
いびきの治療にはさまざまな方法がありますが、歯科クリニックではマウスピースを使用した治療を行います。
治療を行う上で気になるのが、やはり費用面でしょう。
この記事では、歯科クリニックでのいびきのマウスピース治療の費用について詳しく解説します。
保険が適用されるケースやマウスピースでの治療が難しいケースなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
いびきのマウスピース治療とは?

歯科クリニックで行ういびきのマウスピース治療とは具体的にどのような方法なのでしょうか。
ここではマウスピース治療の特徴や主な効果について解説します。
マウスピースとは
いびき改善を目的としたマウスピースは下顎を前方へ引き出した状態で固定するための器具で、『スリープスプリント』とも呼ばれます。
下顎を引き出した状態にしておくことで、舌が喉の奥に落ちてしまうのを防ぎ、気道を広げられるのです。
いびきは何らかの原因によって気道が狭まることで起こるため、気道を広げられるマウスピースはいびきの治療に効果的です。
歯ぎしり改善を目的とした一般的なマウスピースは市販品のものもありますが、スリープスプリントは歯科クリニックで患者さん一人ひとりの骨格に合ったものをオーダーメイドで作成します。
マウスピース治療は主に軽度のいびきに使用される
マウスピース治療は主に軽度のいびきに使用されます。
実はいびきには主に3つの種類があり、症状によって適切な治療方法が異なります。
- 単純性いびき症:睡眠中の無呼吸・低呼吸がなく、睡眠の分断や日中の強い眠気・疲労感もないタイプ
- 上気道抵抗症候群:睡眠中の無呼吸・低呼吸がないものの、睡眠の分断や日中の強い眠気・疲労感がみられるタイプ
- 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に無呼吸・低呼吸状態になり、眠りが浅く、日中に強い眠気や疲労感が生じるタイプ
このなかで最も症状が重いのが睡眠時無呼吸症候群となりますが、症状が軽度〜中程度であればマウスピース治療が可能な場合があります。
効果には個人差がありますが、マウスピース治療を行うことで、睡眠時の無呼吸状態を半分以下にまで抑えられるケースもあります。
ただし、マウスピース治療で改善がみられないほど症状が重い場合には、ほかの治療方法を検討することになります。
マウスピース治療の主な効果
マウスピース治療には主に以下のような効果があります。
- いびきの頻度と音量の軽減
- 睡眠の質の向上
- 睡眠時無呼吸症候群の改善
マウスピースを装着することで気道が狭まるのを防げるため、いびきの頻度や音量を改善できます。
またいびきを毎日かいている人の場合、いびきによって睡眠が分断され、睡眠の質が低下してしまっているケースが多いです。
マウスピース治療を行うことでいびきの頻度を減らせるため、睡眠の質が向上し、日中の眠気や疲労感が改善されます。
さらに軽度であれば睡眠時無呼吸症候群の症状も改善できるため、いびきにお悩みの方はマウスピース治療をぜひ検討してみてください。
歯科でのいびきのマウスピース治療の費用

歯科でのいびきのマウスピース治療は、保険診療の場合と自由診療の場合で異なります。
ここではそれぞれの費用相場について解説しましょう。
保険診療の場合は診断費用含めて1万円〜3万5千円程度
歯科でのいびきのマウスピース治療は、保険診療の場合は診断費用含めて1万円〜3万5千円程度が相場となります。
マウスピース治療にかかる費用項目は以下の通りです。
- 初診料・再診料:5,000円程度
- 検査入院費:15,000円程度
- マウスピース作成費:10,000〜15,000円程度
上記は睡眠時無呼吸症候群の診断も含めた費用で、自己負担が3割負担の場合となります。
診断からマウスピース作成までの過程で必要な検査が増えると、上記の費用よりも高額になる可能性があります。
また作成するマウスピースの種類によっても、かかる費用が異なる点に注意が必要です。
保険が適用されない場合は4万円〜20万円程度
歯科でのいびきのマウスピース治療は、保険が適用されない場合は4万円〜20万円程度が相場です。
詳しい保険適用条件については後述しますが、睡眠時無呼吸症候群などの病気の診断がない場合にマウスピース治療を行う場合は、治療費は全額自己負担となります。
また、マウスピースには下顎のみに装着する『上下顎一体型』と上顎と下顎の両方に装着する『上下顎分離型』の2種類がありますが、後者の方が費用が高額になりやすいです。
上下顎一体型の相場は4万円〜10万円程度、上下顎分離型の相場は20万円程度となります。
いびきのマウスピース治療の保険適用条件
いびきのマウスピース治療の保険適用条件は以下の通りです。
- 検査を受け睡眠時無呼吸症候群と診断されている
- 使用するマウスピースが医療機器として承認されている
上記が基本的な条件となり、使用するマウスピースの種類や患者さんの症状によって保険適用の可否が異なります。
また睡眠時無呼吸症候群と診断されている場合でも、上下顎分離型のマウスピースを使用する場合は保険適用がされません。
保険適用でマウスピース治療を行いたい場合は、まずは医療機関を受診して適切な検査を受け、治療方法を相談してみましょう。
いびきの治療に使用するマウスピースの種類

