選択する場合は、費用が高くなるケースもあります。
メンテナンスと日常のケア
インプラントは天然歯と同じような歯磨きでケアが可能で、定期的な歯科検診で口腔状態のチェックが推奨されます。
ブリッジは歯間ブラシやフロスなどを用いて、歯ぐきとの間の清掃に気を配る必要があります。
入れ歯は毎日の取り外しと洗浄、歯ぐきの清掃が欠かせず、定期的な調整も重要です。
それぞれの治療法の詳細

3つの治療方法、それぞれの治療の流れを紹介します。
仕組みを理解すると、ご自身に適した選択ができるようになります。
インプラント:人工歯根による長期的な治療
インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
人工歯根には医療用チタンが使用され、骨と直接結合することで強固な土台が形成されます。
治療の流れとしては、まず詳細な検査とカウンセリングを行い、CTなどを用いて顎の骨の状態を確認します。
その後、人工歯根の埋入手術を行い骨との結合を待ち、最後に人工歯を装着して治療は完了です。
適切なメンテナンスによって、天然歯に近い機能と見た目を長期的に保てます。
ただし、骨の状態や全身の健康状態によっては、インプラント治療が難しい場合もあります。
ブリッジ:両隣の歯を活用した固定式の治療
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を利用する治療法です。
固定式のため、食事や会話も自然にできるという利点があります。
まず両隣の歯を削り型を取って仮の被せ物を装着、その後、技工士が作製した本体の被せ物に交換して治療するという手順になります。
保険診療も可能ですが、金属の見た目が気になる場合は、自費診療でセラミックを選択すればより美しい仕上がりにすることが可能です。
入れ歯:取り外し可能な治療
入れ歯は、失った歯の代わりとなる人工歯を、歯ぐきの形にあわせた土台に装着した装置です。
部分的に歯を補う部分入れ歯と、すべての歯に対応する総入れ歯があります。
部分入れ歯は残っている歯にバネを掛けて固定し、総入れ歯は歯ぐき全体を覆う形で装着します。
治療の流れは、まず口腔内の型を取り、試作品で微調整を行った後、最終的な入れ歯を作製するというものです。
取り外しができるため、清掃が比較的簡単です。
また、歯を失った場所が複数箇所あっても、一つの装置で対応できるという利点もあります。
調整や作り直しは必要になりますが、費用面では比較的手頃といえます。
あなたにあった治療法の選び方

歯科治療の選択には、患者さん一人ひとりの状況に応じた判断が必要です。
年齢や健康状態、歯の状態、生活スタイルといったさまざまな要因を考慮しながら、適切な治療法を見つけていきましょう。
年齢や全身の健康状態による選択
インプラント治療は外科手術を伴うため、全身の健康状態が重要な判断基準となります。
とりわけ心臓病や糖尿病、骨粗しょう症などの持病がある方は、治療に制限がかかる可能性があります。
また、顎の骨の状態も重要で、骨量が不足している場合は骨を補う治療が必要です。
このようなケースでは、他の治療法が適しているかもしれません。
失った歯の本数や位置による適切な選択
失った歯の本数や位置によって、選べる治療法が変わってきます。
1本のみ歯を失った場合は、インプラントやブリッジが候補となります。
複数の歯を失った場合、ブリッジは支える歯の数に限界があるため、インプラントか入れ歯の検討が必要です。
また、奥歯は見た目への影響が少ないため機能性を重視した選択が可能ですが、前歯は審美性も重要な要素となります。
予算や治療期間から考える選択肢
インプラントは自由診療となるため費用面での負担が大きくなり、治療期間も比較的長めです。
一方、ブリッジと入れ歯は保険適用があり、治療期間も短めです。
ただし、見た目にこだわるときは自費診療を選ぶこともでき、その場合は費用が高くなります。
3つの治療法すべて医療費控除の対象になります。
長期的な視点で見た際の費用対効果も考慮するとよいでしょう。
ライフスタイルにあわせた選び方
ご自身の生活スタイルにあった治療法を選ぶことが、長期的な満足度につながります。
例えば、人前で話す機会が多い方は、安定性の高いインプラントやブリッジが向いています。
食事を重視する方にも、咀嚼力の高い固定式の治療がおすすめです。
一方、費用を抑えたい方や、治療期間を短くしたい方は、入れ歯やブリッジが選択肢となります。
また、メンテナンスにかけられる時間や手間も考慮したほうがよい要素です。
治療前に知っておきたい基礎知識

歯科治療を始める前に、いくつかの重要な知識を身につけておくことをおすすめします。
適切な準備と理解があれば、より安心して治療に臨めるでしょう。
事前検査の重要性
治療を成功に導くためには、詳細な事前検査が欠かせません。
なかでもCT検査は、顎の骨の状態や神経の位置を立体的に把握できる重要な検査です。
また、全身の健康状態を確認するための血液検査なども必要に応じて行われます。
これらの検査結果を基に、担当医から詳しい説明を受け、治療計画について十分に理解を深めるのが大切です。
治療後のケアとメンテナンス
どの治療法を選んでも、治療後の継続的なケアは欠かせません。
毎日の基本的な口腔ケアに加え、定期的に歯科検診を受けることが推奨されます。
適切なケアを続ければ、治療の効果を長く保てます。
医院選びのポイント
治療を受ける医院の選択も重要な要素です。
とりわけインプラント治療では、経験豊富な医師による施術が望ましいといえます。
また、CTなどの設備が整っているかどうかも確認するとよいでしょう。
そして、医師とのコミュニケーションも大切な要素です。
治療内容や費用について、分かりやすい説明を受けられるか、気になることを相談しやすい雰囲気があるかなども、選択の基準となります。
まとめ
インプラント、ブリッジ、入れ歯には、それぞれの特徴があり、一人ひとりの状況に応じて最適な選択肢が異なります。
治療法を選ぶ際は、機能面、審美性、費用、治療期間などを総合的に検討しましょう。そして、ご自身の生活スタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
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