インプラントができない理由とは?治療をあきらめる前に知りたい13の対策

インプラントの模型で説明する医師

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。

天然の歯に近い見た目と機能を取り戻せる一方で、患者さんの状態によっては治療が制限される場合があるため、「自分にはできない」と諦めている方も多いかもしれません。

しかし、治療ができないとされる理由の多くは、適切な準備や対策を講じることで改善できる可能性があります。

この記事では、インプラント治療を受けられない主な理由と対策、そして代替となる治療法について詳しく解説します。

インプラント治療を検討している方や、過去に治療を断られた経験のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

なぜインプラントを受けられない人がいるのか

インプラント

インプラント治療は外科手術を伴う高度な医療処置です。

そのため、患者さんの健康状態などを総合的に判断する必要があります。

とりわけ重要なのが、インプラントを支える顎の骨の状態です。

インプラントは人工の歯根を骨に直接固定するため、十分な骨の量と質が必要不可欠です。

また、治療後も定期的なケアが欠かせません。

さらに、手術によって体に負担がかかるため、持病がある方や妊娠中の方は慎重な判断が求められます。

インプラント治療ができない理由は、大きく『全身の健康状態』『生活習慣』『口腔内の状態』の3つに分類されます。

ただし、これらの制限は永続的なものとは限らず、適切な対策や準備によってインプラント治療を受けられるようになる可能性もあります。

インプラント治療ができない主な理由と対策

笑っている女性

インプラント治療を受けられない理由にはさまざまな要因がありますが、その多くは適切な対策や準備によって改善できます。

まずは、制限となる要因とその対処法について詳しく解説します。

全身の健康状態による制限

全身の健康状態は、インプラント治療の可否を左右する重要な要素です。

手術や治療後の回復に影響を与えるため、以下のような条件がある場合は慎重な判断が必要になります。

■糖尿病

糖尿病は、インプラント治療の成功率に大きく影響を与える要因の一つです。

血糖値が安定していないと免疫力が低下して感染のリスクが高まり、手術後の回復が遅くなりがちです。

また、傷口の治りが悪くなることで、インプラントと顎の骨がしっかり結合しないケースも考えられます。

ただし、血糖値が適切にコントロールされていれば、インプラント治療が可能になる場合もあります。

糖尿病の方の治療の可否の判断には、かかりつけの主治医と歯科医の連携が必要です。

■骨粗しょう症

骨粗しょう症の方は骨の密度や質が低下しているため、インプラントの固定が難しくなる場合があります。

骨の強度が不足しているとインプラントの安定性や、長期的な成功率に影響を及ぼします。

このような場合には、骨造成という治療を行い、インプラントを埋め込む部分の骨密度を高めることが可能です。

治療前に精密検査で骨の状態を確認し、必要に応じて骨造成を行えばインプラント治療が可能になるケースもあります。

■血液透析を受けている

腎臓病で血液透析を受けている方は、免疫力の低下や出血の危険性、骨密度の低下などの問題があります。

また、手術による感染症のリスクも高まるため、一般的にインプラント治療はあまり推奨されません。

しかし、軽度の腎臓病で状態が安定しているときには、主治医と歯科医の綿密な相談のうえで、インプラント治療が可能になることもあります。

■高血圧

高血圧の方は、出血リスクが高まったり、服用している降圧剤が手術に影響を及ぼしたりする場合があります。

ただし、血圧が安定してコントロールできている状態であれば、インプラント治療を受けられる可能性があります。

治療を受ける際には主治医や歯科医と相談し、服薬状況や血圧の状態を確認したうえで、慎重に判断しましょう。

生活習慣による制限

生活習慣はインプラント治療の成否に大きな影響を与え、体調だけでなくお口の中の健康状態にも深くかかわっています。

ここでは、生活習慣に関する制限と、その改善方法について説明します。

■喫煙の影響

たばこに含まれる成分は血行を悪化させ、術後の傷の治癒を妨げるため、喫煙はインプラント治療における大きな障害となります。

また、喫煙者はインプラント周囲炎(歯周病に似た症状)を引き起こすリスクがあり、この状態が進行するとインプラントが骨から緩み脱落する恐れもあります。

治療の成功率を高めるためには、完全禁煙することが重要です。

治療前から禁煙を開始し、治療後も継続することで、よりよい結果を得られます。

効果的な禁煙方法については、医師に相談するとよいでしょう。

■定期的なメンテナンスの重要性

インプラント治療後は、長期的なケアが欠かせません。

日々の歯磨きはもちろん、定期的な検診やプロフェッショナルクリーニングも必要です。

こうしたメンテナンスを継続できない場合には、インプラント治療をおすすめできません。

ケアを怠るとインプラント周囲炎や骨吸収などの問題が発生し、インプラントの寿命が縮む可能性があります。

治療を開始する前に、定期的に通院できるかどうかを十分に検討する必要があります。

■歯ぎしり・食いしばりの問題

歯ぎしりや食いしばりの習慣があるとインプラントに過剰な負担がかかり、トラブルを招く可能性があります。

例えば、インプラントの上部構造の破損やインプラント周囲炎の発症、さらには顎関節症などの問題も起きやすくなります。

対策として、就寝時のマウスピースの装着や噛みあわせの調整が有効です。

歯科医と相談しながら、適切な対策を見つけるのが大切です。

口腔内の状態による制限

お口の中の健康状態はインプラント治療の成功に直接影響を与えるため、健康な口腔環境を整えることは治療を始める前の重要な準備になります。

ここでは、お口の中の状態による制限と、その対処法について解説します。

■歯周病

歯周病菌がインプラント周囲の組織に感染すると、インプラント周囲炎を引き起こし、支える骨が徐々に溶けてしまいます。

その結果、インプラントが緩んで脱落する恐れがあります。

まずは歯周病を治療し、お口の環境を整えることが必要です。

歯周病の治療が完了し、症状が安定してからインプラント治療を検討しましょう。

歯周病治療には時間がかかる場合もありますが、長期的な成功のために欠かせないステップです。

■虫歯が多い

多くの虫歯がある状態では、インプラント治療の実施が難しくなります。

虫歯菌が多いと手術後の感染リスクが高まり、新たに入れたインプラントの周囲にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