いびきの治療に使用するマウスピースには以下の2つの種類があります。
上下顎一体型 | 上下顎分離型 | |
特徴 | 上顎と下顎が一体化した構造となっており下顎のみに装着するもの | 上顎と下顎が別々の部品で構成されているもの |
メリット | 保険が適用されるため費用が安い 小さく目立ちにくい 装着が比較的容易 | 精密な調整が可能 耐久性が高く長期間使用可能 |
デメリット | 顎の形状に完全にフィットしない場合がある 圧迫感や閉塞感を感じやすい 歯並びが悪いと痛みや違和感が出やすい | 保険が適用されないため費用が高額 サイズが大きく目立ちやすい |
ここでは上下顎一体型マウスピースと上下顎分離型マウスピースについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
それぞれの特徴を理解したうえで、医師と相談しながら自分に合った種類を選びましょう。
上下顎一体型マウスピース
上下顎一体型マウスピースは、上顎と下顎が一体化した構造で下顎のみに装着するものです。
下顎を前方へ引き出した状態で固定することにより、舌が喉の奥へ落ち込んだり気道が狭まったりするのを防ぎます。
上下顎一体型マウスピースのメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
メリット | デメリット |
保険が適用されるため費用が安い 小さく目立ちにくい 装着が比較的容易 | 顎の形状に完全にフィットしない場合がある 圧迫感や閉塞感を感じやすい 歯並びが悪いと痛みや違和感が出やすい |
上下顎一体型マウスピースは保険が適用され、自己負担1万円〜2万円程度で作成できる点が大きなメリットです。
装着も比較的容易で、マウスピースを初めて装着するという方にもおすすめできます。
ただし顎の形状に完全にフィットしない場合があり、その場合は圧迫感や閉塞感、痛み、違和感などが生じることがあります。
また上下顎一体型マウスピースは調整の幅が限られるため、自分の顎に完全にはフィットしない可能性があります。
装着感よりも費用を優先し保険適用でマウスピースを作りたい方や初めてマウスピースを装着する方におすすめです。
上下顎分離型マウスピース
上下顎分離型マウスピースは、上顎と下顎が別々の部品で構成されているタイプで、いびきの原因が顎の形状にある場合に効果的です。
上下顎分離型マウスピースには以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
精密な調整が可能 耐久性が高く長期間使用可能 | 保険が適用されないため費用が高額 サイズが大きく目立ちやすい |
上下顎分離型マウスピースは精密な調整が可能なため、患者さんの顎の形状にフィットするものを作成できます。
骨格が変化しても再調整すれば治すことができ、さらに上下顎一体型と比べて耐久性も高いため、長期間使用可能です。
ただし上下顎分離型マウスピースは保険が適用されないため、費用が高額になる点がデメリットです。
顎の形状に問題がある方や装着感を重視したい方、長期間使い続けられるマウスピースを作成したい方などは上下顎分離型マウスピースを検討してみるとよいでしょう。
いびきのマウスピース治療ができないケース

いびきのマウスピース治療ができないケースとして、以下の4つが挙げられます。
- 自分の歯が20本未満
- いびきの症状が重度
- 顎関節や鼻に疾患がある
- 心身症を患っている
ここでは上記4つのケースについてそれぞれ解説します。
自分の歯が20本未満
マウスピースは歯に固定して装着するため、自分の歯が少なすぎるときちんと固定できません。
自分の歯が20本未満の場合はきちんと固定できない可能性が高いため、マウスピース治療が行えない場合があります。
歯が少ないという理由でマウスピース治療を行えない場合は、ほかの治療方法を検討してみましょう。
いびきの症状が重度
マウスピース治療は、主にいびきの症状が軽度〜中程度の場合に効果が期待できるものです。
症状が重い場合はマウスピース治療では十分な効果が得られない可能性があるため、重度のいびきの場合は、医師と相談の上、症状に合った治療方法を検討してみましょう。
顎関節や鼻に疾患がある
マウスピース治療が行えないケースとして、顎関節や鼻に疾患がある場合が挙げられます。
顎関節に疾患がある方がマウスピースを装着すると、違和感や痛みが生じてしまう可能性が高いです。
また鼻に疾患がある場合は鼻呼吸ができないため、マウスピースの使用に適していません。
鼻に疾患がある場合は先にそちらの治療が優先されるため、思い当たる節がある人は耳鼻咽喉科を受診して適切な検査・治療を受けましょう。
心身症を患っている
いびきのマウスピース治療が行えないケースとして、心身症を患っている場合が挙げられます。
心身症とは、精神的ストレスによって身体にさまざまな症状が現れる病気のことです。
代表的なものとしては、頭痛や疼痛性障害、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなどが挙げられます。
心身症を患っているとマウスピースを装着した際に不安感を抱くことがあるため、ほかの治療方法を検討したほうが良いでしょう。
いびきのマウスピース治療に関するよくある質問

いびきのマウスピース治療に関するよくある質問をまとめました。
- Q:市販のマウスピースとの違いは?
- Q:マウスピース治療のデメリットはある?
- Q:マウスピース治療が適応できない場合のいびきの治療方法は?
ここでは上記3つの質問についてそれぞれ解説します。
Q:市販のマウスピースとの違いは?
市販のマウスピースと歯科クリニックで作成するマウスピースの違いを簡単にまとめると以下の通りです。
市販のマウスピース | 歯科クリニックのマウスピース | |
メリット | 比較的安価 ドラッグストアや通販で手軽に購入できる | 歯列にきちんとフィットするため違和感や痛みが出にくい 市販のものと比べるといびきの改善効果が高い |
デメリット | 顎の形状にフィットしにくく、違和感や痛みが出やすい 効果が出ない場合会がある | 市販と比べると高額になりやすい 歯並びやかみ合わせによっては使用できない場合もある 作成に1〜2週間程度かかる |
歯科クリニックで作成するオーダーメイドのマウスピースは、患者さんの歯列にきちんとフィットするため、痛みや違和感が出にくいです。
さらにいびきの治療を目的として作成するため、原因である舌の落ち込みを防ぎ、気道が狭まってしまうのを予防できます。
一方で市販のマウスピースは形が決まっているため、自分の歯列に完璧にフィットする可能性が低く、効果が実感できない場合も少なくありません。
歯科クリニックのマウスピースのほうが、いびきの改善効果が高いといえるでしょう。
Q:マウスピース治療のデメリットはある?
マウスピース治療のデメリットは以下の通りです。
- 痛みや違和感が生じることがある
- 顎関節に異常がある場合は症状が悪化する恐れがある
- 継続的に使用し続ける必要がある
- 効果には個人差がある
マウスピースを毎日使い続けているうちに慣れることがほとんどですが、最初のうちは痛みや違和感が生じることがあり、なかなか寝付けない場合もあります。
また顎関節に疾患がある場合や歯ぎしりをする癖がある場合、マウスピースの使用によって症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。
顎関節の状態や歯並びなどを確認してもらったうえで、医師と相談しながら治療を検討しましょう。
Q:マウスピース治療が適応できない場合のいびきの治療方法は?
マウスピース治療が適応できない場合のいびきの治療方法には、以下のようなものがあります。
CPAP療法 | 専用の機械で気道に空気を送り続け、睡眠中に気道が狭まるのを防ぐ治療方法 |
外科的手術 | 気道を狭めている原因を摘出する治療方法 |
ナステント | 鼻にシリコンチューブを挿入し、気道を確保する方法 |
原因疾患の治療 | 鼻中隔湾曲症やアレルギー性鼻炎など鼻づまりの原因となっている疾患を治療する |
マウスピース治療が難しいといわれてしまったら、医師と相談のうえで自分の症状に合った治療方法を検討しましょう。
まとめ
歯科クリニックで行なういびきのマウスピース治療にかかる費用は、保険適用の場合で1万円〜3万5千円程度が目安となります。
保険が適用されない自由診療の場合は、4万円〜20万円程度かかることが多いです。
いびきの治療に使用するマウスピースには、上下顎一体型マウスピースと上下分離型マウスピースの2種類あるため、今回解説した内容を参考に検討してみてください。
下高井戸パール歯科クリニック・世田谷では、マウスピース治療によるいびきの改善に関する無料相談を受け付けています。
マウスピース治療が気になる方はぜひ当院まで気軽にご相談ください。
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