まずは虫歯の治療を優先し、お口の中を清潔な状態にすることが重要です。

口腔ケアや虫歯予防の方法については、歯科医や歯科衛生士に相談するとよいでしょう。

健康な口腔環境が整った段階で、インプラント治療を始めるのをおすすめします。

■顎の骨の量が足りない

インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、十分な骨量が求められます。

歯を失ったまま放置してその部分の骨が痩せていたり、歯周病の影響で骨が溶けていたりすることも少なくありません。

このようなときは、骨造成という治療法で対応が可能です。

骨造成には、サイナスリフトやソケットリフトなど複数の方法があり、患者さんの骨の状態や必要な骨量に応じて、適切なものが選ばれます。

治療期間は延びる可能性がありますが、しっかりとした土台を作ることで、インプラントの安定性を長期的に確保できます。

配慮が必要なケース

インプラント治療に際しては、とりわけ慎重な判断が必要となるケースがあります。

以下のような場合は、治療を避けたほうがよいか、時期をずらしたほうがよいかなど、個々の状況に応じた細やかな配慮が必要です。

■妊娠中・授乳中

妊娠中や授乳中のインプラント治療は、母体と赤ちゃんへの影響を考慮して、原則として控えることが推奨されます。

レントゲン検査や手術のストレス、投薬によるリスクなどがあるためです。

また、出産後も母子共に体調が不安定な時期は避けたほうがよいでしょう。

治療は体調や生活リズムが安定してから検討するのをおすすめします。

どうしても治療が必要なときは、妊娠5ヶ月以降の安定期に治療を開始し出産後に仕上げるなど、段階的な計画を立てることがあります。

■20歳未満の若年層

20歳未満の成長期にある方は、インプラント治療を避けるのが賢明です。

成長期の顎の骨は変化が大きいため、インプラントを埋め込むことで正常な骨の成長を妨げる恐れがあります。

また、顎の成長に伴い、埋め込んだインプラントによって周囲の歯との位置関係が崩れてしまう心配もあります。

基本的には、顎の成長が完了するまで待つのが望ましいです。

その間は入れ歯など他の方法で対応し、成長完了後にインプラント治療を検討します。

■金属アレルギー

金属アレルギーのある方は、インプラント治療を始める前に慎重な検討が必要です。

インプラントには主にチタンが使用され、アレルギーを引き起こしにくいとされていますが、まれにアレルギー反応が出る場合もあります。

事前にアレルギー検査を行い、リスクを確認することが重要です。

チタンに対してアレルギーがある方は、ジルコニアなど別の素材を用いたインプラント治療を検討する方法もあります。

アレルギーの状況によっては、インプラント以外の治療法を選択するのが適切なときもあるため、歯科医と十分に相談しましょう。

インプラントができない場合の代替治療法

口腔内の工事

インプラント治療を受けられない場合でも、歯の欠損を補う方法はいくつもあります。

それぞれの治療法には固有の特徴があり、患者さんの状態や生活スタイルにあわせて選択することが可能です。

ここでは、代表的な治療法について説明します。

ブリッジによる治療

失った歯の両隣の歯を支えにして、橋を架けるように人工の歯を固定する治療法です。

装着後は取り外しの必要がなく、見た目も自然な仕上がりとなり、比較的短期間で治療を完了できます。

■メリット

  • 取り外しが不要で違和感が少なく自然な噛み心地
  • 入れ歯と比較して発音がしやすい
  • 保険適用の素材を使用すれば治療費を抑えられる

■デメリット

  • 両隣の健康な歯を削る必要がある
  • 支台となる歯の寿命が短くなる場合がある
  • 複数の歯が欠損しているときは適用が難しい

■適用条件

  • 欠損部の両隣に十分な強度のある健康な歯がある
  • 比較的少数の歯の欠損である
  • 支台となる歯に重度の歯周病がない

入れ歯による治療

入れ歯は、歯の欠損部分を人工の歯で補う装置です。

取り外しが可能で、外科的な処置を必要としないため、体への負担が少ないのが特徴です。

保険適用の範囲内でも作製できますが、より快適な使用感や審美性を求める場合は、ブリッジと同様自費診療での作製も検討できます。

■メリット

  • 手術が不要で身体的な負担が少ない
  • 高齢の方や持病のある方でも治療を受けやすい
  • 保険適用となる場合が多く費用面を抑えられる

■デメリット

  • 装着時の違和感を感じることがある
  • 発音がしづらいことがある
  • 噛む力が天然歯に比べて弱くなる
  • 長期使用により適合性が低下する
  • 取り外しや清掃の手間がかかる

■適用条件

  • インプラントやブリッジの適応とならない
  • 多数の歯が欠損している
  • 手術を避けたい
  • 定期的な調整や清掃管理が可能な方

まとめ

インプラント治療ができない理由は、全身の健康状態、生活習慣、お口の中の状態など、さまざまです。

それぞれの制限には意味があるものの、適切な準備や対策によって改善できる可能性も少なくありません。

治療をあきらめる前に、専門知識をもつ歯科医に相談することをおすすめします。

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また、インプラントが難しい場合でも、ブリッジや入れ歯など、患者さん一人ひとりの状態にあわせた治療法をご提案いたします。

お口の健康に関する不安や悩みがございましたら、まずは気軽にご相談ください。

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